表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/91

2

 7回裏。

 福岡高校の攻撃。打席にはこの試合、唯一のヒットを打っている福岡高校主将、山﨑が立った。


「あんた、頭いいよな。いわゆる野球脳ってやつ?」


 山﨑が打席に入り、滝音に声をかけた。


「さぁ、どうなんだろうね?」


「滝音くん? やっけ? あんたの名前は全国模試でも見たことないけんね。野球だけ頭が回るってやつなんだろうな」


 小さく滝音は笑った。


「訳あってね。そんなところに名前が載るわけにはいかないんだ。本気で試験に臨んだら、全国で五本の指には入ると思うけどね」


「はは、言うね。じゃあ、こっからは頭脳勝負させてもらうばい。逆転させてもらうけんね」


 山﨑は三塁コーチャーをちらりと見て、サインを確認した。滝音もそちらを確認する。ヘルメットの鍔や肩や肘、いたるところを触りながら、目線をところどころに動かしている。サインが長い。明らかに前の回までと違っていた。

 この回、確実に何かを感じとり、何かを仕掛けてくる。


 マウンド上の白烏は落ち着いていた。

 ここまで6イニングを投げ、被安打1、与四死球9、失点0。四死球は多いが、ここまで踏ん張っている。四死球は試合序盤に出したものが多く、コントロールは徐々に安定してきていた。被安打1は特に自信になっていたようだ。


「甲子園って投げやすいぜ。だいぶ慣れてきた」


 マウンドの土をぐっと踏みしめる。左足を踏み出す位置を確認する。踏み出す足の位置さえ気を付ければコントロールのブレもなくなってきている。そこさえ意識すれば、この試合は藤田を頼らずともいける。

 滝音がパァンとミットを鳴らした。守備陣が腰を落とす。伊香保がベンチから警鐘を鳴らしたのを、甲賀ナインはしっかり受け止めている。油断は微塵もない。


 山﨑はバットを短く持ち、グラウンドを見渡していた。足の爪先がバッターボックスの土を弾いている。早いリズムで何かを確認するように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ