表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

141/428

開園準備の撲殺魔っ

 大司教猊下……いや、今回はルーディアでいいかの……の活躍もあり、新たな託児所は猛スピードで形になっていっておる。流石は天才と持て囃されておっただけあるわい。

 色々な意味で刺激になったようで、首だけ令嬢も真面目に働いておるようじゃしの。これは開園が楽しみじゃ。



「はーい、ゆっくり、ゆーっくりね」


 ルディの差配により、次々と家具が持ち込まれていきます。


「……意外と落ち着いた色合いですわね」

「リファっち、意外とって言い方に棘を感じるんだけどさっ」


 いえ、普段の貴女を見ていれば……。


「……ショッキングピンクで統一されるかと」

「そんな託児所、誰も預けてくれないよ!?」


 確かにその通りなのですが……。


「……ルディですから」

「だーかーらー、リファっちはアタシの事を何だと思ってるの!?」

「天才的な変態、ですわね」

「誉めてない! 一切誉められてない!」


 そう言いながらも、目は重いタンスを運ぶ二人に向けられています。


「お、重いって! リジー、ちゃんと持ってよ!」

「それはお互い様……あ、傾いてる傾いてる傾いてるぅぅ!」


 バランスを失って倒れるタンスが、スローモーションに見えてきます。


「……聖女の戒『茨』」

 パシッ! シュルシュルシュル


 壁から生えた茨がタンスを捕まえ、地面に触れる前に停止させます。


「ふ、ふぅぅ……あ、危なかった」

「ギリギリだっと思われ……助かった、リファリス」


「いーえ、無事で何よりですわ。それより」


 隣でユラユラと髪を逆立ているルディを見やり。


「謝る相手を間違えてますわよ」

「え……ひっ!?」

「む……ひぃ!?」


 怒髪天を突く、をそのまま体現したかのようなルディが、少し身体が浮く程の闘気を纏わせて、二人を睨んでいました。


「リブっち! リジっち! そんなへっぴり腰でどうするの!」

「「あ、はい」」


 雰囲気の割に、口から出てくるのは可愛らしい声と幼い口調。そのアンバランスさが、怖さを半減させます。


「安い物じゃないんだからね、メッ! ちゃんと丁寧に運ばないと、メッ!」

「「すいませんでした」」


 しかも大の大人相手に「メッ!」ですからね……間違い無く二人には響いてませんわね。


「むぅ、あまり応えてなさそう…………なら」


 ルディは突然わたくしを指差し。


「次やったら、聖女の杖(こんぼう)で二人のお尻をペチンペチン」

「「待って、執行役は!?」」

「無論、リファリス」

「「ペチンペチンじゃ済まないって! 死ぬって!」」


「ふむ、聖女の杖をフルスイングでお尻に……………………それも悪くないかもしれません」


 わたくしの呟きを聞いた二人は、顔色を悪くしつつも、直立不動の体勢になり。


「「誠心誠意、大切に大切に運ばせて頂きます」」


「むふ、それで宜しい、にゃは~」


 業者様が次々に運んでくる荷物を、二人は率先して運んでいきます。


「……ルディ、わたくしを出汁に使わないで頂けます?」

「ごめんごめん。でもさぁ、迫力無いのはどうしようもなんないから」


 確かに仕方無いのです。ドッペルゲンガーのルディは、ルドルフから大半の魔力を与えられたのですが、感情は喜怒哀楽のうち怒哀がかなり少なくなされています。それはルドルフ曰わく「力を与えた代償」という事なのです。


「あまり怒れない、哀しめないじゃ、迫力なんて要素はほぼあり得ないからね、にゃは~」


 リブラとの剣の修行で身に付けた闘気の操作を駆使し、迫力の無さをカバーしようとしたのでしょうが、逆効果でしたからね。


「……ならばルディ、今回の件は大目に見ますから」

「ありがと~…………って、何で聖女の杖(こんぼう)構えてるの?」

「いえ、頭では無くお尻で勘弁して差し上げますわ」

「え゛っ」


 サッとルディの背後に回り、可愛らしいお尻に杖を振り下ろし。


 ブゥンッ


「あら、手応え無し?」

「あ、あっぶないよ! 今の本気だったよね!?」

「当たり前ですわ、わたくしはいつだって本気ですわよ……ほら」


 再び背後に移動しますと、ルディは『進脚』で距離を取ります。


「リ、リファっち、いつの間に『進脚』覚えたの!?」

「いつの間にと言われましても……リブラと貴女のを見ていたら、いつの間にかできてましたわ」

「……み、見ただけで……」

「ほらほら、ボーッとしてますと、背後に回られますわよ?」

「っ!? くっ」

 シュタタタ、タン、シュタタタタタ


「……リブラ、リファリスの速さ、もう『進脚』超えてない?」

「あー、うん、あれは『神速』……いや、『縮地』かな」


「きぃやああああ! リファリスにお尻狙われてるぅぅぅ!」

「待ちなさいな。試させて下さいな」

「試されたくなああああい!」

「ちょっと爆散する程度ですわ」

「爆散したくなああああい!」

「ちゃんと生き返らせてあげますわ」

「そういう問題じゃぬゎああああああい!」


「爆散って……要は木っ端微塵って事だよね?」

「嫌だわ~、お尻ど突かれて木っ端微塵で死亡って嫌だわ~」


「いやああああああ! リファっちにお尻を狙われてるぅぅぅ!」

「待ちなさいな! あ、こら、外に逃げたって無駄ですわよ!」


 そのままルディとの追いかけっこは、市街戦へと突入しました。



「リファリス、変な噂が流れてたよ?」

「聖女様が幼い女の子のお尻を狙ってるって」


 何故ですの!?

聖女様、ロリ疑惑浮上。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=529740026&size=200 ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ