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外れスキル翻訳でチートに  作者: 幻影十夢
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金に困らない生活

エルフの街に訪れてから既に2週間は経過した。

エリエールさんの足も順調に回復に進んでいる。流石に筋力の衰えは怪我でも病気でもないので治せないから完全に自立歩行できるようになるのには時間がかかるけど、足そのものを治すのにはもうそう時間はかからないだろう。

エリエールさんの治療を行いながら俺はアリア達と一緒にエリエールさんの家に厄介になりながらエルフの人達とも友好を結んでいる。特にアリアはその傾向が著しく、俺とエリエールさんにエルフ語を学び、2週間で大分話せるようになった。

家柄ということもあり、きっとエルフの文化や技術を自国の発展に繋げようしているのだろう。

アリアの傍には駄龍もいるし、もしもの時はアリアが駄龍をどうにかしてくれるだろう。一人にしておくと何をしでかすかわからないからな、あの駄龍メイドは。

「やっ!」

「また腕で剣を振ってる! 腕だけじゃなく全身を使って剣を振る!」

「はい!」

そして弟子は親友に稽古をつけて貰っている。

俺が身に付けた剣術や戦い方は剣士や戦士の戦い方というよりもあらゆるものを使って勝つ冒険者のような戦い方だ。だからきちんとした剣術を教えようにも教えられない。

それに対してイサベルは戦い方はもちろん剣や槍の基礎をしっかり学んでいるから指導者としてうってつけだ。

正直、助かる。俺一人だけだと限界があるからな…………………。

ウールさん達からは冒険者としての戦い方やスリ、鍵の開閉、魔法の知識、鍛冶の目利き、料理、建築技術、奉公、暗殺術、女性を悦ばせるテクニック、騎士道精神、その他諸々。ものの見事に浅く広く教わったものだ。教えられたとしてもそれは最初の時だけで教わる側が成長したらもう教えることは出来ない。

だからもう弟子であるセシルには教えることはないのだけど、それでも俺の事を師匠として慕ってくれるセシルには正直嬉しい。

セシルが望むのなら俺は師匠としてできる限りの事はしてやろう。

「よし! 休憩! しっかり休むように!」

「はい!」

稽古を一時中断して休憩に入るとセシルは稽古で教わったことを忘れないように素振りを始める。

その生真面目な性格に苦笑しているとイサベルが来たので飲み物を渡す。

「お疲れ。セシルの様子はどうだ?」

「ん、なんていえばわからないけど成長が速い。リブロが基礎を教えていたとしても元々の潜在能力が高いんだろうね。まだまだ伸びる」

そりゃ俺の弟子は勇者と精霊がお認めになるほどの逸材ですからね。

「反省点といえば剣術が素直なところぐらい。モンスター相手はいいけど対人で今のままは駄目ね。技と駆け引きがあんまりできていないからそこを重点的に鍛えてみる」

「よろしく頼む」

セシルはまだ成長する。師匠としてそれは嬉しい限りだ。

「そういえば聞いていなかったけど、リブロの特典ってなに? 決闘(デュエル)の時、明らかに魔法とは違う力を使っていたけどそれ?」

「ああ、いや違う。俺が貰った特典は‶翻訳〟だ。そのおかげで俺は精霊から加護を授かったんだ」

俺は特典として貰った‶翻訳〟のスキルで精霊と対話して精霊から加護を授かった。そのおかげで今の強さを手に入れたことについてイサベルに話した。

「なるほど、翻訳スキルにそんな裏技があったなんて……………………」

「俺も精霊の声が聞こえた時は驚いたよ」

あの時の俺は翻訳なんて外れスキルと思っていた。だけどその外れスキルのおかげでチートになれた。

世の中どんな力でどのようになるかはわからないものだ。

「私も翻訳のスキルは持っているけどスキルレベルは3止まり。それで十分他種族と会話できるから他のスキルにポイントを回したけどそんな裏技があるのならスキルレベルを上げておけばよかった」

少し勿体なさそうに唇を尖らせる。

イサベルの言う通り、会話に困らない程度に上げるのなら3でいいし、上げても5で止めるだろう。会話が成立できる以上はそれ以上に翻訳スキルのレベルを上げる意味がない。

だから誰も精霊の声が聞こず、翻訳スキルのレベルが最大値になっている俺だけが聞こえることができる。

「ついでに言えばセシルも精霊の加護を持っているぞ。今は秘宝(レジェンド)を使いこなせるように努力しているが、そこに精霊の力を加えることができれば今よりももっと強くなるだろう。なんせ精霊様直々に勇者の素質があると太鼓判を押したほどだからな」

「それは凄い………………というか勇者が誕生するということは魔王も?」

「さぁ? そこまではわからねえよ」

正直本当に魔王が出て来たらセシルを魔王討伐に向かわせようか。多分勝てるだろうし、もし勝てばセシル名実共に勇者となって俺は勇者の師匠としてのんびり生活できるかも…………。いや、アリアがそんなことさせてくれないか。少なくとも何かしらの仕事を用意するか、もしくは治療院を開店する可能性もあるな。

「ところで話は変わるけど、アリアって公爵令嬢だよね? そしてリブロはその婚約者(フィアンセ)

「そうだけど、それがどうした?」

不意に話題が変わり、確認するかのように尋ねてくるイサベルは言った。

「リブロ。愛人枠でもいいからそこに私を入れて」

「はい? いきなりどうした?」

突然の親友の言葉に俺は呆気を取られる。

悪いけど俺はお前に恋愛感情は抱いていないよ? 友愛や信愛はあるけど。

「いや、リブロは将来アリアと結婚するでしょ?」

「まぁ、そうだな……………………」

「つまり公爵家の当主になるということは」

「ああ、そういうことか……………………」

イサベルが何を言いたいのかわかった俺は額に手を当てる。

「お前、公爵家当主の愛人として金に困ることなく自由に生活したいのね」

「YES」

そこで親指を立てて笑顔で英語を使うな。

「それに私は旅が終わって故郷に帰ったら子孫繫栄の為に結婚は絶対にさせられるんだよ。いくら第二の人生を女として生きていく覚悟は決めたけど流石に男のアレを受け入れるかどうかは別問題です」

「あぁ、それは嫌だな…………」

「でしょ?」

思わず想像してしまってイサベルの気持ちが嫌というほどよくわかった。そう考えれば精神的BLだ。そんなの受け入れようと思っても受け入れられないわ。俺だって逃げる。

「それなら信用できる親友の愛人になって金に困ることなく自由気ままに生きれるのならそっちを選ぶ。幸い、リブロは私に勝ったから親を黙らせることもできるし、何も問題はない」

確かに立場が逆なら俺もそうする。

いくら美少女でも中身が元男だと知っている俺なら抱こうとは思わない。

「働けというのならボディーガードぐらいはするよ? だからその辺をアリアと話して検討しておいて」

「了解。まぁ多分大丈夫だとは思うけど……………」

アリアもその辺は俺の自由に決めさせてくれる。

元男の親友を愛人にするのは妙な気分にもなるが、形だけの愛人なら何も問題はないだろう。本人もボディーガードぐらいはするって言っているし、アリアもきっと了承してくれる。

妾に続けて愛人もできるとは………………モテる男は辛いな、なんて。

「師匠、イサベルさん。何のお話をされているんですか?」

汗を拭いながら駆け寄ってくるセシルの頭を俺は思わず撫でる。

「今日もセシルは頑張っているなって話しているんだよ」

「そ、そうですか………………? えへへ」

嬉しそうに微笑むセシルを見ていたら俺の心は洗われていく気持ちになった。

俺の弟子は可愛い。どうかこのまま育って欲しいものだ。

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