表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
甲賀忍者、甲子園へ行く2《甲子園編》  作者: 山城木緑
初戦 文武両道 福岡高校
31/91

4

 三年生が引退し、新主将に任命された山﨑は図書室にいた。

 放課後、貴重な部活の時間を削ってでもやりたいことがあったのだ。山﨑は図書委員に詰め寄っていた。


「リクエストしとっとに、何で取り寄せてくれんとや!」


「山﨑くんのリクエストのは、山﨑くんしか読まんやろもん。なんよ、これ? 『投球力学』、『誰にも打たれないストレート』、『変化球と身体のメカニズム』……入れたところで、山﨑くん以外に読む人なんて30年後にもおらんと思う」


 図書委員は細い眼鏡のフレームを人差し指で上げて、毅然と山﨑の要請を断る。


「生徒が入れて欲しいって言いよっとにから」


「それを入れられるくらいなら、今年の芥川賞作品を入れます。はい、終了」


 図書委員は読んでいた本をぱたりと閉じ、山﨑を追い払うように手を振った。


「冷てえなぁ……」


 吐き捨てるように山﨑が言うと、くすりと奥から笑う声が聞こえた。

 山﨑が視線を送ると、一番奥の席で本に囲まれている生徒が見える。


 あいつ……たしか、鉢谷はちやって言ったっけ?

 山﨑は奥に座る生徒に目を凝らした。前髪が目を覆うほどに伸び、表情は窺い知れない。

 鉢谷はほとんどの生徒が部活動に参加している福岡高校で、珍しい帰宅部の一人だ。ほとんど話しているのを見たことがない。


 さっき笑ったのは、あの鉢谷だろうか? それにしては全くこちらに興味が無さそうだ。ほとんど身体を動かさず、ページを捲る指先だけが動いている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ