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剣聖セシル


 トニーとシェリルは、予想以上のゴブリンの数に圧倒され、立ち尽くしてしまったようだった。


「……くそっ!いくらなんでも数が多すぎるぜ!まさかのホブゴブリンもいやがるのかよっ!」

「で、でもやるしかないわ。セシルの生活が懸かっているんだもの!」


 2人は腰に付けたロングソードを引き抜き、厳しい戦闘になる事を覚悟したようだった。


「シェリル、とりあえず1人10殺だ。絶対死ぬんじゃねーぞっ!!」

「分かったわ!セシルの牧場は絶対守ってみせる!」


 ゴブリン達の群れは、羊達を囲っている柵を力任せに壊して中に入ろうとしていたが、背後から近づいてくる2人の気配に気が付くと、敵意をむき出しにしてトニーとシェリルに襲いかかって行った。


 初めにトニーの前に3匹のゴブリンが飛びかかって行く。

トニーは冷静にロングソードで2匹を払いのけると、すかさず残りの1匹の身体にロングソードを突き刺してとどめを刺した。


 シェリルもトニーと同じように、複数のゴブリンから距離を取っては1番先に剣を突き付けて来るゴブリンを確実に仕留めている。


 それを後方から見ていた俺は、流石は冒険者だなと感心したが、ふと気が付くと大勢のゴブリン達が羊達を囲っている柵をぶっ壊して、中に入っていってしまったのだ。


「ああっ、ま、まずいぞ! 羊達がやられるっ!」


 俺はどうしていいか分からず、ロングソードを振りかぶってゴブリン達の群れめがけて走り出していた。


しかし、そこで突然リーファが、家の窓を開けて叫び出したのだ。


「セシル!羊さん逃がして!放牧っ!」


「えっ!?ま、まさか……。」


 すると、俺の頭の中でまた例の声が聞こえてきて、俺は慌ててその場に急停止した。



<羊達を放牧しますか?>


「えっ!?あ、はいっ、お願いします!出来るだけ遠くに!」



<場所を指定してください。>


「あ、え~とどこでもいいんだけど、ア、アトラス山脈!?」



<羊50頭をアトラス山脈に放牧します。>



 すると突然、羊50頭の足元に巨大な魔法陣が現れ、一瞬にして羊達の群れは、その魔法陣の中に沈む様に消えてしまったのだった。


 それにはゴブリン達の群れも言葉を失い、口を大きく開けたまま呆然となっていた。


 何しろ、殺そうとしていた目の前の羊達が、突然巨大な魔法陣の中に消えてしまったのだから。


 とにかくこれで羊達は守れた。

俺はこの時ばかりは、不思議な力を俺に与えてくれたリーファに心から感謝した。


 一方、トニーとシェリルを襲ったゴブリン達だが、仲間が3匹、4匹と2人の冒険者に殺されていった為、怒りに身を震わせ、ついには数に物を言わせて2人を一斉攻撃して来たのだった。


 今まで善戦していた冒険者の2人だったが、ついにはシェリルが背後からの攻撃にバランスを崩して、地面に膝を付いてしまった。


「シェ、シェリルーっ!!」


 トニーもシェリルに気を取られて、目の前のゴブリンの一撃を喰らい、左肩に大きなダメージを負ってしまったのだった。


 ゴブリン達もその隙を逃さずに、2人にとどめを刺そうと剣や棍棒を大きく振り上げる。


「くっそおおおおーっ!2人から離れろおおぉぉぉおおーっ!!」


 俺は無我夢中で、持っていたロングソードを力一杯振り抜いた。


 すると10メートル以上離れた場所にいたゴブリン達の身体が、俺が放ったその斬撃で後方に大きく吹っ飛んだのだった。


 吹っ飛ばされたゴブリン達も、それを見ていた仲間のゴブリンも、そしてトニーとシェリルも、目の前で何が起きたのか、まったく理解出来ていない。


「うおおおぉぉぉぉおおおーっ!!」


 俺は親友2人の命を守るべく、我を忘れてゴブリンの群れに突っ込んで行った。


 ゴブリン達は数こそ多いが、単体では力は弱くそれほど素早い動きを見せるわけでもない。剣の修行相手のうちのオヤジに比べれば、そのゴブリン達は驚くほど弱かった。


 気が付いたら俺は、20匹以上のゴブリンを叩き切っていたのだった。



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