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外れスキル翻訳でチートに  作者: 幻影十夢
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現代兵器 異世界兵器

銃を製作する為にイサベルと一緒に自室に籠ること早くも2週間。俺達はほぼ不眠不休で銃の製作に取り掛かった。数多くの失敗と経験を重ねて、試行錯誤を繰り返して俺達は遂に自分達でも満足できる武器を作り上げた。

「嫌じゃぁぁああああ!! 離して、離してたもおぉぉおおおおおおッッ!!」

ちょうどいい的もさっき縛り上げておいたし、試し撃ちにはちょうどいい。

ジタバタと暴れ回る的だが、それはいくら暴れても切れないぞ? 何故ならそれには精霊の力が込められた特別製のロープなのだからたかが的如きに壊せる代物ではない。

「あ、あの、師匠……………? どうしてリヴァイさんが縛られているんですか?」

これから試し撃ちをしようとする時、セシルがそんな質問を投げてきた。

「どうして? それはな、保冷庫に入れておいたプリンを食べたからだ」

「プリンって師匠が前に作ってくださったあのプルプルしている甘いお菓子のことですか?」

その言葉に俺は頷く。

以前、俺はこの世界でも元の世界の料理が再現できないかなと思って実験兼趣味で作ってみた。その結果は思いのほか、美味くできてこの屋敷では大変好評でした。

エルフでの米や味噌といい。恐らくは俺より前の転生者が元の世界の食事を再現しようと頑張ったのだろう。そのおかげもあって材料も道具もすぐに見つかり、元の世界と変わらない料理の再現に成功した。

プリンもその1つ。

そして俺は銃を製作する前にきっと色々と頭を悩ませて脳が糖分を欲するだろうと思い、予め作って保冷庫に入れておいた。勿論腐らない様に精霊の力も加えて最低1ヶ月は保つようにしておいた。

まぁ、オタク魂が久しぶりに燃え上がって2週間も銃の製作に熱中し過ぎて食べるのを忘れていたけど………………。けど、製作が終えて思い出して食べようと行ってみれば…………………ッ!!

「ひぃ!?」

「し、師匠! 落ち着いてください! 顔が怖いです!」

俺の顔を見て怯える王女様に俺を落ち着かせようとしてくれるセシルは言う。

「で、でも、食べてしまったものは仕方がないですよ。プリンを食べたリヴァイさんは私が師匠の代わりに説教しておきますから」

「セ、セシル……………………」

セシルの言葉にリヴァイはまるで絶望の底で希望でも見つけたかのような、救われた顔で涙ぐむ。

「………………………セシル。俺は別にリヴァイがプリンを食べたことに怒っているわけじゃないんだよ。2週間も食べなかった俺も悪いし、お前やアリアや他の使用人の分も含めて多めに作っておいたんだ」

「え? で、でも今……………………」

「俺が怒っているのはお前達の分のプリンもあいつが1人で全部食べたからだ」

「ああ………………」

そこでセシルはようやく俺が怒っている理由に納得がいった。

「わ、悪気はなかったのじゃ!! ただ、あの甘露の誘惑に抗えず、つい」

「つい、で全部食べるやつがいるか!? 1個や2個なら俺だって怒らねえよ!! よって駄龍リヴァイに判決を下す!! イサベル裁判長!!」

「有罪」

カーン、木槌を鳴らして有罪判決が下される。

「被告人は我々が密かに楽しみにしていたプリンを全て食べた罪で銃撃の刑の処す」

「い、色々と意味がわからない裁判なのですが……………………」

「形だけの裁判なので」

王女様は顔を引きつりながらそう言ってくるのでそう返しておいた。するとリヴァイがセシルに助けを求める。

「理不尽じゃ!! セシル、妾を助けてたもう!!」

「え、ええ………………えっと」

俺とリヴァイの顔を交互に見ながらどうしようかと悩むセシルに俺はそっと拳銃を握らせてやった。

「セシル。罪を犯した者をただ助けたとしてもそれは救いにはならない。罪は罰を受けることで解消されるんだ。だからせめて我が弟子セシルよ、お前の手でリヴァイの罪を無くしてあげなさい」

「師匠……………………」

「主様!? そんなにも妾が嫌いか!?」

何を当たり前のことを。

「安心しろ、駄龍。こんなこともあろうかとお前の身体にも精霊の力を与えている。重傷になることもあるかもしれないが、死ぬことはない」

「重傷も嫌じゃ!!」

「もし重傷になってもすぐに治してやる。そして今日から一週間休みはなしだ」

「あんまりじゃ!!」

そんな嬉し泣きしなくても倒れたらすぐに回復魔法をかけて働かせてあげるから安心しろ。俺はセシルの銃の扱い方を一通りレクチャーすると銃口をリヴァイに向ける。

「リヴァイさん………………罪は償いましょう」

そしてセシルは引鉄を引いた。

銃声が轟いて銃口から発射された弾丸はリヴァイの腹部に直撃したが……………………。

「………………………ん? あまり痛くないのじゃ」

直撃したリヴァイはけろりとしている。

「セシル。連射」

「は、はい!」

銃声が響くなかで弾丸はリヴァイに直撃するも本人はそれほど痛くないのか、余裕そうだ。

「なるほど。これが元の世界とこの世界の違いか……………」

セシルが撃っているのは元の世界の、火薬を使っての銃だ。

火薬は元の世界と同じ物は流石にできないから代用品としてこの世界にある鉱石を使って再現した。火薬同様に銃身も弾丸もこの世界に実在しているものを使ったから全く同じというわけではないが、同等の性能はあるはずだ。

それでも元の世界の銃とこの世界で再現した銃とでは当然少なからずの差異はあるだろうが、それでも直撃したにも関わらず、リヴァイは平然としている。

イサベルの言う通り、きっとレベルやステータスがあるからだ。

元の世界では銃が直撃したら、それこそ頭を撃たれたら即死だ。けど、元の世界にはレベルやステータスといった概念が存在していない。そしてこの世界には存在しているからあまり効果がないのだろう。

見た目や触った感触は変わらないけど、レベルが上がれば馬以上、今の俺なら新幹線より速く動ける自信がある。力も鉄なんて片手で余裕で形を変えられる。

身体能力や五感が異常に発達していると思えばいいのか、ともかくこの世界で現代兵器でチートするぜ、ヒャッハー! はできないことが証明された。

弾速だって余裕で目で追えるし、多分素手でキャッチもできる。だけど、それでも全く効果がないわけではない。リヴァイでも多少の痛みがあるようだから、恐らくはレベルが30ぐらいまでなら通用するだろう。

これなら王女様には銃の扱いに慣れて貰ってからレベル上げをすればいい。レベルが上がればスキルポイントも増えて新しいスキルを取得することができる。

とりあえず王女様を強くする方法はできた。

「よし、次はこれの出番」

セシルの銃弾が全て撃ち終えると次にイサベルが取り出したのは元の世界の銃、形状はアサルトライフル。見た目は元の世界のものと変わりはないけど、これは弾丸が違う。

「うぐっ!!」

発射と同時に直撃したリヴァイが余裕を崩して痛みに悶える。

「うん、まぁ、成功かな?」

「一応、成功でいいだろう。リヴァイにも通用しているみたいだし。あ、《ヒール》」

治癒魔法を施して傷を治しておく。うん、でも貫通まではしていないようだ。

「弾丸を変えるだけでもだいぶ変るね」

「まぁ、これぐらいしないとこの世界には通用しないだろう」

弾丸は鏃にした鉄を飛ばすが、これは鉄の代わりに世界で1番硬いといわれているアダマンタイト鉱石を使ってそこに魔力を使ってコーティングしただけで威力は変化した。

「でもこれ、量産は無理だな。アダマンタイトを集めるのにはコストがかかるし、1発1発を魔力でコーティングするのにも手間がかかる」

「弾は消耗品だからね。性能自体は成功だけど現実的ではないか」

現実的ではないということで断念する。

「も、もう罰はよろしいのではないですか? あのメイドさん、可哀想なぐらいに泣いていますよ?」

「うぐ、ひぐ、酷いのじゃ……………………」

涙ぐむリヴァイに思わず王女様が刑を終わらせるように進言するが、俺は首を横に振る。

「あれは演技です。騙されてはいけませんよ、王女様」

俺の言葉に駄龍はビクリと肩を震わせた。

やっぱり嘘泣きか……………………。家事や給仕はともかく、そういう演技だけは上達しやがって。

そんな嘘泣きをするメイドにはお仕置きをしないとな……………………。

次に俺が取り出したのは最初にセシルに持たせたものと変わらない拳銃。だがこれは元の世界の銃でも弾丸を変えたものでもない。

「おぽっ!?」

音もなく発射したのは弾丸ではなく魔力。この銃は魔力を圧縮して放出する魔法銃だ。

銃身は魔力伝導率が高いミスリルを錬成して加工し、銃身の内部にはエルフが用いている魔導技術を参考に作り上げたこの世界ならではの銃だ。

持ち主の魔力を弾丸にするこの銃は持ち主の魔力が高い程威力も向上する。そしてこれは精霊の力も応用して発射することができるからまさに俺専用の銃といっても過言ではない。

セシルやイザベルが持つ秘宝(レジェンド)という専用武器が羨ましくて思わず作った。それも二丁。

二丁拳銃は男のロマンだから……………。

「さて、試し撃ち兼刑罰は終えた。それでは王女様、今日からこの武器を使ってください。扱いに慣れましたらレベル上げに参りましょう」

俺は王女様にセシルが使っていた拳銃を手渡すと、王女様が口を開く。

「あの、私の事は王女ではなくリスティアとお呼びください。それと敬語は不要です。他の皆様方もそのように呼んでください」

敬称と敬語を不要とする王女様。

「今の私は王女と呼ばれる立場ではありません。国を取り戻すその時まではただのリスティアです。ですからどうか、そのようにお呼びください」

その懇願に俺は後ろにいる2人に視線を向けると2人とも頷いた。どうやら2人も俺と同じ意見みたいだ。

「ああ、わかった。なら俺達のことも名前で呼んでくれ。リスティア」

「――っ! はい! 改めてよろしくお願いします! リブロ様、セシル様、イサベル様」

こうして俺達は王女、リスティアとの仲を深め合った。

「妾のことを忘れとる…………………」

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