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甲賀忍者、甲子園へ行く2《甲子園編》  作者: 山城木緑
初戦 文武両道 福岡高校
48/91

21

 白烏は単純だ。そこが滝音にとっては救いである。

 肘と肩を開かずに、踏み出した足の爪先はしっかりと滝音に向かっている。糸を引いたようなストレートがミットに刺さる。


 ストライーーークッ!


 球審の拳が高く上がった。

 三番打者のキャプテン山﨑は手も足も出ず、続く福岡高校打線のキーマンである古賀もバットに当てることはできなかった。スコアリングポジションまでランナーを進められたものの、結局は無失点でこの回を切り抜ける。


 球速表示が出ないほどの遅いナックルを操る鉢谷と、球速表示は今大会屈指のスピードを誇るが危なっかしかった白烏。この対称的な両者の初回は結果的にゼロで終えることとなった。



 動きは、甲賀高校から先に生まれた。


 二回表。打席に四番を任された蛇沼が向かう。


「神さん、四番って変な感じやわ」


「せやね。蛇沼くんは四番感ないわ」


 月掛と桔梗が、ザ・平均の体格である蛇沼の背中を見つめる。


「橋じいのボケが原因で負けたら、俺ぁ悔やんでも悔やみきれんぞ」


 道河原が言い、ベンチ奥の橋じいは麦茶をちびちび飲んでいる。


「さぁ、災い転じて福と成すかもしんねえぞ?」


 タオルで汗を拭う白烏が割って入る。桔梗が眉間に皺を寄せて訊ねた。


「えー、なんで?」


「だって、蛇って蝶食いそうやろ?」


「え……そんだけすか?」


「……あぁ、そんだけだ」

 

 シーンとするベンチの端で滝音が笑った。


「はは、まあ、でもそうかもしれないぞ」


 打席でバットを担いだ蛇沼にはどことなく余裕が見える。まだ、顔はいつもの可愛げのある顔をしている。

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