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一
子供の頃、私たちは奇妙な遊びにハマっていた。祖母の生まれた土地に伝わる遊びで、それはーー
ーー影や道陸神、十三夜のぼた餅ーー
ーーと歌いながら鬼に扮した子が他の子たちの影を踏もうと追いかけ、他の子はそれから逃げ回るという他愛のないものだった。
しかし、子供の遊びには決まって怖い尾ヒレのついた噂がつきがちで、影を踏まれ、そしておかしくなってしまった女のストーリーが、噂というよりも暗黙に知られており、そこからだろう「大人の女の人の影を踏んではいけない」というルールを私たちは誰しもが従順に、それを守っていた。