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「…………結人。イチから説明するぞ? ここは甲子園だ。負けたら終わりだ」
「おう」
「……い、いや、おう、じゃなくて。……その、たぶん、結人はスカウトを意識してるけど、スカウトは今ガッカリしてるぞ?」
「……そっか。確かに滋賀学院と遠江とやった時ほどは速さ出てねえって自分でも分かる」
「……んーーーーー。……んーーーーと、結人。見てみ。塁にもう二人も出てる。ピンチだ。スカウトってのはな、スピードガン構えてるけど、球速だけ調べに来てるんじゃないんだ。抑えられるピッチャー探してるんだ。ストライク入れないピッチャーは200km/h出てても要らないかもだぞ?」
「マジかっ!」
三バカトリオの二人、道河原と月掛さえも目を丸くした。この人、バカだ。
「……うーーーーーーんと、そうなの。だからストライク入れよう。で、話戻すけど、プロへの夢見る場所じゃないの。みんなで全国制覇するんだろ?」
「あぁ、そうだ」
「じゃあ、ちゃんと肘を広げずに腕を振って、踏み足の爪先は俺に向かうように投げなさい。分かった?」
「おう」
幼児のトイレトレーニングのようなミーティングは終わった。滝音が副島に向かってOKサインを出す。副島は、ほんとかよ? と両手を広げて首を傾げた。
「ノーアウトォォォ!」
白烏が手をグーにして外野にアピールする。道河原と月掛は顔を見合わせて、俺らはここまでアホじゃないよな、と確認する。
何はともあれ、試合再開。




