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抽選は、各校の主将がくじを引き、その番号を読み上げる。設けられた主将席から、次々と主将たちが席を立ちくじを引いていく。
対戦相手が決まるごとに会場がどよめく。大阪の大阪桐心、和歌山の理弁和歌山、東東京の帝東、福島の清光学園、愛媛の審美……今大会の注目校の対戦が決まる度に、記者席から大きな唸り声にも似た歓声が上がっていく。
副島は少しの緊張と、大きな高揚感とともに右手でくじを引いた。既に背後のボードには半分以上の校名が記されている。
「甲賀高校、23番Aです」
副島の声が響き渡った。
遠目に滝音と伊香保の笑顔が見える。振り返ると、甲賀高校の大きなカードが大会七日目の第一試合に掲げられようとしている。二回戦からの出番か……。選手層の薄い俺らにとっては格好のくじじゃねえか。副島は自分のくじ運を褒め称えた。
ボードを掲げる女性で隠れていた対戦相手が見える。
福岡県立福岡高等学校。
『二回戦の大会七日目第一試合は滋賀県代表の甲賀高校と福岡県代表の福岡高校の対戦となりました。どちらも初出場のフレッシュな対戦です』
ぞわりとした何とも言えない感情が副島の背中を這った。
始まる。夏が、甲子園が、ほんまに始まるんやわ。
抽選会で一番のどよめきが起こったは選手宣誓のくじを引いた瞬間だった。副島も含め立候補した主将たちでくじを引く中で、選手宣誓を引き当てたのは、これまた初出場の公立高校、鳥取の伯山高校という学校であった。
主将がはにかみながら、引き当てたくじを高く掲げる。その様子を手を叩いて喜んでいる客席がある。伯山高校の面々だろう。無邪気に笑い、これぞ高校野球というチームに見える。
かくして、甲賀高校の運命は決まった。これから各対戦カードごとに主将が対戦カードを背にして握手するのが決まりごととなっている。
『では、甲賀高校と福岡高校の主将、前へお願いします』
お互い反対側から中央へと歩み寄る。




