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外れスキル翻訳でチートに  作者: 幻影十夢
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強くなる為の努力

ゴブリンが襲撃したその日の夜に休憩が入った。

俺は寝ることが出来ずに火の番をしていると、今日ゴブリンから助けてくれたウールさんが対面するように地べたに座る。

「ガキは寝る時間だぞ? もう寝ておけ」

「………………眠れないんですよ」

ゴブリン一匹も倒せれないことがショックで俺は寝ることが出来なかった。

モンスターを倒さなければレベルが上がらない。強くなることが出来ない。俺には一秒でも早く強くならないといけないのにそれすらできない。

そんな俺にウールさんは声をかけてきた。

「どうして昼間はゴブリンの前に出た? いくらゴブリンといえどお前に倒されるほどゴブリンは弱くはねえぞ」

「……………俺は、強くならないといけないんです。だから」

「だからゴブリンを倒してレベルを上げようとしたのか?」

その言葉に俺は頷いて応える。

強くならないといけない。十年もすればシャーレはあの男に穢されてしまう。それだけは何としても避けたい。だけど今の俺はガキだ。ゴブリン一匹も殺せれないほど弱い。

五年ぐらい成長したら倒せれる可能性はあるもそれでは遅い。なによりそれまでシャーレが無事でいられる保証などどこにもない。

だから一秒でも早く俺は強くなりたい。

そんな俺を見たウールさんは立ち上がって近くの木々に生えている果実をもぐとそれを俺に渡してきた。

「食ってみな」

そう言われて俺は果実を齧って口に運ぶ。すると…………。

「っ!?」

とてつもない不味さが俺の口の中に広がった。

甘くて酸っぱくて辛くてにゅるってしていてともかく不味さに不味さを掛け合わせたような奇跡のような不味さだった。

「う………」

俺は思わずそれは吐き出そうとするも。

「吐き出すな。飲み込め」

ウールさんが無慈悲にもそんなことを言ってきた。

無茶言うな、と言いたいけど俺はウールさんに言われた通りにそれを飲み込む。飲み込むとウールさんが水を差し出してくれて俺はすぐに水を飲み干す。

「食べたな。ステータスウィンドを見てみろ」

「……………………《ステータスウィンド》」

ステータスウィンドを開いて俺は自分のステータスを見てみる。


リブロ・リーベラ

Lv1

体力:9

筋力:7

耐久:4

敏捷:8

魔力:2

スキルポイント:4

スキル:翻訳LvMAX


自分のステータスを見て俺は驚いた。

レベルは変わらないけど、ステータスの数値が上がってスキルポイントが増えた。

突然のステータスの上昇に驚いている俺にウールさんが説明してくれた。

「確かにモンスターを倒せばレベルが上がってステータスの数値も上がる。スキルポイントだって増える。だが、世の中には裏技ってもんがある」

そう言ってさっき俺が食べた果実を手に取る。

「これはな、クレシタの実と言ってモンスターなどを養分にして成長する実なんだ。理屈は俺もよくは知らないが、これを食べればレベルは上がらなくてもステータスの数値を上昇させてスキルポイントも手に入れることが出来る。たださっきお前が食べてわかったようにコレはクソ不味い。糞でも食った方がマシだと思えるぐらいにな」

「はい…………」

確かにクソ不味かった。けど、ステータスも上がりスキルポイントも増えるのにどうして誰も食べないんだ?

そんな疑問をウールさんが教えてくれた。

「まぁ、はっきり言ってこんなもん食うよりモンスターを倒した方がレベルも上がるし、ステータスもあがる。コレを食うよりもモンスターを倒した方が効率がいいからな」

因みにどうしてウールさんがそのことを知っているからというと、ウールさんは元は冒険者で冒険の際に餓死しかけた時にこの実を食べてそのことに気づいたらしい。

仮に他にも知っている人がいたとしてもモンスターを倒した方が効率がいいのならこんなマイナー方法で強くなろうとする人はいない。

「クレシタの実はそこらに生えている。不味いのを我慢してコレを食べれば今よりかは強くはなれんだろ」

そう、強くなりたい今の俺にとっては最高の果実だ。

ただ食べるだけでいい。デメリットなど不味いことだけだ。

俺は不味いのを我慢してクレシタの実に齧り付く。

口いっぱいに広がる不味さに涙を出そうになるも、ぐっと堪えて飲み込む。

「ウールさん。ありがとうございます」

そして今の俺でも強くなれる方法を教えてくれたウールさんに心から感謝の言葉を送るも、ウールさんは手を振る。

「別にいいさ。強くなりたいガキに先輩としてちょっと助言しただけだ。それがわかったらもう寝な」

「はい」

ウールさんのおかげで可能性が見えた。

強くなる為に今の俺にできる事。それはクレシタの実を食べ続けることだ。

その翌日から俺の食事には必ずクレシタの実をもいで他の料理と一緒に食べる。吐きそうになるもそれを必死堪えて食べ続けると、他の奴隷の人からは若干引いていたけど気にせず食べる。

それが数日続くと。

「ほれ」

休憩時間中にウールさんがお手製の木剣を俺に渡してくる。

「強くなりたいんだろ? 戦い方を教えてやるから構えな」

「はい!」

奴隷して主人と共に行商を行いながらその実を食べ続ける俺に隙を見てはウールさんが戦い方を教えてくれるようになってから暫くして。

「リブロ。聞いたぜ? ウールの奴に戦い方を教わっているらしいじゃねえか」

「ロイバーさん」

同じ奴隷であるロイバーさん。この人は元々盗賊稼業をしていて今では奴隷としてこの行商で働いている。

「なら俺も盗賊の技術(テクニック)ってやつを教えてやるよ。覚えておいて損はねえぞ?」

「え? どうして?」

率直な疑問を投げるとロイバーさんはこう言った。

「お前、スキルのおかげであの商人に気に入られてんだろ? ならお前に恩を売っておけば今より飯が美味くなるかもしれねえからな」

確かに俺は他の奴隷に比べれば扱いがいい方だ。スキルのおかげか俺は主人であるあの男に重宝されている。こうして無駄話をしていても見て見ぬ振りをしてくれるぐらいに。

「…………わかりました。けど、あまり期待はしないでくださいね」

「おう」

元盗賊のロイバーさんからスリのコツから盗みの方法まで教えて貰うようになってから少しして。

「リブロ。魔法について興味はない? よかったらお姉さんが教えてあげるわよ」

「いいんですか?」

「ええ、努力している子は私は好きよ」

そう言って頭を撫でてくる元魔法使いであるアイネさんから魔法について教えて貰えるようになった。

他にも元は鍛冶師、料理人、旅人、建築士、メイド、娼婦、暗殺者、学者、騎士。色々な経緯で奴隷になった人達から俺は知識、技術を教わってそれを身に付けていく。

そんなに覚えられるのか? と前の俺ならそうおもっていたかもしれない。けれど、人間はやろうと思えばなんでもできる。シャーレを助ける為なら俺は全てを身に付けてみせる。

アレコレと色々な知識と技術を身に付けていくと、商人であるあの男は俺を便利屋扱いしてくる。

俺が覚えた知識と技術を自分が儲ける為に利用するあたり、この男は根っからの商人なのだろう。

共に行商する奴隷の皆から様々なことを教わって知識と技術を身に付けてクレシタの実を食べてステータスを上げてスキルポイントも増やしていく。

シャーレを助けに行きたい。その一心で俺は強さを手に入れていく。

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