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外れスキル翻訳でチートに  作者: 幻影十夢
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師弟の繋がり

セシルとアリアに仇討ちのことを話して俺の我儘に二人を巻き込むわけには行かなかった俺は二人にそのことを話した。アリアはそんな俺を真剣に受け止めてくれて慰めてくれたが。

「あの馬鹿弟子! いったいどこにいやがる!?」

セシルはその事が納得できずに力を求めて秘宝(レジェンド)を手に入れようとしている。

Sランクしか入ることしかできない危険な領域(エリア)。そんなところにセシルが行けば間違いなく死ぬ。

いくら強くなったとはいえ、セシルにはまだ早い。何か起きる前に見つけないと……………ッ!

空を飛び、索敵スキルを発動させながら目視でもセシルを探す。しかし、街中は人が多すぎて特定が困難。それに下手をすればもう街の外に出ているかもしれない。

「………………確か、北西だったな」

秘宝(レジェンド)があるとされる危険領域(エリア)。セシルがそこを目指しているのならそこにいるはず。行ってみるか……………。

北西方向に向かいながら索敵スキルを発動させていると反応があった。

街から離れるように北西方向を真っ直ぐに駆け出しているこの反応は間違いなくセシルだ。

「見つけた」

捉えたぞ、セシル。

その反応を逃さないように風の力で加速する俺は遂に目視でセシルを捉えることができた。

「セシル!」

「し、師匠!? ど、どうして空から……………ッ!?」

突然空から現れた俺に驚くが、そんなことはどうでもいい。

「この馬鹿! いくら強くなったからといってまだまだお前は弱い! 秘宝(レジェンド)を手に入れる前に死ぬだけだ! そんなこともわからないのか!? この馬鹿弟子!!」

感情のままに怒鳴りつける俺にセシルは一瞬怯むも睨み返して反論してくる。

「だって! 私が弱いから師匠の傍にいられないのなら私が強くなれば師匠の傍にいていいってことじゃないですか!?」

「だからって無茶をするな! 力を手に入れる前に死んだら何の意味もないだろうが!」

「でもその力があれば私は師匠と一緒に行動できる! だから私は秘宝(レジェンド)を手に入れてきます!」

「今のお前のレベルじゃできないからSランク以外立ち入り禁止になってんだろうが! このわからず屋の弟子!」

「師匠だって私の気持ちを無視して勝手に決めないでください! このわからず屋の師匠!」

「なッ!? 俺はな、お前やアリア達を巻き込まない為にああ言ったんだ! 仇討ちの相手は冒険者のランクで言えばAランクもしくはSランクだ! 俺に戦い方を教えてくれた皆を一撃で殺せるだけの実力者だ! そんな相手に一緒に戦ってくれなんて言えるか!」

「言ってくださいよ!! 馬鹿師匠!!」

そんな相手に他の皆を戦わせるわけにはいかない。そう思って言ったのにセシルはそれを蹴った。

「私は、私は師匠のことが大好きです!!」

それはあまりにも突発的な告白だった。

「子供の戯言だと一蹴させず私を弟子にしてくれました! 一人で眠れない夜は一緒に寝てくれました! 優しくしてくれて、甘やかしてくれて、本当の家族のように私を大切にしてくれました! それが嬉しかった! 嬉しかったから………………もう一緒にいられないのは辛いです………………」

ボロボロと大粒の涙を流しながら口にするその気持ちを聞いて俺はようやく気付いた。

セシルはまだ子供だということを。

それも一ヶ月前に家族を盗賊に殺された幼い子供だ。

俺は外見はセシルと差はあまりないけど、中身はもう立派な大人だから意識したことがなかった。だけど普通は子供にとって親は必要な存在。依存の対象とも言ってもいい。

まだまだ親に甘えたい年頃で親が死んで、一ヶ月も共に寝食を一緒にしてきた俺に何の情も抱かないわけがない。俺自身もセシルを妹のように大切にしてきた。

そんな俺とセシルの繋がりは師弟関係。だけど俺はその師弟関係を切ろうとしていた。

それはセシルにとって家族の縁を切るに等しい行為だということに気づかずに。

セシルの言う通り、俺は自分の事だけでセシルの気持ちなんてこれっぽちも考えてなかったな。

ウールさん達の仇を討つのは俺が勝手に決めた我儘。だからそんな我儘にアリアやセシル達を巻き込まないようにしようと思っていた。

セシルはそんなこと全く望んでいなかったのに、それが最善だと勝手に決めつけていた。弟子がそう言ってくれるまで気付いてやれることもしなかった。

師匠、失格だな…………。

猛省する。けれど、このままセシルに秘宝(レジェンド)を取りに行かせるわけにはいかないし、夜も遅い。明日にでもちゃんとアリアと一緒にこれからのことを……………………。

話し合おう。そう思ったその時、俺は自分の目を疑った。

「なんだ、これは…………?」

気がつけば辺り一面が花畑になっていた。それも普通の花畑ではない。花や植物が薄っすらと青白く輝いている幻想的な花畑だ。さっきまで何もなかった街道だったのに気がつけば俺達はこの花畑の中心に立たされていた。

「し、師匠……………」

セシルもようやく自分が置かれている現状に気付いて俺に寄り添ってくる。

「いったいどうなってる……………?」

幻影? いや、精霊の加護を受けている俺に幻は効かないし、魔法耐性のスキルだって持っている。

まるで一瞬で別空間に転移した気分だ。

「まさか………………」

俺達は秘宝(レジェンド)があるとされる領域(エリア)に向かっていた。その領域(エリア)が広がって俺達は秘宝(レジェンド)があるこの空間に入ってしまったかもしれない。

もしくは秘宝(レジェンド)に招かれてしまったか。原因はどうであれ、俺達は迷い込んでしまった。

秘宝(レジェンド)が存在するSランク以外立ち入りを禁止されたこの場所へ。

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