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外れスキル翻訳でチートに  作者: 幻影十夢
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腕試し

馬車に揺られながら進むこと一週間が過ぎた頃、俺達は魚人族が住む国へとやってきた。

見渡す限りの広大な海の景色。独特の潮の香りと湿り気を帯びた潮風。前は奴隷としてここに足を運んだけど、今度は冒険者としてこの国にやってきた。

この国にシャーレがいるかもしれない。

クエストのこともあるけど、俺にとってはそれと同じくらいにシャーレのことが大切だ。早く見つけてらないとな……………。

「うわぁ………………あれが海…………………」

馬車の中から初めて見る海の景色に目を奪われているセシルに俺とアリアはつい微笑ましい気持ちになる。

まぁ、セシルの気持ちはよくわかる。俺も子供の頃、初めて見る海にはしゃいだものだ。

だけど…………。

馬車の中から街中を歩く魚人族の表情が暗い人が多い。それに壊されている建物の後がいくつか見られる。

例の巨大モンスターのせいだろうか……………………。

早く解決してここに住む人達の不安を解消させてあげないといけないから、遊ばせるとしてもそれからだな。

「見えてきたわ」

アリアの声に俺は前を見るとそこには豪華な城が建っていて馬車はそこに向かっている。

あれが魚人族の王が住む城………………。

魚人族の城を一望して馬車は門を潜り、俺達は場所を降りて魚人族の騎士の案内で会いに行く。

魚人族の王、いや、女王に…………。

「ようこそ、人間の方。私はこの国の女王を務めております。シレーヌ・シレア・メマイド・ネプチューンと申します」

上半身が人で下半身が魚。海のように蒼い髪と瞳をした魚人族の女王。その後ろにはその配下と思われる鮫の魚人の騎士が待機している。

「本来であれば我等の国の問題を他種族である貴女方に助けを求めるのは筋違いなのかもしれませんが、状況が状況ですのでこちらも手段を選んでいる場合ではないのです」

申し訳なさそうに言う女王様。だけど、ここで一つ問題が発生している。

「????」

「………………………」

翻訳スキルを持っている俺を除いた二人は女王が何を言っているのか理解出来ていない。

「えっと…………………」

二人の反応に流石の女王様も困ったようにする。

仕方がない……………………。

「女王様。私は翻訳スキルを持っております。よろしければ通訳をしてもよろしいでしょうか?」

「それは是非ともお願いします」

俺が翻訳スキルを持っている事を知って一安心すると女王様は話を続けた。

「それで手練れの冒険者を二人、お連れするという報告を受けているのですが、どちらにいらっしゃるのでしょうか? 件のモンスターは我々魚人族の精鋭ですら歯牙にもかけない強敵です。是非とも一度お会いしておきたいのですが」

どうやら女王様はその冒険者が俺とセシルだということには気付いていないらしい。

いや、まぁ、見た目は十代前半の子供だから無理はないけど……………………。

俺はアリアに女王様が言った事をそのまま教えるとアリアは不敵な笑みを浮かべて言った。

「女王陛下の眼前におられるのが私が用意した最高の冒険者です。この二人なら必ずや例の巨大モンスターの討伐してみせるでしょう」

そしてそれをそのまま女王様に伝えると驚いた顔で俺とセシルを見た。

だが……………………。

「ふざけるのも大概にして欲しい! 我々ですら倒すこともできないあの怪物をそんな子供に倒せれるわけがない! 我々をからかっているのか!?」

女王様の後ろにいる騎士が怒りに心頭した様子でそう言ってきた。

まぁ、そう思うのも無理はないだろう……………………。だってガキだし。

そのことをアリアに伝えたら。

「それでしたら腕試しなどいかがでしょう。貴方自身で彼等の実力を知るというのは」

「いいだろう! 望むところだ!」

アリアの挑発に騎士は乗った。

おいおい、戦うのは俺とセシルなんだけど?




俺とセシルの実力を知る為に腕試しをすることになった俺達は修練場のような場所までやってきた。

「師匠、どうしましょう?」

「やるしかないだろう……………」

向こうさんはやる気満々だしな。

女王様の後ろにいた騎士の他にもう一人、魚人族の騎士がいる。俺達の実力をそれぞれ平等に計る為か。

「二人共、頑張りなさい」

余裕の笑みを浮かべたまま応援してくるアリア。その表情は俺達が負けるとは少しも思っていない。

まぁ、確かに勝てるのだけど……………………。

「私は魚人騎士団副団長、ホエール・オルカである! 貴殿等の実力を試させてもらう!」

そうこう考えている内に三又を持つ魚人族の騎士が前に出てきた。

「セシル」

「はい」

セシルを前に出させて先に戦わせる。

多くの魚人族や女王様に見守られながら二人は武器を構える。そして女王様の合図と共に腕試しが開始される。

「始め!」

「うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!」

最初に動いたのはホエールと言っていた副団長だ。その三又の矛先をセシルに向けたまま突貫して放たれる超突猛進の鋭い一撃をセシルは剣で受け止めた。それも片手で。

「なに!?」

予想外と言わんばかりの顔で驚くが、三又を弾いて瞬く間に剣の間合いに入ったセシルの一太刀がホエールさんを地面に寝転がせた。

「そ、それまで!」

たった一撃で副団長が倒されたことに女王様も他の魚人族もざわめきが止めらない。だが、それも無理はない。セシルのレベルは85でホエールさんのレベルは42。倍以上のレベル差があればこれぐらいは当然だ。

「師匠! ちゃんと手加減できましたよ!」

「ああ、よくやった」

弟子の成長を褒めながら次は俺の番。あの鮫の騎士との腕試しだ。

「………………………私は魚人騎士団団長であるシャークだ。まさかあんな幼い子にホエールが負けるとは思いもしなかった。客間での無礼、まずは詫びたい」

「いえいえ、そちらは当然の反応をしたまでですよ。わかって頂けたのであれば何も問題はありません」

「………………そうか。だが、私自身も貴殿がどこまで強いのかこの身を持って知っておきたい」

そう言って二振りの三又を構えるシャークさんに俺も剣を抜く。

「始め!」

開始の合図。先のホエールさんとは違ってまずは様子見かのようにそちらから攻めてこない。油断なく構えてこちらの様子を窺っている。

それじゃ、こちらから攻めてみますか……………。

いつものように歩きながらシャークさんに近づく俺に警戒心を高めるシャークさんの三又の間合いに入る。

瞬間―――

「シャァァアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」

鮫のような怒声と共に二振りの三又を振るって俺に直撃するが無傷。痛くも痒くもない。

「なっ!? わ、私の攻撃がッ!?」

自分の攻撃が通用しなかったことに驚いているその隙にそっと首筋に刃を当てる。

「俺の勝ちですね」

「………………………ああ、認めよう。私の負けだ」

三又を手放して戦意を喪失するシャークさんを見て俺は剣を鞘に収める。

「リブロ、通訳をお願い」

「ああ」

そしてアリアは嬢様に告げる。

「二人は確かにまだ子供ですが、その実力は見ての通りです。他に何か不満はございますでしょうか?」

その言葉に女王様も含めて文句を言う人は誰一人いなかった。

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