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外れスキル翻訳でチートに  作者: 幻影十夢
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海龍

腕試しが終わって女王様も含めた魚人族に俺達の実力を知って貰えた。まだ渋い顔をする魚人族もいたけど誰も文句を言う人はいなかった。

そして俺は今―――

「《エクストラヒール》」

「い、生きてる! 俺は生きてる!!」

例の巨大モンスターによって傷を負った魚人族の治療に取り組んでいる。

『貴方の治癒魔法と回復魔法なら怪我をした魚人族を治せるはずよ。それを使って魚人族に恩を売っておきなさい。それが後に貴方の為にもなるわ』

アリアにそう言われて俺はアリアが何を考えてそう言ったのかはわからないが、怪我をした人を放置しておくことはできない。その為俺は今、魚人族の病院で治療をしている。

「《セイクリッドヒール》」

「あ、足が、俺の足が………………ッ!」

身体を完全に治して俺は次の患者の傷を治していくけど、流石に数も多い。途中で魚人族から貰った魔力を回復させるポーションを飲んでは治療を続行する。

「《ヒール》」

そして俺の弟子であるセシルもいつの間にか治癒魔法を取得していて軽傷の人の傷を治している。

「す、凄い………………もう助からないと思っていた同胞が次々に元気な姿に………………」

「それだけではない。欠損した箇所ですら治したのだぞ。まさに神の所業だ」

「使徒様…………………」

やめてください崇めないでください祈らないでください。

スキルレベルが最大値のただの治癒魔法なんですから。神の所業でもなければ俺は使徒でもない。

ただのチートです。

崇めようとしてくる魚人族に呆れながらも治療を続ける俺達、すると……………………。

「ご苦労様です」

女王様から労いの言葉を頂戴した。

他の魚人族が突然の女王様の登場に跪くなかで女王様はじっと俺を見てくる。

「何か?」

「ああごめんなさいね。その歳で実力だけでなく治癒魔法にも長けているとは思わなくて」

ああ、まぁそりゃ不思議だよな。見た目は完全子供だもん。

「人族には優秀な方が多いと聞きますが、本当のようですね。どうでしょう? 将来、我が国の治療師として働く気はありませんか?」

さらりと勧誘してきたな、この女王様。

「生憎ですがその気はありません。お気持ちだけありがたく頂きます」

「そうですか、残念。それでは例の件について少々お話があるのですが」

チラリ、と周囲を見渡す女王様。内密に話があることに察した俺は頷いて応じる。

「それでは場所を変えましょう」

「はい。セシル、行くぞ」

「あ、はい!」

女王様の後に続くように俺とセシルはついていく。病院の外には豪華な箱馬車が待機していてアリアが俺達が来るのを待っていた。

「お待たせ、アリア」

「ええ」

そうして馬車に乗った俺達に女王様は例の件、巨大モンスターのことについて話しだす。

「件のモンスターの正体はリヴァイアサンです」

「リヴァイアサン!?」

沈痛の表情で告げられた深刻なその一言でアリアは驚きの声を上げたが、俺も内心は驚きを隠せれない。

何故ならリヴァイアサンはこの世界の童話にも出てくる。

海に住まう悪しき海龍リヴァイアサン。それを討伐した勇者の物語として。

孤児院にいた頃、シャーレの勉強ついでに読み聞かせた童話だが、まさか本当に実在していたなんて。

「実在していたのですか? 私はてっきり架空の存在かと」

「そう思われるのも無理はありません。リヴァイアサンは数千年前に封印された悪しき存在。本来であれば秘匿されるべき存在なのですが、何者かがリヴァイアサンの封印を解いてしまったのです」

「その根拠は?」

「封印の場所を知っているのは私を含めたごく一部の者のみ。ですが、リヴァイアサンの封印が解かれる少し前にその内の一人が何者かの手によって殺害されておりました」

なるほど、犯人はその魚人族から封印の在処を聞き出したのか。だけど、一体何が目的でそんなことを?

リヴァイアサンの封印を解いて我が力に、的な? それでもリスクが高過ぎるし、操れるのならもうとっくに操っているはずだ。

「封印を解いたのが誰か、何が目的でそのような暴挙に及んだのかは定かではありませんが、一つだけ妙な話を耳にしました」

「妙な話?」

「ええ、なんでもリヴァイアサンが封印されている近くにエルフの女の子を見かけたと」

「!?」

女王様の言葉に俺は心臓が飛び跳ねるように動いて思わず立ち上がって女王様に詰め寄る。

「そのエルフの女の子ってどんな外見をしていましたか!? 髪の色は!? 身長はどれくらいでしたか!?」

「し、師匠! 落ち着いてください!」

「リブロ、落ち着きなさい。気持ちはわかるけど女王陛下に対して無礼よ」

「だけど!」

「リブロ」

「………………………ごめん」

アリアの言葉に俺は焦る気持ちを押えて座り込む。

「うちの者が無礼を働いてしまい申し訳ございません。後できつく言っておきますのでどうかお許しを」

「いえ、それよりも…………………」

「実はこちらのリブロはとあるエルフの少女を探しているのです。この国に訪れたのもその少女の目撃情報を入手したからです」

「そうでしたか……………」

アリアが俺の事情を少し話して女王様に納得してもらう。

「我が国の民達を治して下さった彼の力になってあげたいのですが、先の話も確信があるというわけではありません。お探しの少女ではないという可能性もあります」

あくまで聞いただけの話ということか。

そもそもエルフだからといってシャーレとは限らない。他国に足を運ぶエルフだって沢山いるし、俺を探しているシャーレがそんなことをする動機もないはずだ。

それに人間の国で育ったシャーレが何の接点もない魚人族に何かしらの危害を加えるのも考えにくい。

「………………話を戻しても?」

「はい」

「封印が解かれたリヴァイアサンは夜に活動を始めます。恐らく今夜も」

出てくる可能性はあるってことか。

活動しているのが夜なら今は身を潜めて休んでいるはず。なら今の内にリヴァイアサンを見つけ出して話をつけてみよう。もしかしたら話し合いで解決できるかもしれないし、そのエルフのことについて何か知っているかもしれない。

どちらも可能性は低いけどやってみる価値はあるはずだ。


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