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「……蛇沼、ほんまか?」


「え? 何が?」


「ほんまにお前がエラーしたから桐葉もエラーしたんか? お前がエラーしたから月掛は宙返りしたんか?」


 輪になったナインがその言葉に固まった。蛇沼が申し訳なさそうに鼻の頭を掻く。しん、とグラウンドが静まる。ここで、たまりかねたのか桔梗が口を開いた。


「……いやいや、悪かったよ、副島。あたしらもちょっとTV意識し過ぎた。でもさ、わざわざ今言うことじゃないんちゃうの? せっかく夕日テレビ来てんのに。後でええやん。ちょっと大人げないんちゃう?」


 桔梗が両手を広げて膨れていた。何人かが同調するように頷いた。


「大人げない……か。そうかもしらん。幼稚やったわ、俺は」


 副島はそう言って首をゆっくりと振った。


「ほんじゃあ、続きやろうぜ。ほら、あっちからカメラ向けてくれてるやん。練習再開すんの待たせてて申し訳ねえぞ、副島」


 白烏結人しろからすゆいとがTVクルーを指差したが、その手を滝音が掴んで、そっと下ろした。白烏の目を見て、滝音が諭すように目配せをした。

 このチームで副キャプテンを任されている秀才、滝音鏡水たきおときょうすいは副島の言葉の意図を飲み込んだようであった。


「副島、お前らしくない。言いたいことは言ってくれ」


 滝音と副島がそのままじっと目を合わせる。副島の隣で二年生の藤田が心配そうに二人に目をやっていた。

 藤田はずっと副島と二人でこの野球部を守ってきた。それだけに藤田は甲子園出場を決めてからの副島の違和感に気づいていた。一方で、喜び回る先輩たちと一緒に浮かれてしまう自分もいて、副島の違和感へ向き合えていなかった。


 甲子園出場は決めたが、チーム状態は良くない。これは誰もが感じていた。

 それでも、校内がお祭りのように騒ぎだし、マスコミが来るようになり、皆がそこに目を背けていた。

 今、この状況の打破はキャプテン副島と甲賀の頭脳である滝音に託された。


「……滝音。お前は頭良くてキャッチャーとして全幅の信頼を寄せられる。お前みたいなやつに入ってもらえて、俺は心の底から感謝しとる。滝音だけとちゃう。プロでも打てへんのちゃうかって球を放る白烏も、相手の裏かける蛇沼も、ありえへんほど飛ぶ月掛も……。みんなや。俺はお前らにほんま感謝しとる」

 

 とつとつと、副島は語り始めた。

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