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甲賀忍者、甲子園へ行く2《甲子園編》  作者: 山城木緑
初戦 文武両道 福岡高校
54/91

27

 桐葉への初球。

 ふわふわと揺れるボールを桐葉はぴくりと反応を見せるも見送った。

 低めいっぱいにストライク。

 続く二球は最後に大きく揺れていずれもボール。手を出せば、当たってもバットの先であっただろう。


「……なるほど」


 桐葉の視線の先にバックスクリーンがある。フラッグは激しく揺れている。桐葉は腰にあてていたバットを寝かせて、ピタリと止めた。

 キャッチャーと鉢谷が目を合わせる。何かまたやってくる。


『あっと、桐葉くんはバットを寝かせましたね。構え自体も独特ですし、打ち方も独特ですが、地方大会での打率は5割を超えている打者です。ホームランも3本打っています。解説の渡部さん、この構えはどんな意図があるでしょうか?』


『いやぁ、私も長年高校野球に携わってますが、この桐葉くんのような打者は初めて見ます。意図は分かりませんが、ミートに重きを置く。ということでしょう。もうひとつ……バットの持ち方も変わっていますね』


 言われて実況が確認する。カメラがアップに切り替わると、確かに桐葉のバットの持ち方がおかしい。

 バットは、雑巾を絞るように肘を内側にたたみ、手首を締め上げて持つのが基本だ。今、カメラにアップで映る桐葉の両手はだらんと外に開いている。肘もだらしない。バットの基本の握りかたは剣道の竹刀の握りかたに類似するが、まるで釣竿を垂らしているような握りかたなのだ。


『鉢谷、大きく外すか?』

 キャッチャーがそんな意図のサインを送る。

 鉢谷はしばらく迷い、首を振った。風は好条件。逃げて3ボールの方がまずい。


 先頭打者は出させない。


『舞え、幻蝶!』


 動かない桐葉。本人の桐葉以外、いったい何をするのか分からない。球場の誰もが静まりかえった。

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