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広く綺麗なフェスティバルホールに、全国各地から到着した49代表校が揃っている。各校の関係者が最前列から3階席までずらりと並び、ステージには端から端まである大きな対戦カード表がそびえている。たくさんのライトに照らされ、対戦カードが決まるのを今か今かと待ちわびているようだ。圧巻の光景だった。
夕日テレビのアナウンサーが司会を務めるようだ。軽快でいて厳かに抽選会が始まる。まずは大会主催の夕日新聞のお偉いさんが挨拶を述べた。
「なかなか派手な抽選会だね。わたし、さすがに緊張する」
伊香保が膝の上できゅっと拳を握った。
「俺はあいつらアホどものせいで緊張なんてせえへんわ」
副島はまだ頭痛が治っていないのか、頭を押さえている。
『では、これより抽選に移ります。Aを引けば一塁側、Bを引けば三塁側となります』
抽選のルール説明が行われ、まずは4校の名が呼ばれた。
先に北海道の2校、東京の2校が抽選に挑む。同都道府県の初戦での対戦を避けるためだ。
4校の主将が壇上中央へ登る。一際、目立つ存在がいる。東東京代表、帝東高校の今大会ナンバーワンスラッガーと呼び声高い、龍造寺謙信が壇上中央に立っていた。周りの3人の主将より一回りも二回りも大きい。
「……あれかな? 道河原がずっとライバル視してる相手は?」
滝音が伊香保に訊ねた。
「ええ、そうよ。今大会一番のスラッガーね。野球ファンなら誰でも知ってるわ。既に日ハムの清宮選手が打ち立てた高校通算本塁打数は目の前。この大会で更新されるのは確実と言われてるわ」
伊香保は頭に入っているデータを反芻しているようだ。
「さすがやな。伊香保がいれば、どこも丸裸にできそうや」
副島は笑って、席を立つ準備をした。既に他の主将たちはぞろぞろと壇上へ向かい始めている。
「ほな、引いてくるわ。大阪桐心と理弁引いてもうたら許してくれ」
滝音は笑って応えた。
「どこも一緒だ。俺らはCランクなんだから」
「せやな、ほんでも、俺らは20日後、あそこにおる。せやろ?」
副島は大きな対戦ボードを指差した。副島の人差し指は対戦ボードの頂点を指差していた。
「あぁ、当然だ」
「うん、わたしも頑張るよ」
滝音に背中を押され、副島は壇上へと歩みを進めた。




