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外れスキル翻訳でチートに  作者: 幻影十夢
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家庭教師の生活4

お嬢様方が抱えている問題が無事に解決。とまではいかなくても俺がこの屋敷に来た時に比べるとお嬢様方の様子がだいぶ変わった。特にシャリアお嬢様は自分が呪い子で自分のせいで母親を死なせてしまった負い目から解放されて二人は笑顔をよく見せるようになった。

初日は不意に暴力を振るってきていたけど今はその心配もなく、日々勉強に励み、礼儀作法もしっかり身に付けている。

まだまだ拙いところも多いけど、小さな淑女(リトル・レディ)としては十分だろう。

ダンスの方が俺が不得意の為に別の専門の先生を雇うようだし、俺はそろそろお払い箱かもしれないな。

「そりゃ!」

「…………………やっ!」

『ブフ!?』

『ペ、ペータ!? おのれよくぐほ!?』

まぁ、お払い箱になったとしてもそれはもう少し先の話だろう。

それよりも今はこのお転婆お嬢様方をどうにか宥める方法を考えないと……………………。

屋敷の外に出れるようになったお嬢様方は完璧な双子のコンビネーションでゴブリン達を殴殺していく。

もはやゴブリン達が竜巻に巻き込まれていくかのように殴り飛ばされて綺麗な放物線を描いている。

その元気いっぱいの拳でゴブリン達を倒していくお嬢様方を見て俺は溜息を吐いた。

「この双子の成長が怖いな………………」

元々冒険に憧れを抱いていたお嬢様方。だが、呪い子などと言われて屋敷から出ることを恐れていたお嬢様方だったが、その恐怖を克服してからは憧れの冒険に夢中だ。

一応、保護者として俺が同行することが条件だけどいつかはこのお嬢様方なら屋敷から飛び出してドラゴンでも狩りに行きそうで怖い。

レベルも上がっているし、もはやお嬢様方にとってゴブリンはただの経験値かストレス発散のサンドバックでしかない。

翻訳スキルのおかげでゴブリンの悲鳴が鮮明にわかるから余計に聞くのが辛い。

「これで」

「………………終わり!」

『グハッ!!』

最後の1体といったゴブリンの顎にお嬢様方の拳が炸裂してゴブリンは宙を舞って頭から落ちた。その時、嫌な音が響いたけどきっと首の骨が折れたのだろうな…………。

「やったわね! シャリア!」

「…………………んっ、勝った」

二人揃って勝利に喜ぶお嬢様方は微笑ましいも、その周辺はお嬢様方に殴り殺されたゴブリンの死体が転がっているためちっとも微笑ましくない。

それにいくらゴブリン相手とはいえど、圧倒するとは………………。正直、これだけの逸材なら貴族をやめたとしても冒険者になれば活躍してすぐに有名人になるだろう。ほぼ間違いなく。

まぁ、爵位を剥奪されることなんて滅多にないからそうなることはない筈だ。

「お嬢様方。喜ぶのも構いませんが、早くしないと日が暮れてしまいますよ?」

「わかっているわよ、先生。シャリア、さっさとやるわよ」

「………………………んっ。先生。わかった」

討伐証拠としてナイフでゴブリンの耳を切っていくお嬢様方は以前と違ってちゃんと俺の事を『先生』と呼ぶようになった。

これまではあんたとかそういう呼び方だったのにちゃんと相手を敬う気持ちを持てるようになってくれたようでなにより。

後はその有り余る元気を制御することができれば文句なしだけど…………………うん、まぁ諦めよう。

元気があることはいいことだし、それで納得しておくとしましょう。




ゴブリンの討伐を終えて屋敷に帰るとお嬢様方は自室に向かい、俺は旦那様に一言告げに向かう。

「ただいま帰りました」

「ああ、お帰り。二人の様子はどうだったかな?」

「いつも通りです」

「………………………そうか。それはなにより」

今日も娘の無事に安堵する旦那様の顔も心なしか前より明るくなっている気がする。いや、明るくなったのかな? 娘が呪い子ではないことが証明され、今も元気も成長しているのだからそれに喜ばない親なんていない。

「リブロ君。君には本当に感謝しているよ。娘達が変われたのは君のおかげだ。ありがとう」

「いえ、俺はただ少し道を教えただけです。そこから成長することができたのもお嬢様方の努力の賜物です」

文句や愚痴はあったけどそれでも嫌なことに一生懸命取り組んできたから読み書きも算術もしっかりとできるようになっている。

本当によく頑張った、と褒めてあげたい。

すると旦那様が。

「そこで君の報酬なんだけど、いいかな?」

「あ、はい」

報酬。それを聞いて俺は察した。

お嬢様方はもう十分に成長した。だからもう俺はお払い箱というわけか……………………。

少し寂しくはあるも元々俺は雇われ人。務めを果たせばそこで終わりだ。だからこれは仕方がないことだ。

流石に報酬を渡してすぐに出て行け。とはならないだろうから少しはお嬢様方と別れの挨拶ぐらいはできるだろうし、アリアの親戚だから遊びにくることぐらいは許されるはずだ。

「ルージュとシャリア。どちらかを君の妾にしてはくれないだろうか?」

「はい?」

お別れについて考えていると突然旦那様が予想の斜め上をいくことを言ってきた。

「どちらかはこの家の当主になって貰わないといけないから二人一緒は無理だけど、どちらか一人だけなら是非にも君の妾にして欲しいんだ」

「いやいや、何を仰っているのですか?」

「そう歳も離れていないし、君なら安心して娘を託すことができる。本当なら君がこの家の当主になってくれるのが一番いいのだけど、流石にアリアの婚約者(フィアンセ)にそんなことは頼めれないからね。だけど妾なら何も問題はないだろう?」

いや、問題だらけだと思いますが? …………………いやそれは俺が日本で育った価値観なだけであって貴族の世界では妾など別に珍しくもない。

それにこの家の当主になるのは一人だけ。ルージュお嬢様かシャリアお嬢様のどちらか一人だけ。残った方が爵位持ちのどこかの家に嫁がされる。

だから旦那様はそんなことをするぐらいならと俺にどちらか一人を託そうとしているのか。

ルージュお嬢様かシャリアお嬢様。

妾にするのならどちらにするか……………………。

俺はそれを選べるのか? 選んでいいのか? 

アリアからは愛人とかそういうのは好きにしていいと言っていたし、仮に本当に作ったとしても懐の広いアリアのことだ。そう強くは言ってこないだろう。

言ってきたとしても精々、ほどほどにしなさいよ? ぐらいだろうな。

つまり妾を作っても何も問題はない。旦那様も娘のどちらかを俺に託そうとしているわけだし、後はお嬢様方の気持ち次第ということだが、言えるわけないよな……………………。

『どちらか一人を俺の妾にしてあげる』

仮にそんなことを言ったらお嬢様方の鉄拳がとんでくる未来が想像できてしまう。

ここは穏便に断って―――

「先生!!」

断ろうとした瞬間、お嬢様方が勢いよく扉を開けて乱入してきたと思いきや、二人は互いに指を向けて行った。

「シャリアを先生の妾にしてあげて!」

「………………先生、ルージュお姉ちゃんをお妾さんにして」

二人は揃ってそう言ってきた。

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