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 地下鉄の駅から地上に出ると、むわっとした熱気に包まれた。

 もくもくと昇る雲が太陽を隠している。雲の陰に隠れながらも、太陽がぎらりと夏の輝きを持っているのが分かる。大会が始まる頃には雲から出て、球児たちを輝かせるのだろう。

 堂島川が細かにさざめいて、その上に架かる橋を会社員たちが忙しそうに行き交っている。

 副島は印刷した用紙を鞄から出し、目の前の高いビルを見上げた。抽選会場となっているフェスティバルホールはこのビルだ。


「……でけえな。緊張してくるわ」


 くしゃりと用紙を鞄にねじ込み、橋を渡り終えると、全国から集まってきた主将たちだろうか、ちらほらと制服姿が見えてくる。

 一階のエントランス付近で滝音と伊香保と待ち合わせをしている。副島はビルの玄関へと急いだ。


 今年の夏は例年より暑い。たった5分歩いただけで汗が噴き出し、副島は首にかけていたタオルで汗を拭った。   

 ビルのエントランス付近には高校生がたむろしていて、周りを会社員が通りすぎるという珍しい光景が広がっていた。副島は滝音と伊香保の姿を探そうと首を伸ばしたが、その前に気になることが目についた。道行く会社員たちが、怪訝そうな目をしている。その目は、ある高校生の人集りに向けられている。そういえば、その周りの高校生たちも、ある一団の高校生の集団に目を向けている。

 はっきりと姿を認識できるほど、ビルのエントランスに近づいてきた。嫌な予感がしていた。明らかに道行く人々は一人の高校生に注目しているようなのだ。

 副島は血の気が引くのを感じた。皆に目を向けられている高校生の集団に見覚えがある。というより、毎日見ている。その中の一人の腰から何やら長いものが伸びているのがハッキリと見えたのだ。道行く人が見ているのは、その長いものだ。副島にはそれが何なのかが分かった。


「おいおいおいおいおいっ、あいつ、ちょっと待て。マジか。あいつ、マジか」


 副島は打球を追うより早く駆けた。

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