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 各守備位置へついたナインへ副島の一際大きな声が響く。


東雲しののめぇ! ボール、バックホーム!」


 痛烈な打球がライトを襲う。素早く追いついた桔梗が助走も束の間、滝音めがけて低い送球を放った。滝音のミットに桔梗の返球が刺さる。


「まだまだや! ノーバンで返そうとすな。ツーバンで返す意識や。ほんで月掛ぇ、ぼーっとせんとラインに入っとれ。まだ甘いぞお前ら!」


 やっと甲賀らしい練習となってきた。各々から声が飛ぶ。月掛が飛ぶ。道河原が身体を張る。俊足の犬走いぬばしりが外野を縦横無尽に駆け回る。


 それを見て、ある者がひと粒の汗を拭った。


「やれやれ。来た甲斐全く無いかと思ったわ。やっと練習らしい練習になりおった。資定しじょうさんもそろそろ着く頃かな」


 夕日テレビのスタッフが、ふとグラウンドの端に目を移した。


「ん? あ、あれって……」


 様子に気づいたディレクターがスタッフに寄る。スタッフの目線を辿った。


「どうした?」


「いや、あそこ……。あれって……」


「…………な、何で彼がここにいるんだ」


 ディレクターとスタッフが見据えた先から、練習を止めるほどの声が響いた。


「おいっ、甲賀。俺も練習まぜてくれ」


 グラウンドの端に置かれたゴールポストに、よその制服姿の男が座っている。足を投げ出し、へらへらと小馬鹿にした笑みを浮かべている。その男にいち早く月掛が反応した。


「あっ、あいつ!」


 今にも月掛の髪が逆立ちそうだ。月掛はその男を忘れていなかった。

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