7.りあるなんてくそげーです。
タイトルがひらがななのは仕様です。
「まったく……俺もまだまだってことか……」
「……というと?」
「マスターは、俺の何倍も強いんだ」
「えっ?」
あのダンディーなおじさまが? 怪物みたいなこのおっさんよりも!?
「強さってものにも色々あるが、総合的にまだまだだってことなんだろうな。お前と同じ扱いだった」
確かに、マスターは執拗に『君たち』と言っていたな。
「でも、そんなにすごいので?」
「ああ。あの人はな、化け物だ」
時速60キロだせる人間に言われたくないと思うけど。
「唯一魔法が苦手って話だが、実際のところはどうなのか、俺にはわからん。だが、伝説にもなってるからな、強いのは確かだ」
「……伝説?」
「ああ。生ける伝説よ」
「ふーん」
正直、その伝説とやらに興味がないわけではない。が、今回はそれに勝るものがある。
「で、この便利アイテムっていったい何なのさ」
この、ボールのような紫色の玉は。
「ああ、コレはな、魔石っていうモンだ」
「マ○キ……?」
芸人が所属してる……? あ、違う、魔石ね、うん知ってたよ?
「で、この魔石なんだが、ただの魔石とは比べものにならないぐらいすごいぞ」
「というと?」
「魔石ってものは、魔物にとっての心臓なんだが……魔物って分かるか?」
「スライムとかゴブリンとか?」
「分かってるなら話は早いな。この魔石は、ゴブリンやオークからとれるものより二回り大きいんだ。つまり……」
「ドラゴン?」
「いや、ドラゴンじゃない。さしずめ上位オーガの魔石ってとこだろう。
ちなみに、ドラゴンに魔石はないぞ。ワイバーンにはあるが」
上位オーガ、かぁ……。
「その中でもかなり状態がいいんじゃないか? 売ればそれなりになるぞ」
「あ、もしかしてコレ売って生活基盤作れってこと?」
「ところがどっこい、話はそう簡単じゃない」
「……え、どういうことさ」
難しい話は嫌だよ?
「魔石ってものは、いくつか使い道があるんだ。錬金術だったり、魔道具だったり、あとは……翻訳魔法の永続化なんかに使われたりするな」
「錬金術って、鉛を金に変えるやつ?」
「そうだ。最近は……なんて言ったかな、ウラン、そう、ウランについて調べてるって聞いたな」
核爆弾でも作る気なのかな……?
っと、そうじゃないや。
「結局、僕が使えそうな方法はなかったんだけど……?」
「そんなことはどうでもいいんだ」
どうでもよくねぇよ。
「重要なことは学校で教えてもらえ」
「えっと……今なんて?」
ものすごい嫌な予感が……。
「安心しな。学校まで連れてってやるからよ」
うわ、もしかしなくても幻聴じゃなかったかぁ……。
「え、なに学校に行くの? 異世界に来たのに? マジで?」
「つべこべ言わずにとっとと支度しろ」
うっわなにこのクソゲー。
学校……単位……留年……ウッ、アタマガ……。