三
深夜、祖母が完全に眠ったのを確認してから姉と2階に上がると、やはり廊下やそこいら中になんだかよくわからない古そうなものがごりゃごちゃと置かれていた。
なぜか電灯のスイッチがどこにもないので、仕方なく懐中電灯で照らしながら物色を始める。だが教養のない私たちがこんなものを見ても価値があるのかないのか理解できるわけもなく、お宝探しに飽きた私たちの目的が「今まで一度も踏み入ったことのない二階の探索」へと切り替わるのは時間の問題だった。
探索を続けていると、何故か何もない空っぽの部屋が出てきた。
奥のほうにこんな都合の良いスペースがあるのにどうして2階の廊下や階段の前にあれだけの物を置き、まるでその先を塞ぐかのように積み重ねているのだろうと不思議に思っていると、ねぇ、ちょっと、と姉に呼び止められる。どうやらこの部屋には屋根裏部屋への梯子があるようだった。
祖母の家に屋根裏部屋があるなんて知らなかった私たちは未知の発見に喜ぶも、どこか暗闇への恐ろしさを感じてしまい、ジャンケンでどちらが先に昇るか決めることにした。
ジャンケンほい、と、そして、結局負けたのは私だった。頑張りなよ〜とほくそ笑む姉の視線を背に、こなくそと梯子を昇る。
昇るたびに埃の臭いと、なぜだか、そしてツンとするような嫌な臭いが混じり、それはいよいよ強くなるのだ。
梯子を登りきると、だが屋根裏部屋もまた、特にこれといったものがなく、というよりもここもまた下の部屋と同じように何もない状態のようだった。足元にジャリジャリとした感触がする、砂つぶか何かの、そのカケラでも散らばっているのだろうか。
すると、人間の呻きのような、大きな哺乳類の鼻息のような、何かが聞こえてくるのだ。