7
頭良さそうだな。それでいてスポーツ大好きって感じか……。
副島はあちらから寄ってくる福岡高校キャプテンにそんな印象を持った。壇上中央でピタリと両者止まり、同時に手を差し出した。
「福岡高校、山﨑です。よろしく」
「甲賀、副島です。よろしく」
手を握った瞬間、熱さを感じた。対戦相手の熱量を実際に感じ、副島は急激な胸の高鳴りを感じた。
「はい、では、握手のまま顔はこちらでお願いしまーす」
対戦カードを背に、握手をしたままカメラに目線を送る。この写真が新聞に載るのだろう。副島はふと、高い天井を見上げた。
兄ちゃん、俺、兄ちゃんと同じとこにおるぞ。見とるか?
副島の視線が下がったのを確認して、福岡高校キャプテンの山﨑は副島に語りかけた。
「副島くん、お互い初出場。良い試合をしよう」
「ああ、この試合で勝った方が優勝や。そんな試合にしようや」
「はは、面白いな。じゃあ、また」
「ああ」
両者の熱き右手が離れる。ここから、両者は敵となる。
初戦の相手は福岡県立福岡高等学校。甲賀とともに初出場。
何だか、良いじゃねえか。副島は身体じゅうのワクワク感に浸っていた。席に戻ると、伊香保と滝音がグータッチをしてきた。
「これ、対戦相手に恵まれたとか、そんなんじゃないぞ。お疲れ様って意味だ。まぁ、でも、なんだか良い初戦になりそうだ」
滝音が言い、伊香保が笑みを浮かべて頷いた。
「あぁ、分かっとる。幸い、二回戦からやし時間もある。伊香保、頼むで。ほんで俺らは練習できる。ギリギリまで詰めるぞ!」
こくりと滝音、伊香保が頷く。副島は前方に座る福岡高校を見た。福岡高校キャプテンの山﨑もチームメートと少し話をし、斜め後ろを振り返る。副島と滝音、伊香保の目が、福岡高校の山﨑と隣にいる部員二人の目と合った。
「よろしく」
「よろしく」
4日後、ついに夏の甲子園が開幕する。




