宰相様と私 1
軍と共に王都に来てからは、あれよあれよと慌ただしく日々は過ぎ、
グラントの言ってた国の保護は嘘ではなく、悠里は丁重に扱われた。
第二隊にある客室で、
(知らないおじさんありがとう。あなたのお陰です。)
悠里は事あるごとに、その人に感謝していた。
グラントのいう渡り人を聞けば、
どうやら、同じ日本人でデザイナーらしき人だったらしい。
馬車の乗り心地は格段に良くなり、
なんと、洗浄付き便座もあるとのこと。
生活全般にわたって大幅に洗練されており、
悠里も少しの不便も感じる事なく生活していた。
50年前とはいえ、自分のいた現代と変わらないところを見ると、異世界と時間軸は違うらしい。
さすが異世界と謎の納得していた。
一人になると、いつも絡んでくる蓮司と蒼司の顔が浮かんで来そうになる。
(今は考えちゃダメ)
首を振って、涙の膜を散らした。
明日は宰相と会って今後のことを相談することになる。
若干緊張しながら、明日に備えてふかふかのベットにペフンとダイブした。
朝食を取り、グラントと共に宰相いる執務室へ向かう。
あらかじめ連絡が入っていたのか、執務室の扉の前に宰相の補佐官が待っており、すぐ中に通され、応接セットのソファに腰掛けるよう促す。
「君が渡り人のユーリ・クジョーか。わたしは
宰相のウォルフ・コルド。君のことは、グラントから聞いている。大変だったね」
宰相というから、どんな年配の男性かと思っていたら、ウォルフはグラントと同年代で、
ベージュの髪に薄い水色の瞳、背は高くすらりとした品のある男性だった。
にこやかに微笑んではいたが、若くして宰相になっただけはある。目の奥には只者ではない雰囲気は持っていた。
(宰相!!うう、笑ってるけど何か怖い。緊張感半端ないだけど)
と、内心はややテンパりながらも、持ち前のポメラニアン根性で背筋をピンと伸ばして立ち上がり、
「グラント隊長にはお世話になりました。
お役に立てるかどうかわかりませんが、精一杯頑張りますので、よろしくお願いします」と、勢いよく90度のお辞儀をしながら言った。
「ふふ。まだ未成年でしょうし。大丈夫ですよ。わたしが良い後見人を考えておきますから」
「え?」
「? 何が不安なことでも?」
「いえ、あの、、、私は23歳です」
「「えっっっっ!?」」
グラントとウォルフは心底びっくりして悠里を見た。
(おいおい、ここでもかぁ)
悠里はグラント以下、ここに来るまでの皆の態度から、やはり子供扱いされていたのかと、遠い目になっていた。
デザイナーの仕事はよくわかりません。
不快に思った方がいたらすみません。
50代なら多岐に渡ってデザインしてきたので、おそらく目についた物を片っ端から元世界風にアレンジして、あとは魔術と魔石におまかせした。というイメージです。
坂田純次→52歳バツイチ独身。元嫁との間に子はいない。ハイセンスなイケオジ。
イメージした素材を具現化する能力をもつ。能力はその子ら一族に遺伝し、今に至る。
一番得意だったのは女性の下着のデザイン。
こちらの世界で30下の若い娘と再婚し、ウハウハでヒャッホウな生涯をおくる。
再婚相手は当時アシストタントをしていたメロディちゃん。
純次のとばす親父ギャグにもコロコロと笑ってくれる優しい子。
純次の一目惚れ。
享年85




