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外れスキル翻訳でチートに  作者: 幻影十夢
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テイム

現代兵器である銃を完成させて王女様、リスティアに銃の扱いに慣れて貰ってから再び街の外にある森でレベル上げを行う。

バン! と銃声が森に轟き、その銃声と共にリスティアに銃口を向けられたゴブリンの頭に風穴が空いて倒れる。そして次々現れるゴブリンをリスティアは銃を用いて迎撃する。

どうやらリスティアは銃との相性はよかったらしく、思いのほか上手く使えている。

暫くは銃でレベルを上げてスキルポイントを集めて攻撃魔法を取得させるのもいいな。どこまで上がるかはわからないけど、1つの魔法に集中的にスキルレベルを上げれば戦闘にも使えるようになるだろう。

欲を言えば防御系の魔法かスキルも欲しいけど、リスティアのポンコツスペックを考えたら難しいが本音か。

「ふぅ…………」

弾を装填して再度構えるリスティアだけどもう目に見える範囲にはゴブリンはいないことに安堵の息を漏らす。

「お疲れ。レベルはどれぐらい上がった?」

「リブロ様。えっと、《ステイタスウィンドウ》…………………今はレベルが8ですね」

まぁ、ゴブリン相手なら良く伸びた方か……………。

「スキルポイントは? 攻撃魔法かスキルを取得できればいいんだけど」

「スキルポイントは48ですね。ですが、スキルツリーには攻撃系の魔法やスキルはありません。支援系か回復の魔法やスキルならあるのですが…………………」

若干気落ちしながらそう教えてくれるリスティアに俺も頭を悩ませる。

支援と回復。それも決して悪くはないのだが、リスティアのスペックを考えたらどうしても攻撃系の魔法かスキルが必要になる。銃ではいずれ限界が来るからその前に銃以外の攻撃手段を獲得しておきたいのだが………………これは想像以上に難しいことになった。

リスティアの攻撃手段のことについて頭を悩ませていると茂みから1体のスライムが出てきた。

「なんだ、スライムか………………」

特に害はないから気にしなかったのだが、そのスライムはどういうことかリスティアの足にくっついてまるで子猫が飼い主に甘えるように擦り寄る。

「え、えっと……………これはどういうことでしょうか?」

スライムとはいえ、モンスターに懐かれてしまったリスティアは戸惑いながら俺に尋ねてくるので俺はそのスライムに会話を試みる。

こういう時こその翻訳スキルだ。

「スライム。リスティアに何か用か?」

『ママ、ママ』

「マ、ママ…………………?」

『うん、ママ』

どうやらこのスライムはリスティアのことを母親(ママ)だと思っているようだ。

これはアレか? 刷り込みってやつか? ということはこのスライムはまだ産まれたばかり?

「あの、リブロ様? このスライムは……………」

「どうやらこのスライム、リスティアのことを親だと思っているみたいなんだよ」

「ス、スライムが………………?」

うん、驚く気持ちは俺もよくわかる。

「どうしましょうか? 退治した方がいいですよね?」

まぁ、モンスターだからな。いくらスライムとはいえど倒さない理由がない。

あ、でも待てよ…………………。

「リスティア。せっかくだからこのスライムで使役魔法の練習をするのはどうだ? お前に懐いているから使役できるだろうし、どれだけモンスターが言うことを聞くのか試すのにちょうどいい」

「あ、なるほど。それもいいですね。それなら《テイム》」

使役魔法の練習の為にそのスライムに使役魔法をかけると、スライムはまるで主に仕える従者のようにペコリと頭を下げる。どうやら成功したようだ。

「おいで」

しゃがむとスライムはリスティアの手の上に乗ってそのまま腕を通って肩に止まる。お前は鳥か………………。

「とりあえず、今日はこの辺で帰るか」

「はい」

スライムがどれだけリスティアの命令に従うのかを試すのは明日からにして今日はここで終了。俺達は屋敷に帰ることにした。




「それでどうなの? リスティア様の様子は?」

「ぼちぼちが本音だな」

一休憩した後に俺はアリアにリスティアのことについて話をしていた。

「リスティア本人は強くなる意思があるから成長はするけど、スペックそのものが低いから時間はかかる」

「それは仕方がないわね。そもそも王女という立場なら戦いとは一生無縁なのだから」

まぁ、そうだろうな………………。

「ところで魔族の件に関してだけど」

「………………………ええ、あまり喜ばしいことではないけど、魔族を除いた他種族が同盟を結ぶ為の会合が開かれるわ。魔族との戦争は近いでしょう」

深刻な顔で告げるアリアに俺は内心ため息を溢す。

やっぱり、戦争は避けられないか…………………。

「詳しいことはまだ私の耳には届いていないけど、吸血鬼族の国王は既に魔族の手の内。会合の件は魔族に筒抜けと思っていた方がいいでしょうね」

「そうだよな…………………。例の他種族にも寛容な王族の方はなんて?」

「相手が相手なだけにそう手が出せないのが本音らしいわね。でも、その事を他の他種族には秘密裏に知らせているからこちらの手の内が全て筒抜けになることは避けられるでしょう」

「そうか…………それはよかった」

「それともう一つ。リブロ、貴方にはその会合に参加してもらうことになったわ」

「え?」

なにそれ? どういうこと?

「他種族が集まるこの会合では翻訳スキルを持つ者が必要なのよ。そこで貴方に白羽の矢が立ったわ。それと会合に参加する各種族の代表の護衛といざというときの治療師も兼ねて貴方が適任だったのよ」

「な、なるほど…………………けど、いいのか? 冒険者をその大事な会合に参加させて」

「問題ないわ。既に人間族の国王それに魚人族の女王とエルフの国王は貴方の参加を認めているもの」

おいおい、三つの国の王達が認めたのかよ………………。いくら面識があるとはどうなんだよ、それは。

「詳細は後に知らせるわ。けど、心構えはしていてちょうだい」

「了解……………………」

はぁ、今からでも気が重い話だな………………。

重大な会合に参加することになったことに溜息を吐いていると、アリアが頭を撫でてきた。

「普段は大人びているけど、そういう反応は歳相応よね、貴方は」

微笑しながら慰めるように頭を撫でてくるアリアにくすぐったくも気持ちがいいと思うのは肉体年齢と精神年齢が合致していないからだろうか?

そんな疑問を抱きながらアリアに頭を撫でられていると。

「師匠! 大変です!! リスティアさんのスライムが!?」

セシルが勢いよく扉を開けて入ってきた。

俺は慌ててアリアの手をどかすと、セシルに訊く。

「そんなに慌ててどうしたんだ? リスティアのスライムに何かあったのか?」

もしかして駄龍メイドがスライムを食べたのか? いや、いくらあいつでもそこまで雑食じゃないか。

「と、とにかく来てください!」

セシルに腕を掴まれて引っ張られると、現場と思われる場所にはリスティアやイサベル。それにユミィさんやレノアさんまでも目を丸くしていた。

というか、そこは俺の部屋じゃ…………………? まだ銃や弾丸とか片付けてないんだけど…………………。

そして俺は自分の部屋を覗いて目を疑った。

何故ならスライムが宝石のように輝いていたからだ。

いや待て、あの色…………………。

「………………………あのスライム。この部屋にあったアダマンタイトを食べたみたい」

イサベルがそう教えてくれる。

あー、やっぱりそうか…………。

「申し訳ございません! 少し目を離したらこんなことになってしまって本当に申し訳ございません!!」

そんなスライムに変わってペコペコと頭を下げて謝ってくるリスティアだけど、俺は首を横に振る。

「いやいいよ。そんなに使う機会もなかっただろうし、それよりもスライムがアダマンタイトを食べて姿を変えたことに興味がある」

もしそうなら今のスライムはアダマンタイトと同等の硬さを持っていることになる。それなら防御力だって上がってリスティアを護る盾代わりになるかもしれないし、他のスライムを使役させて別のものを食べさせれば食べた特性を持つスライムが誕生するかもしれない。

色々と試してみるのもアリだな、と思っているとスライムがリスティアの元に戻ると銃の姿へと変わった。

その光景に誰もが目を疑うと銃となったスライムはリスティアの手に納まる。

「もしかして……………………」

ぽつり、とイサベルがそう呟いた。

そのもしかしてに俺もリスティアも同じことを思ったのか、リスティアは壁に向けて引鉄を引いた。

バン! と銃声が室内に響き、銃弾が発射された。

銃弾は壁を貫通して向こうの景色が見えるが、そんなこと些細な事。それよりもこのスライム、アダマンタイトを食べただけじゃなく銃や弾丸までも食べてその姿に擬態しやがった。

おまけに昼間のリスティアの戦闘を見ていたのか、銃がどういうものなのか理解していやがる。

スライムが引き起こした衝撃的な出来事に誰もが仰天した。


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