五
翌日、姉から事情を聞かれて、昨日見たままのことを話すと姉に不思議な顔をされた。どうやら、姉の見たこととかなり食い違っているようだ。
姉の話によると昨日の私は、姉の言葉への聞き耳などなく、ずんずんと部屋の奥に進み、そして屋根裏部屋へ直行したらしいのだ。そして姉が暗闇に物怖じしていると、途端に私が屋根裏部屋でカン高い笑い声をあげながら影踏み遊びの歌を唄い出したというのだ。そうしてケタケタと笑いながら屋根裏部屋から降りて来た私に腕を、とても恐ろしい力で握りしめられ二階中を走り回されたかと思うと、寝室に戻り、ニタニタと笑みをヒクつかせながら、一晩中姉の腕を強く、強く握りしめ天井をジッと見つめ、ブツブツと影踏み遊びの歌を繰り返していたそうだ。
姉に昨日のあなたはいったいどうしたんだ、と言われても、私はそんなことなんてした覚えはないし、むしろ私の見聞きしたことさえ姉には信じてもらえていないようだった。
結局、私たちはお互いに納得することなく不愉快な気持ちのまま帰省を終えたのだ。
それ以来、あんなに大好きだった影踏み遊びは、あの恐ろしい記憶と重なるようで、遊ぶことはなくなってしまった。
結局、祖母の家の屋根裏部屋はなんだったのだろう。
終わり