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外れスキル翻訳でチートに  作者: 幻影十夢
5/61

外れスキルの奇跡

リブロ・リーベラ

Lv1

体力:78

筋力:72

耐久:54

敏捷:70

魔力:46

スキルポイント:67

スキル:翻訳LvMAX・回復魔法Lv1・治癒魔法Lv1・炎魔法Lv1・魔力強化Lv1・鑑定Lv3


そんな日々が三年続いた頃には非効率的なやり方でも少しは強くなれた。

ウールさん曰く今の俺はレベルで言うとLv8ぐらいのステータスらしい。三年かけてレベルがたったの8は遅い成長だけどモンスターと戦えない8歳児にしては上々だろう。

さて、今日もクレシタの実を食べるとしよう。三年も毎日のように食べていたからもう普通に食べられるようになったしな。そしてただのパンが至高の美味しさに感じられるようになった俺はきっとこの実を食べることに慣れ過ぎてしまったのかもしれない。

「シャーレ、無事かな…………」

あのクソ院長に何もされていなければいいが、今の俺にはどうすることもできない。

早く強くならないといけない。そう思ってクレシタの実を齧る。

『ねぇ、また食べているよ』

『ええ、あの実凄く不味いのに』

クレシタの実を齧っていると不意に声が聞こえた。しかし、今は夜中の馬車の中で見張りをしているウールさん達を除けば皆寝静まっている。

気のせいかと思うもまた声が聞こえた。

『今、私達の声に反応しなかった?』

『まさか、気のせいよ』

やはり聞こえる二人の話声。だけど馬車の中を見渡しても誰も起きている人はいない。

「誰かいるのか?」

思わず俺はそう声を出した。

『え? もしかして私達の声が聞こえてる?』

『そんなことないわ。だってこの子、人間だもの。人間は私達の姿を見ることはできないし、声だって聞こえない筈なんだから』

「えっとごめん。声はわかるんだけど姿は見えないから正体を教えてくれないか?」

『ほら! 私達の声が聞こえてるよ!』

『嘘! じゃ、じゃあ「私は人間です」って言ってみて!』

「『私は人間です』」

姿が見えない何かに言われた通りにそう言ってみるとその見えない何かははしゃぐように声を上げた。

『すごいすごい! こんなこと初めて!』

『私達と話が出来る人間がいたなんてレアね、レア!』

なんか珍獣扱いされているが、もしかして俺は幽霊とでも話しているのか? 異世界だから幽霊がいても全然不思議じゃないし。

話をしている相手が幽霊だと思っていると声の主は正体を明かしてきた。

『私は風の精霊だよ! そしてこっちが』

『水の精霊よ。って姿は見えないんだっけ?』

どうやら声の主は幽霊ではなく精霊だった。

『ねぇねぇ、どうして私達の声が聞こえるの?』

『そうそう。人間にとって私達の声なんてそよ風みたいなものなのよ? それなのにどうして?』

いや、そんなことを言われても…………あ、もしかして。

「たぶん、翻訳スキルだと思う。俺は翻訳スキルのレベルが最大値だから」

『そっか。だからか』

『翻訳スキルをそこまで上げる人間なんていないものね』

それを聞いて俺は気付いた。

そもそも翻訳スキルはレベルを上げて取得するほどではない。取得するとしても他国に関わる人ぐらいだ。それでもスキルレベルを最大値まで上げる人はいない。

だからこそ特典として翻訳スキルが初めから最大値である俺だけが精霊の声に耳を傾けることができる。

『ねぇねぇ、どうしてそんなに頑張っているの?』

『私達、少し前から貴方を見ていて不思議だったの。どうしてそこまで努力しているの?』

尋ねてくる精霊達に俺は自分の事を話した。

孤児であることも、三年前に院長に奴隷として売られたことも。

そして同じ孤児であるシャーレを助けに行く為に強くなろうとしていることも全て話した。

『うぅ…………そうだったのね』

『そのエルフを助けようと頑張っているのね』

姿は見えないけど声は涙声だった。きっと同情してくれているのだろう。

「シャーレはまだ子供だから大丈夫かもしれない。けど、あの院長の気が変わればシャーレは………ッ」

院長の気が変わればシャーレはどうなってしまうかわからない。

だから俺は一秒でも早く強くならないといけない。

するとそんな俺に精霊達が。

『よし! 私達に任せて!』

「え?」

『直接そのエルフを助けることはできないけど、貴方が強くなれる手助けぐらいはできるわ』

『だから私達に任せて! ちょっと皆を呼んでくるから!』

「え、ちょ、ちょっとまっ―――」

呼び止めようとするも既に精霊の声は聞こえず、結局その夜は精霊の声は聞こえなかった。

だが、その翌日の深夜―――

『仲間を呼んできたよ!』

『いっぱい連れて来たのよ』

『初めまして土の精霊です』

『炎の精霊よ』

『雷の精霊です』

『光の精霊ですわ』

『闇の精霊っす』

『聖の精霊よ』

『魔の精霊だ』

『氷の精霊よ』

『支配の精霊だ』

『記憶の精霊です☆』

『鋼の精霊だ』

『薬の精霊です』

『毒の精霊でっす』

『草の精霊』

『樹木の精霊ですわ』

『地の精霊…………』

『泉の精霊』

『剣の精霊だ、よろしく』

『盾の精霊だ』

『槍の精霊だぜ』

『弓の精霊ですよ』

『鎧の精霊だ』

『格闘の精霊だぜ』

『空間の精霊です』

『時の精霊よ』

『魅了の精霊よ』

『不老の精霊だ』

『不死の精霊』

『泡の精霊ダマス』

『音の精霊っすよ』

『破壊の精霊だ』

『創造の精霊です』

『呪いの精霊……』

『巨乳の精霊よ』

『美貌の精霊よ』

『カリスマの精霊だよ』

『叡智の精霊』

『力の精霊だ』

『守護の精霊だ』

『看破の精霊です』

『どう!? いっぱい連れて来たのよ!』

『皆、貴方の手助けをしようと集まってくれたの』

「あ、はい。どうも…………」

姿は見えなくともあまりの精霊の多さに俺は呆気を取られた。

いったい一日でどれだけの精霊を集めてくれたのだろうか? というよりもまだ精霊の自己紹介の声が聞こえてくるんですけど、一体全体何十体連れて来てくれたの?

というか途中で巨乳の精霊とは聞こえたのですけど、巨乳の精霊ってなに!? あ、今、貧乳の精霊の声も聞こえた。美乳の精霊の自己紹介も聞こえる。だからなにそれ!?

『本当はまだまだいるけど、紹介はこれぐらいで辞めるね』

『全員を紹介していたら朝が来ちゃうし』

どれだけ頑張って連れて来てくれたのですか!? というよりも何体いるの!?

風と水の精霊が連れて来てくれた沢山の精霊達。だけどいったい精霊を集めてどうするんだ?

すると風と水の精霊が。

『今から私達皆の加護をあげちゃう!』

「加護?」

『ええ、精霊の加護よ』

すると宙に無数の小さな光が漂う。何十何百の光が吸い込まれるように俺の中に入ってきた。

身体を触ってみるも特に変化はない。

「《ステータスウィンド》」


リブロ・リーベラ

Lv1

体力:78

筋力:69

耐久:54

敏捷:70

魔力:46

スキルポイント:67

スキル:翻訳LvMAX・回復魔法Lv1・治癒魔法Lv1・炎魔法Lv1・魔力強化Lv1・鑑定Lv3


ステータスにも変化はないことに怪訝する俺に水の精霊が説明してくれた。

『精霊の加護はステータスには反映されないのよ。けれど、加護を受けた者はその力を使うことが出来るの。試しに私が与えた加護を使ってみたら? 念じれば手から水が出る筈よ』

そう言われて俺は手から水が出るように念じてみると本当に手から水が出てきた。

水魔法のスキルを取得していないにも関わらず俺の手からは水が出てきた。それも魔力が消費している気配がない。ただ念じただけで水が出てきた。

『使いこなせば雨を降らせることも洪水を引き起こすこともできるわ。正直に言って人間が使う魔法なんてたいしたことがないのだから』

確かに洪水レベルの水が出せれるのなら人間が使う魔法なんてたいしたことがない。

水の精霊の加護でそれだ。他の精霊の加護もこれと同等かそれ以上ってことだよな?

…………なにそのチート。

何百体分の精霊の加護を授かった今の俺はもはや自然災害そのものなのでは? チート持ちでないのにチートになった気分だ。

『でも悪い事に使ったら駄目だからね!』

『それと私達の話し相手にもなってもらうこと。人間と話が出来るなんて滅多にないもの』

「……………………ああ、約束する」

まさか外れスキルと思っていた〝翻訳〟のおかげでこんな奇跡が起きるなんてな。

どんな力も使いようってことか…………。

まさか外れスキルだと思って諦めていたこの力にこんな方法があったなんて思いもしなかった。

俺は無意識に手を強く握りしめる。

今ならシャーレを…………。

だが、そんな俺の考えを見透かすように水の精霊が言った。

『まだ助けに行ったら駄目よ』

「なんで!? だって………」

『私達精霊の加護を強大よ。だからリブロ。そのエルフの女の子を助けに行く前にまずはその力を使いこなしてみせなさい。与えた加護一つにつき私達から試練を与えるわ。エルフの子を助けに行きたかったら全ての試練を突破することね』

「………………もし、断ったら?」

『与えておいてあれだけど返して貰うわ。危険ですもの』

確かに精霊達の言葉にも一理ある。

いくら強力な力を持っていても自分の意思の下で振るわなければ危険極まりない。

「…………わかった。その試練、受けて立つ」

せっかく手に入れたその力をここで手放すわけにはいかない。シャーレの為に一刻でも早く精霊の試練を突破してみせる。その頃には今よりももっと強くなっている筈だ。

待っていろ、シャーレ!

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