表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒモになりたいお年頃。  作者: 長井瑞希
第0章 始動
4/11

4.大きな門。そして……

ブレブレだって? 気にすんな!

 父さんに似ている男は、僕を力ずくで引っこ抜くと、そのまま片腕で担いで……って、え?

 僕一応50キロあるんですけど……?

「うーし、鞄の他には何もなさそうだな。撤収だ」

 ちなみに、鞄は僕の死角に落ちていたらしい。お気に入りの鞄だったからあってよかった。

 缶バッチが大量についてたり、ぬいぐるみがボールチェーンでつながれていたりするから、ちょっと恥ずかしかったけどまあよしとする。

 で、父さんに似ているこの男……かなり日焼けしているから仮にしげると呼ぶことにするけど、しげるは1人で来たわけじゃなくて、他に2人連れてきていた。

 どちらも男で、なんだか頑固そうなイメージ。

 で。しげるの顔や筋力にばかり驚いていたけれど、もっと驚くべきポイントがあった。

 なんとこの2人、帯刀をしているのである。銃刀法違反だよね?

 それに、いくら紛争が激化している土地であっても、刀は銃には勝てない。そこから導き出される答えは、そう!

「あ、もしかしてレイヤーのかたですか?」

「おい坊主。あんまし口開けんなよ。舌かむぞ?」

「いやいや降ろしてくれれば歩けるうううぅぅぅーー!!??」

 およそ人が出していい速度じゃないよコレ! 時速60キロは出てるんじゃないかな!?

「無理無理無理降ろして降ろして降ろして!」

「耳元でうるせえな! ちったぁ静かにできねぇのか!」

「ギャァァーーー!!!」

 ヒモなしバンジーと同等の恐怖がそこにはあった……。


   ▲     ▽     ▲


「おーし、ついたぞ坊主」

 しげるが何か言っているがそれどころじゃない。

「し、死ぬかと思った……」

 最初は普通に走っているだけだったのに、何をとち狂ったのか3段ジャンプとか背走とか、ジェットコースター5連続で乗れば分かるような恐怖。安全装置はしげるの片腕。本当に頭がおかしい。

「あー、何をへばってるのか知らんが、とりあえずこのまま連れてくぞ」

 気を失っていないだけ褒めて欲しいね。でもちょっと休憩させてくれないかな。僕は引きこもりなんだよね。

 相変わらず強引なしげるは、やっぱり片腕で僕を担いで門をくぐっていく……。ん? 門?

「うわ……でか……」

 入り口は大男のしげるが余裕を持っては入れるようなサイズ。だけどそれはあくまで入り口であって、門自体の大きさとは関係がない。

 いや、門というよりは城壁といった方が正しいのだろう。石の壁だ。堅そう。そしてでかい。

「万里の長城……かな?」

 ただ、もし仮にコレが万里の長城だとすると、僕は中国に不法侵入してしまったということになる。そして周りは日本語が話せるレイヤー(屈強)。なんとかなると思いたい。

 そんなことを考えている間に、しげるは黙々と歩き続ける。

 ただ、僕を担いでいることもあってかなり注目されてしまっている。……僕が。

 は、恥ずかしい……。

「おい、ついたぞ。さっさと降りろ」

「……アンタが降ろしてくれなかったんでしょうが」

 文句を言いながらも降りる。ああ、久しぶりの大地……。

 僕としげるの2人しか居ないように思えるけど、ちゃんとしげるが連れていた2人も居る。

 60キロ出せる人間がここに3人も居るわけだ。キツいわぁ……。

「……で? ここは?」

 何語か分からない文字で書かれた看板。西部劇で見るような酒場のような扉。そして、外にいても聞こえてくるやかましい声。

 バーかな? バーだよね? 僕はそんなところに用はないんだけど? そう思いながら問う。だが、返ってきたものは想像とは違ったものだった。

「ここは、ギルドだ。集会場ともいうが」

「……へ?」

 どうやらしげるは狂ったようです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ