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いざ!ギルドへ

第二隊の悠里にあてがわれた部屋に戻って来た。

グラントが空いてるから使って良いと貸してくれたのだ。


家具も揃っており、使い勝手も良さそうなウッド調の可愛い部屋だった。

トイレは部屋にあるが、お風呂は男女別に大浴場があり、食事は食堂で皆んなでとる。


隊員では無いので、働いて家賃を払うと言っても、良いからと、グラントは笑って去って行った。

男前である。ドSの誰かに爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。

悠里はそっとその背中に手を合わせていた。



紅茶を淹れて、取り敢えず件の純ノートとやらを読む準備をする。


一息ついて、さて、と怪しい純ノートの女性用の表紙を開いてみた。


『やぁ、子猫ちゃん。辛い思いをしてないかい?さぁ!おじさんが慰めてあげるよ』

ブルル。鳥肌。

やっぱりこのパターンと、そのまま閉じてしまった。


しかし、純次のウザさを我慢して続きを読まなかったことを後々悠里は後悔することになる。




勉強会の次の日には、仲良くなった2つ年上の第二隊のアンナさんとギルドにやって来た。


アンナさんはスラリとしたモデル体型のダークブロンドにエメラルドの瞳のとても綺麗な人だ。

サバサバしてて、裏表がなく、面倒見も良い。

こちらに来て、寂しくなかったのは彼女と第二隊皆んなのお陰だった。



ギルドの一室で職員のお姉さんから、会員登録と仕事する上での心得など、細かい説明を受ける。

希望の職種なども聞かれたが、よくわからなかったので、能力が発揮できるものなら何でも良いと答えておいた。


「ちなみに魔力判定は?」と聞かれ、答えると軽く目を見張っていた。

「魔力 特大はほとんどいないのよ」

「自分ではよくわからないんです」

「そうなのね」と言いながら、用紙に魔力量特大と記載していた。


説明の後は顔写真付きの会員証も発行してもらう。

身分証にもなるらしい。


傾けると表面が少しキラキラしてる。

破損と汚れ防止の魔術がかかっていた。

こんな細かいところまで、魔術は本当に生活に根付いてるんだなと感心する。


明日でちょうど異世界に来てから2週間。

まずは無理せず出来そうな簡単なものからやってみよう!と、カードを手に悠里は前向きになっていた。


魔術の方は相変わらず、究極のリラクゼーション、モード ポメラニアンになる方法はさっぱりわからないが、

体内魔力の巡らし方、呼吸法で、ある程度は調整できる様にはなっていた。


悔しいが、鬼教官の指導はさすがだった。


ギルドの帰り道、せっかくだからとアンナさんがカフェに誘ってくれた。


こちらに来てから怒涛の日々でゆっくりする暇も無かったから、もちろんと、悠里は笑顔になる。


授業最終日に当分の生活費として、ウォルフから50万ウェンを渡されていた。

1ウェンが1円。

こんなに沢山と恐縮する悠里。


「これからの働き、期待してますから」

と笑みを深めて言われると受け取らざるを得なかった。断る方が怖い。



時刻は午後1時過ぎ。

適度に混んだ店内、窓際の席に着いた。

二人でメニューを見て、アンナさんはカレーの紅茶セット。

悠里は本日のおススメパスタのコーヒーセットを注文する。


注文が届くまでの間、アンナさんにこの1週間のウォルフ教官の指導をかいつまんで話すと、物凄くびっくりされた。


「えぇ!?その内容、普通は数ヶ月くらいかけて教えるよ。大丈夫だった?」

「・・・やっぱりね」


改めてウォルフ(鬼教官)は信用ならないと、再度心に誓うのだった。


「もう、本当に大変だったんですよ。あの人鬼ですよ」

「コルド宰相はユーリが出来る子だって思ったから、自分で教えたんだろうね」

「そんなに優しくないですよ」

「効率重視で無駄を嫌うらしいよ。ユーリに期待してるんだよ」

「えぇ?そうかなぁ」


ドSな日々を思い出す。

確かにアグレッシブルが過ぎたが、褒めて伸ばす。飴と鞭の使い方は異常に上手かった。



「でも、そんなに急ぐ必要も無かったのに何でだろうね」

アンナさんが不思議そうに言った。

言われて初めて、気がついた。



「お待たせしました」

可愛いメイド風の制服を着た店員さんが、カレーとパスタを置いてくれた。


会話はそこで中断し、二人は食べ始めた。

こちらに来てから、悠里は歴代の渡り人に何度感謝したことか。

食べ物も飲み物も本当に美味しい。

水も空気も澄んでる分、こっちの方が美味しいくらいだった。


「この後はジュンジ・サカタのお店で洋服と下着も買いに行こう。まだ足りないよね」

「あの人、そんなことまでしてるんですか!?」

「??一番人気よ。今ユーリが来てるワンピースも靴もそこで買ったのよ。今は長男がオーナーで次女がデザイナーやってるの」

「そうなんですか・・・楽しみです」


着ている服は女性隊員たちが良かったら着てと、お下がりをくれた物だ。

可愛くて気に入っていた。



結果。ジュンジ・サカタ、通称J.S(ジェース)悠里の好みにドンピシャで、お値段も手頃で最高だった。

特に純次のデザインしたというジュンシリーズは服も下着も靴も鞄も一番好きだった。


数分後の試着室で

「純次いい仕事する・・・」

純次への尊敬度が少し上がった。

「全ての子猫ちゃんたちに愛を」をモットーに価格設定は手頃にしています。

素材はイメージで出せるので、お安く出来るのですね。

子供たちその子供たち、全て一族に能力は引き継がれ、それぞれに活躍していて、坂田一族は大変裕福。

残されるメロディちゃんのために純次、頑張りました。

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ご覧いただきありがとうございます。 アルファポリスでも連載しております。 よろしくお願いします。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/41904989/417615193
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