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ヒモになりたいお年頃。  作者: 長井瑞希
第0章 始動
2/11

2.ヒモなしバンジー

「う、動けない……!?」

 時が止まっているわけではないと思う。当たり前か。

 さて、少し現状を整理していこう。

 手足、埋まってます。具体的には肘とかへそとかのライン。そこまで縦に埋まってる。

 周りは……芝生って表現が正しいのかな。とにかくアニメとかによくある緑の丘。それを、たくさんの木で囲まれてる感じ。

 空は青く、気温もそれほど高くない。こんな状況じゃなければ昼寝とかしてたね。

「誰でもいいから助けて……」

 そもそも、どうしてこんなことになってしまったのか。それはきっと、いや間違いなくあの魔方陣と、その後に出てきた得体の知れない女のせいだ。

 そう。それは、大学で魔法陣に襲われた後のことである。


   ▼     △     ▼


「ここは……どこだろ……?」

 辺りは闇に包まれ、自分の体でさえ目視することができない。

「早く帰ってゲームがやりたいなぁ……」

 先月発売されたばかりのRPGの続きが!

「ねぇ、びっくりした? びっくりした!?」

「……?」

 女の声だ。

 声からして、10代。少しやかましい感じ。たぶん陸上部。運動部なのは間違いないね。

「もしもーし。聞こえてますかー?」

 声は後ろから聞こえてくる。

 振り返ってみるけど、やっぱり何も見えない。

「これこれ、無視するなー?」

 また後ろから声が。おかしい。

 僕は確かに声がした方向へ向いたんだ。

 だから、女の声は正面から聞こえてくるはずなのに、また背後から聞こえてきた。

 確かに、移動したという可能性がないわけではない。だけど、忍者でもない限り物音をさせないで移動するなんて不可能だ。

 なら……彼女はくノ一なのだろうか……?

「ほほーう。私をシカトするなんて、いい度胸してるじゃん?」

 あ、やばい。くノ一かもしれない人を怒らせたっぽい。

「あ、や、ごめんなさい」

「ゴメンで済むなら神様は要らないんだよ!」

「そこは神様ではなく警察なのでは?」

「そうとも言う!」

 テンション高いなぁ……。

「ところで、貴女はどちら様で?」

「おや、おやおやおや! この私を知らないと、そう申すか少年よ!」

「ちょ、少年て」

 未だに姿は見えないけれど、たぶん僕の方が年上だと思うんですけど。一応僕成人してるし。

「そうかー、知らないかー」

 だいぶ前から分かっていたことだけど……面倒だなこの女。

「もー、しょうがないなー。それならお姉さんが教えてあげるよー」

「いえ、結構です。それより早く家に帰してくれませんかね?」

 ゲームをやりたいんですよ! あと貴女の対応は非常に面倒だ。とは口には出さない。

「今……なんと……?」

「帰宅、ゲーム、小説!」

 ほとばしるパッション故に片言になってしまったが、果たして伝わっただろうか……?

「ふふ……ふふふふふ……」

「……?」

 と、ここで気づく。いや、気づいてしまう。

「あ、これ詰みじゃね?」



   ▼     △     ▼


 で、その後怒り狂った女はどこかに消えて、気づいたときには100メートルくらいの高さからヒモなしバンジー。控えめに言って、パラシュートなしのスカイダイビングと同じだからね!?

 ヒモなしバンジーに恐怖を感じるなら、フリーフォールを10回連続でやれば、たぶん同じくらいの体験ができるんじゃないかな。

 フリーフォールもヒモなしバンジーも、ちょっとちびりそうになるよね。

 で、まぁ地面にぶつかって、「ズドォォーーーン!!」って音を立てながら僕は埋まりました。

フリーフォールの一瞬の浮遊感は何度やってもなれないものです。

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