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外れスキル翻訳でチートに  作者: 幻影十夢
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スライム

目を覚ますとセシルが俺に抱き着くように寝ていた。

一人部屋から二人部屋に変えて別々のベッドで寝ていたはずなのにどういうわけかセシルは俺のベッドに入り込んでいた。

「……………………んっ」

するとセシルも目を覚ますもまだ寝惚けているのかボーとしている。

その可愛い寝惚け顔を眺めていると完全に目が覚めたのか、セシルの顔が徐々に赤くなっていく。

「おはよう」

「お、おはようございます……………………」

顔を真っ赤にして俯くセシルの頭を俺は微笑ましく撫でる。

「ご、ごめんなさい。わたし、寝惚けて師匠のベッドに入っちゃって……………………」

「いいよ。気にしていない」

孤児院にいた頃は他の子供達と一緒に寝る毎日だったし、奴隷の頃は抱き枕にされていたことすらあった。

誰かと一緒に寝ること自体もはや抵抗がない。

「なんなら今日から一緒に寝ようか?」

「だ、大丈夫です! ちょっと顔を洗ってきます!」

ベッドから跳び起きて部屋から出て行くセシルを見送って俺は先に着替えを済ませておく。

「さて、今日からセシルを鍛えるとしますか」

今日から師匠として弟子であるセシルを鍛えるのはいいんだけど…………………。

「どう鍛えていこう………………」

やっぱりまずはレベル上げ?




軽装と剣を装備させて駆け出しの冒険者となったセシルを連れて街の外に出る俺達はセシルを鍛える意味も含めて異世界定番モンスターである〈スライム討伐〉のクエストを受けた。

ゲームでもよく出てくるようなあのゲル状生物。たまに街の外で大量発生する時期があるので駆け出しの冒険者にはいい稼ぎになる。

今がその大量発生の時期なので今日はそれを受けて街の外を歩いていると早速スライムを発見する。

目も鼻も耳もないのっぺりとした青色のゲル状生物を見つけるとセシルは早速剣を抜いた。

「セシル。倒せれるか?」

「流石にスライム相手に負けたりはしませんよ。攻撃が当たっても痛くありませんし」

「なら俺は手を出さないから頑張って」

「はい!」

自信満々に頷くセシルを見て俺は若いなぁ、と思いながらスライムとの戦闘を傍観する。

「ヤッ!」

一閃。スライムを剣で攻撃するもスライムはまだ生きている。

「あ、あれ? も、もう一度………………」

今の一撃で倒せなかったセシルは再度攻撃するもスライムは身体が分離しただけでまた元に戻る。二度も攻撃しても倒せれなかったセシルは助言を求めるように俺を見てくる。

「頑張れ」

だが、この程度で助言を求めても教えてあげない。

スライムは俺に助言を求めているセシルの隙をつくように顔にへばりつく。

「――――――っ!? ――――――――ッッ!」

顔にへばりついたスライムを取ろうとするもスライムはゲル状生物。掴まえることも引き剥がすこともできないままもがき苦しむセシルに仕方がなく助けてやる。

「ぷはッ! ……………はぁ……………はぁ…………し、死ぬかと思った……………………」

肺に酸素を送ってゆっくりと呼吸をして落ち着かせるセシルに俺は言う。

「さてセシル。どうしてスライムが倒せれなかったのか考えてみようか」

反省点を述べさせようと自分の過ちを考えさせる。

「えっと、剣で攻撃しても効きませんでした。それに顔にくっついてくるとも思いませんでした」

「そうだな。ここに俺がいなかったらセシルはスライム相手に負けたりしないと言ったスライムに殺されていた」

うっ、と喉を詰まらせた声を出す。

「スライムとはいえモンスターだ。殺されない為に敵を殺す手段ぐらい持ち合わせている。油断大敵。それがセシルがする一つ目の反省点だ」

「はい…………」

「そしてもう一つ。スライムに物理攻撃は殆ど通用しないから魔法で倒すのが一番手っ取り早いけど、コツさえ掴めば剣でも余裕でスライムを倒すことが出来る。それは何でしょうか?」

「えっと……………………わかりません」

「答えは核。スライムの体内には身体を形成している小さな球体状の核がある。それを壊せばスライムは簡単に倒すことが出来る。セシルはそれを知らなかったからスライムに負けた。二つ目の反省点は知識不足。モンスターの生態、行動、習性などを勉強して備えておく。勿論勉強するのはモンスターのことだけじゃなく武器の特徴、間合いの取り方など色々なことを知っておいて損はない。意外な知識が意外なところで役に立つこともあるからな」

いや、これ本当に。

「強くなりたいのならただレベルやステータスを上げるだけじゃ意味がない。知識と技術も身に付けないといけないし、スキルに頼り過ぎるのもいざという時に役に立たない。よく覚えておけ」

ウールさんも俺にそう教えてくれた。力に頼り過ぎるといざという時にその力を発揮することができない、と。だから俺は知識と技術をしっかりと身に付けた。何事も基礎は大事ってことが身に染みてわかった。

そんな俺の言葉を聞いてセシルは真剣な顔で頷く。

「はい」

うん、もうスライムだからと油断することもなさそうだな。

「セシルがどんな魔法やスキルを取得しても俺はそれに口を挟むつもりはない。どう強くなるのかはセシル、お前自身で決めるんだ。俺はただ導くだけだということを忘れるな」

「はい!」

「なら特訓再開だ。また倒せれなかったら罰ゲームがあるから覚悟するように」

「絶対に倒します!」

そして今日一日、スライムを狩りまくった。

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