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ヒモになりたいお年頃。  作者: 長井瑞希
第0章 始動
6/11

6.ひな鳥

ぴよぴよ。

「あー、つまりこの世界はファンタジーな、魔法が存在する世界って認識でいいわけだね?」

「ああ。その認識でオーケーだ」

 もし異世界転移を認めていなかったら、僕は僕自身が嫌いな『事実を認めようとしない人間』になっていた。……いや、片足は突っ込んでいたか。

 まぁ、なっていたものはしょうがない。今は、どう生きていくかが問題だ。

「それで? 僕はこれからどうやって生活すればいいのかな?」

「おー、それなんだがなぁ……っと、その前にまずはアレについての説明が先か」

「……アレ?」

「おう、アレだ。……マスター! 『ひな鳥』に『とびっきりのエール』を!」

「ひな鳥? エール??」

 エールって、お酒のこと?

 アランが大声で注文したことにちょっとびっくりしていると、どこからともなく1人の男性がやってきた。

「今回のひな鳥は……少し心配だな」

 彼がマスターなのだろう。燕尾服? タキシード? よく分からないけど黒い。白いのは内側にあるシャツと肌、あときれいな手袋だけだった。

 年はたぶん50代。ダンディズム溢れる人だ。おじさまと呼ぶことにしよう。

 白髪というよりは銀髪に近い髪の毛。その辺りもポイント高いよね。

「確かに、俺たちに比べたら線は細いかもしれないが、きっとなんとかしてくれるさ」

「そこは、『こいつは化けそうな予感がする』とか、他にも色々あるだろうに」

「俺が面倒見てやれるんだったらそう言ってたかもな。それより、とびっきりのエールは?」

「ふむ……少年」

 おじさま……マスターはアランの問いには答えることなく、少年……つまり僕に向かって声をかけてきた。

「あ、はい。なんでしょう」

「ひな鳥はいつか巣を離れ、そして親になる。君にとっての巣がこの街になるのか、それともこれから行く場所になるのか。我々には決定権などないし、成長させてやることができるかどうかすら怪しいものだ」

「は、はぁ……」

「つまりは、すべては君の頑張り次第だと、そういうわけだ」

「まぁ、確かにそうですね」

 正直な話、この人が言ったことの半分も理解できていないけれど、それでも、僕が頑張らなければいけないってことは薄々ながら理解できたと思う。

「今はまだわからなくていい。いや、わからないからこそ君はひな鳥なのだ。我々は親ではない。だが、兄弟だと、そう思っている。君の、いや君たちの助けになれればと、そう思っているよ」

「ありがとう……ございます……?」

「それと、これは少しばかりの餞別という奴だ。どう使うかは、君が決めるといい」

 そう言うと彼は紫色の玉をテーブルの上に置いた。

 大きさは軟式野球で使われるボールと同じくらい。あ、大人用の方ね。透明で濁りはなくて、まるで宝石みたいだ。

「これは……?」

 もしかして、本当に宝石? コレを売って当面の生活資金にしろと?

「便利アイテムだ。詳しくはアラン君に聞くといい」

 あ、便利アイテムですか、なるほど。……なるほど?

「マスターも結局は人頼みじゃないか」

「私は、ただ部下に仕事を回しただけだが?」

「……はぁ……」

「それじゃ、君が、君たちが、私の隣に立てるようになる日を、楽しみにしているよ」

 そう言い、マスターはどこかへ行ってしまった。

ちなみに、軟式野球は来年辺りから色々変わるそうです。

中学生もボールが一回り大きく、社会人と同じボールを使うようになるそうです。

詳しくは軟式M号で検索してください。私には語彙力が足りないんです。

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