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やる気ない島に住んでいる美人すぎる巫女にコンビニ弁当をやりに行く。

作者: タオニア

巫女

やる気はない。ただ顔は良い。


42歳

it会社勤務のおっさん。この世界ではやる気ある方。毎日歯を磨いている。






19✕✕年。世界は核の炎に包まれた。


「あーめんどくせえなあ」

ミーンミンミン。

ジリジリ。

「なんであいつにコンビニ弁当なんて持って行かなきゃいけねぇんだよ」


そこに一つ島があった。

それはやる気ない島。島民がやる気を失っている島だった。



この島には一つの神社があった。

長い長い階段を登った先の神社である。

約160段くらいなのか。

俺はセブンイレブ○で買った温玉付き牛丼を片手に、袋をガサガサ言わせながら階段を上っていく。

その時にもいつもの素晴らしい神社の光景があった。


「...」


境内を掃除しているわけでもなく、水汲みをしているわけではなく。

賽銭箱の奥で死んだような顔で眠っている女を見つけた。


コンビニ弁当を置いて、俺もその近くに座った。



「この世界に何で生まれたんだろう...」

「生まれてこなきゃよかった」


「早くご飯食べてくれて」


「いつも悪魔が私の心の中を揺さぶり続けるんだ」

「んで」


「どうかな」

「この世界に生まれたこと自体が...」

「はいはい」

「あと二口くらいだろ」

「あ...」


めんどくさいから残りの牛肉を押し込む。

もぐもぐ。


〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜



ほら見ろやっぱりだ。

私がこの話をするとあいつは面倒くさそうな地獄のような顔をしているじゃないか。

これは得意の照れ隠しだってあいつがよく言ってたぞ。

三角コーナーの中のヤバそうなところを見るような目で私を見つめてくる。なんて奴なのだ。


「聞いてくれ」

「あ?」

「何かをしようとすると...あいつがやってくるんだよ」

「私の心を蝕んでいくあいつはいったい」

「やる気がねーんだよ」


「宇宙のような絶望感」

「何だよ宇宙って...」


「近づいたら私の心の元気を奪っていくんだよ」

「みんなそれでも頑張って生きてんだよ」


「お前なんかに私の気持ちなんか...」


「今日は元気だな」


ペタン。


「ごめん」

「いやいいよ別に」

「本当にお前がやる気なくて」

「ツッコミにツッコミを返すのがめんどくさいってことぐらいは」

「まあなんとなくわかるから」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「今日の下着知ってる?」

「昨日と同じだろ」

「なっ...ち、違う//」


「なんでそのことを知っているんだ」


「まさか知らない間に私のことを」


「チャーハンこぼしただろ」


俺はそいつの耳にイヤホンをねじ込む。

「きゃ...そんな激しく...」

「もっとやる気をこめて言ってくれ」


音楽を聴くとこいつは落ち着く。

好きなのはレインのオープニングらしい。

...知らんけど。



「それだけではこれを読んでいる人は」

「お前が言い訳をしているようにしか思えないだろ」


「〜♪」


「もしかしたらそれを言い訳にして...」

「あんかけチャーハンだっただろう」


「あーそういえばそっか」

思いっきりこぼしたんだった。


「忘れていたね」



〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜〜〜〜


「今日はやけに元気がいいな」


その男はどうでも良さげに目を細める。

この目はとても優しい...と我ながら勝手に思う。


「そんなことねーし」

「本当はいつもと違う牛丼でちょっとわくわくしたってだけだよ」

「全部言わなくていいから」



「私は顔が良すぎるからな...ドキドキするだろう?」

「自分で言うな」




とんとんとんとんとん。

心地いい音である。

玉ねぎ。

ちょうど親子丼を作るときに使うような大きさ。

もちろん私が!

ふっふっふっ。


遠くで見ているあの男が青天の霹靂のような顔をしている...ざまあみやがれ。

「指切らないようにな」

「はーい」


ここで皆は疑問に思っているだろうな...。

私はやる気がないはずなのになぜ台所で玉ねぎをザクザク切っているのか...。


まあこれくらいは出来る。

私はやる気がないだけだから。


「あーあちー」

男はどうもいい加減な顔で胸元をパタパタさせている。



今日も世界は平和である。

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