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ヒモになりたいお年頃。  作者: 長井瑞希
第0章 始動
8/11

8.そろそろ……

 ファンタジーかと思ったら学校でお勉強とは。クソゲー過ぎてマジ何も言えねぇ!

「そもそも、翻訳魔法の使い手が学校にしかいねーんだわ」

 あー、さっきも出てきたな、翻訳魔法。

「なに、翻訳魔法ってそんなに珍しいの?」

「正確言えば、『魔法効果を永続化させることができる翻訳魔法の使い手』は学校にしか居ないが、使い手自体はそれほど少ないわけでもない。かといって多くもないが」

「何が言いたいのさ」

「あー、つまりだな、翻訳魔法ってのは欠陥魔法なのさ」

「欠陥……?」

「詳しいことは学校で聞きな」

「そればっかりか!」

 結局、詳しいことは教えてもらえなかった。チクショウ。


   △     ▼     △


 なんだかんだあって王都に着きました。なんで王都かって? 学校が王都にあるからだね。

 学習能力のないアランのせいで、僕はまた男に抱えられて恐怖を味わいました。しばらくジェットコースターには乗りたくないね。そもそもジェットコースターそのものがないけど。

「ジェットコースターなら王都にもあるぞ」

 心を読むな、心を。というかジェットコースター有るのかよ。

「男なら、細かいことは気にすんな」

「細かくねぇよ!」

 まぁ、この恐怖体験のおかげでアランとの距離は縮まった……のかもしれない。

 ちなみに、今回はアランと僕の2人だけだ。そのせいで、何を血迷ったかこの男、前回よりもさらにスピードを出してきた。道中は何度も死を覚悟したよ。

「もうそろそろ、お前ともお別れだな……」

「急にそれっぽい雰囲気を作るんじゃねぇ」

 ただ、別れが近づいているのは事実だ。

 昨日の夕方に出発して、王都に着いたのが朝のことだ。

 人はまばらで、だからこそこんなに大騒ぎできているのだけれど。人の目がないからしょうがないよね。

 あ、ちなみにだけど、今は自分の足で歩いてる。男に担がれる趣味は持ち合わせていないので。

「ところで、学校って具体的に何をするところなのさ?」

「あ? そりゃ勉強だろ」

「いや、そうじゃなくてさ」

 確かに、勉強もするだろうさ。

「ほら、魔法学校だったり、武道学校だったりさ」

 ファンタジーなんだし、これぐらいは期待してもいいよね?

「そういや言ってなかったか。今から行くところはな、ギルド直轄の冒険者育成学校だ」

 ……あれ? 思ってたのとちょっと違うな。

「王立魔道学校とか、そんな感じのはないの?」

「ないぞ」

「なん……だと……ッ!?」

「国に雇われるためには、実力、実績、コネの三つがそろってないとダメなんだ」

 なんか語り出したぞこのハゲ。

「だから、エリートコースなんてものはこの世界にはない」

「コネが必要なのはどの世界でも同じってことか」

「そういうこった」

 コミュ障にコネとかほぼ無理ですが。

「ところで、いつになったら着くの?」

 けっこう歩いたことない?

「そう焦るな。あと少しだ」

「そっか」

 なら、着くまで王都の景色というものを味わってみますか。


 コンクリートに似たものでできている建物がやたらと多い。どの建物も同じように見えてしまう。べ、別に目が節穴ってわけじゃない……はず。

 人が居れば、もう少し違った見え方がするのかもなぁ……。

「あー、一つ言っておかなきゃならんことがある」

「なにさ、いきなり」

「お前のことな、学校にいるババァに預けることになってるから」

「ババァ?」

「そう、ババァだ。天才と書いて変態と読む、そんなババァだ」

 何それ怖い。

「具体的には?」

「急に人を燃やしたりする」

「危ない人だな!」

 そんな人に預けられるの……? 不安しかないよ……。

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