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外れスキル翻訳でチートに  作者: 幻影十夢
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そして自由の身に

精霊達から加護を授かって俺はその力を使いこなせるよう精霊の指導の下で訓練してはレベルを上げて精霊の試練に挑み、五年の歳月をかけて全ての試練を突破することができた。

本当は試練なんか無視してもっと早く行くべきだったかもしれないと思う。けれど、そんなことをしてせっかくの加護を失いたくはなかった。

それに精霊達の助言も受けながら訓練する日々で確かに与えられた加護は強大なものだと思い知らされた。

これは明らかに個人で身に付けていい力ではないし、振るっていい力でもない。

自分の意思で制御しなければ危険極まりない力だ。

だからこの五年間でその力をしっかりと我がものにすることに成功した。

それに…………。

「《ステータスウィンド》」


リブロ・リーベラ

Lv145

体力:1540

筋力:1465

耐久:1236

敏捷:1421

魔力:1380

スキルポイント:216

スキル:翻訳LvMAX・回復魔法Lv9・治癒魔法・Lv9・炎魔法Lv5・風魔法Lv5・水魔法Lv5・土魔法Lv5・鑑定Lv6・剣術Lv4・魔力強化Lv7・暗視Lv4・索敵Lv7・魔法耐性Lv5・物理耐性Lv5


それに五年間鍛えただけの価値はあった。

精霊の加護を受けて精霊達の助言を貰いながらモンスターを倒して強くなった。

精霊達が経験値の豊富なモンスターやクレシタの実のようにステータスを上昇させる実を教えてくれたおかげでここまで達成することができた。

正直、やり過ぎた感はあるもここまで上げておかないと精霊達の試練を突破することはできなかったし、強くなって損なことはないからそこは気にしないでおくことにした。

『試練突破おめでとう!』

『おめでとう!』

『頑張ったね!』

『えらいえらい』

「ありがとう。皆のおかげだ」

精霊達からの祝福の言葉。

本当にここまで強くなれることができたのも精霊の導きのおかげだ。感謝してもしきれない。

強くなれた。後はシャーレを助けに行くだけだ。だけど…………。

ここで一つの問題が発生する。それは俺が奴隷であることだ。

この首輪そのものはどうにでもなる。だけど、首輪を壊してあの商人から逃げたとしてもその時は俺は逃亡奴隷になって拷問を受けてしまう。悪ければ死刑だってあり得る。

それにウールさんや皆を置いて俺だけ自由の身にはなれない。

今みたいにこっそり抜け出すのとは違う。自由の身になる為には少なくともあの商人に俺や皆が奴隷を解放しても自分に美味しい何か得をするようなものを提供する必要がある。

だけど今の俺にあるものといったらチートと化したこのレベルとステータス。後は精霊の加護ぐらいだ。

けれどそれは他人にあげられる代物ではない。

どうすれば…………。

腕を組んでどうやったら奴隷という身分から解放されるのかを考えていると、爆発音が轟いた。

「!? なんだ!?」

突然の爆発音に驚いた俺は空を見上げると、黒い煙が立ち上がっているのが見える。

だけどあそこは…………。

「皆…………ッ!」

あそこは今、行商中の皆が休憩している方向から煙が上がっているのが見えた俺は居ても立っても居られずに精霊の力で空を翔ける。

そして爆発の中心点の到達して地面に降りる。

「うぇ」

そこは地獄絵図だった。

爆発を受けて多くの人は身体が千切れ飛び、贓物を辺り一面に撒き散らしていた。他にも全身が真っ黒に焦げた死体や爆発の余波で飛んできた石や破片が身体に直撃して突き刺さっている死体も転がっている。

燃え上がる炎と死体から漂る異臭に俺は腹の中の物を地面にぶちまけた。

「はぁ…………はぁ…………みんな…………」

腹の中の物を出して少しは落ち着いた俺はまだ生きている人を探す。

この世界に爆弾があるとは思えない。なら、爆発系の魔法の仕業かもしれないが、何の為にそんな魔法を? そんな魔法を使えば商品は駄目になるだろうし、大きな爆発音でモンスターを引き寄せる可能性だってある。少なくとも盗賊の仕業ではなさそうだけど…………。

「…………だ、だれ、か…………」

「!? 今助けます!」

微かに聞こえた助けを呼ぶ声に俺は急いで駆けつけるとそこには俺に魔法のことを教えてくれたアイネさんが血塗れで倒れていた。

出血も多く、怪我も酷いけど…………今の俺なら!

「《エクストラヒール》」

治癒魔法のスキルレベル9で覚えられる完全治癒魔法。それをアイネさんに施すとアイネさんの傷は瞬く間に消えてなくなる。

「う…………リブロ…………?」

「はい。俺です。リブロです」

俺の顔を見てアイネさんは心底安堵した顔になる。

「よかった。貴方は無事だったのね」

「助けるのが遅くなってすみません。ここにいてください。俺は他に生存者がいるか確かめてきます」

ひとまずアイネさんを安全な場所に移して俺は他に生存者を探すと…………。

「ウール、さん…………」

そこには首から上だけのウールさんの死体が転がっていた。

俺に強くなれる方法を、戦い方を教えてくれた師匠的存在でもあるウールさんが死んだ。

その傍には盗賊の技術を教えてくれたロイバーさん。

それ以外にも多くの人がバラバラになっていた。誰一人五体満足の人がいないほどに…………。

「なんで…………」

いったい、誰が、何の目的でこんなことを…………。

何もかもがわからないまま俺は生存者の確認をしていくが、アイネさん以外で生きている人はいなかった。






「何があったんですか?」

全員の死体もしくは遺品を埋葬させて俺は唯一の生き残りであるアイネさんに何が起きたのか事情を尋ねた。

「……………………私も、正直なにがなんだかわからないのよ。いつものように皆で休憩していたらあいつが現れたの…………」

「あいつ?」

訊き返すとアイネさんは全身を震わせながら教えてくれた。

「姿を隠していたから正体はわからない。けど、魔法使いである私には見えてしまったの…………ッ! あの禍々しいまでの魔力を! アレは人間じゃない! 人間を超越した化物よ!」

恐怖で身体を震わせて声を荒げるアイネさんの表情は心底怯えている。

「あいつから一番離れていた私は咄嗟に防御魔法や障壁魔法を発動することができたら生き残ることができたけど…………けど、あいつと戦おうとしたウール達は…………ッ!」

「アイネさん…………」

瞳から涙を流すアイネさんに俺は何も言えなかった。

自分だけは敵の強さに気付いていたのにそれを皆に伝えることもできず、ただ自分だけが生き残っていたことに責めている。だけど、一番責められるべき存在は俺だ。俺だけが皆の傍から離れて安全な場所にいた。

今の俺だったらもしかしたら皆を助けることもできたかもしれない。

そう思うのは傲慢かもしれない。おこがましいかもしれない。けど思わずにはいられない。

なら、今の俺にできることは一つだけだ。

「生き残りましょう…………。生きて、生き続けてウールさん達の分も幸せになりましょう。それが生き残った俺達にできることです」

「ええ、ええ!」

涙ながら何度も頷くアイネさん。

だけど俺はそれだけはいけない。ウールさん達を殺したそいつを倒して皆の仇を取る。

それがあの場にいなかった俺の責任だ。

……………………すみません、アイネさん。

俺は記憶の精霊の力でアイネさんの記憶を覗かせて貰う。

記憶から映し出された光景。アイネさんの視界の先には黒の外套にフードを被った人物が映し出された。そいつが手をウールさん達に向けたその時、そこでアイネさんの記憶が途絶えた。

きっと爆発が起きて意識が飛んでいたんだろう。

相手が男か女か、種族さえわからない。特徴はアイネさんが言っていた禍々しい魔力の一つだけ。

それを頼りに探すしかない。

「アイネさん。少し休んだら街へ行きましょう。まだ無事な商品もあればそれを資金にして」

「……………………そうね」

主人であるあの男が死んでいた以上は俺達は誰の所有物でもない。創造の精霊の力で鍵を作って俺達は自由の身になると俺はアイネさんから離れて皆の前に座る。

「ウールさん…………みんな…………」

俺の面倒を一番よく見てくれたのはウールさんだ。

顔はちょっと怖かったけど面倒見が良くて頼りになる人だった。

ロイバーさんも元々は盗賊だったから少しは怖かったけど気さくで面白い人だった。

奴隷という身分でありながらも俺はこんなにも優しくて頼りになる人達と出会えて嬉しかった。恵まれていた。楽しかった。それなのに俺は強くなることに夢中で助けることができなかった。

「……………仇は必ず、必ず取ります……………ッ! だからどうか安らかに……………」

溢れ出てくる涙と共に俺は皆の来世に幸があることを祈る。

それから暫くして無事である商品を回収して近くの街まで移動する。こんな形で奴隷から解放されたけど、これで俺は俺の生まれた街に行くことができる。

シャーレを助ける為に。

皆の仇は取る。だけどその前に俺にはやるべきことがある。

シャーレを助ける為に動こうとする俺をアイネさんが呼び止めてきた。

「リブロ。色々とありがとうね。貴方のおかげで助かることができたわ。私はしばらくはこの街で生活するつもりだから何かあったら頼ってちょうだい」

「はい」

「元気でね」

「はい」

アイネさんと別れを告げて俺は自分の生まれた街に向かって歩き出す。



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