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副島に対する2球目も、鉢谷は振りかぶった。三塁ランナーの蛇沼が大きくリードをとる。
ストライクッ!!
副島のバットが空を切った。キャッチャーが外角低めでミットに収めている。
「ス、スライダー……」
鉢谷は今度はスライダーを投じていた。誰かに教わった訳ではない。見よう見まねながら、鉢谷は驚異の集中力でスライダーを投げ込んだのだ。
こうなっては、副島も絞りようがない。鉢谷が再び振りかぶる。副島は早く対応しようとする。そのボールは一気に速度を弱め、また副島の手前で揺れた。完全に崩された副島のバットが空を切る。鉢谷は拳を力強く握った。
続く滝音もさすがに的を絞れない。もともと変幻自在のピッチングに球種まで増えてはどうしようもない。
一度もバットにかすることなく、滝音がほぞを噛み、鉢谷は再びガッツポーズを作って吠えた。
「よーし! 鉢谷ナイスピッチング! 3点! 3点ならいける」
福岡ナインが嬉々とした表情でベンチ前に集まる。鉢谷は誰にも見られないように、背を向けて微笑んだ。3点取られてしまったけど、みんなの希望を繋げられて良かった。
だが、甲賀ナインとは、死線をくぐり抜けてきた先祖の血を受け継いだ者たち。やはり、隙は見せない。
意気込んで打席に向かう福岡高校ナインに対し、すさかず滝音がタクトを振るう。
『甲賀高校のピッチャー、藤田くんに代わりまして、白烏くん。藤田くんがレフトに入ります』




