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甲賀忍者、甲子園へ行く2《甲子園編》  作者: 山城木緑
初戦 文武両道 福岡高校
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1

 ──その高校は福岡県公立御三家の一校として、これまで数多くの生徒を旧帝国大へと送り出し、政界、財界をはじめとした著名人を世に何百人と送り出してきた。


 福岡県立福岡高等学校。


 この福岡高校は、なにも勉強だけが取り柄の学校ではない。文武両道を掲げ、生徒のほとんどがいずれかの運動部に所属している。

 中でも、ラグビー部は伝統校に数えられ、県内屈指の強豪となっている。私学の雄、西福岡高校に花園出場の道を阻まれているが、日本代表を輩出してもいる。

 このラグビー部をはじめとして、勉強だけが取り柄の弱小運動部という部は、ほぼ無い。サッカーもテニスもバスケットも、剣道や柔道まで、県大会では健闘している。

 この健闘を誇り、更なる高みを目指すため、全校集会では各部の成績が発表される。三回戦敗退であろうと、皆が拍手する。準決勝敗退ならば拍手は大きく、決勝進出の部へは応援団からエールが飛び交う。これも伝統行事だ。

 ただ、毎年、拍手をまばらに浴び、失笑を買う部がひとつある。


「野球部、初戦敗退」


 そのアナウンスのたび、失笑が漏れる。


「野球部、俺らが負けたらいかん猷修館に負けたらしいばい」

「はずっ。ありえん」

「今まで初戦敗退以外は聞いたことなかもんな」


 ひそひそと生徒たちの声が漏れ、野球部主将の山﨑《やまざき》は唇を噛み締めた。


「……何で俺らが悪しき伝統ずっと背負わないかんとやろ……」


 文武両道を掲げるこの学校において、いつも初戦敗退を繰り返す野球部は肩身の狭い思いをしていた。

 それには過去に野球部が背負った事件が関係していた。

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