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ヒモになりたいお年頃。  作者: 長井瑞希
第0章 始動
1/11

1.ぼっちじゃないよ、ほんとだよ

新シリーズ。更新速度は未定。

「からだバキバキだじぇい……」

 首や腰を回すと、バキバキバキッと小気味良い音が聞こえてくる。

 違和感のなくなった己の体に満足した僕は、家に帰るために鞄を手に取り席を立つ。

 そう、ここは大学にある教室の一つだ。

 先程まで講義の行われていた教室……のはずなのだが、今は誰もいない無人の教室となっていた。

 それもそのはず。何を隠そうこの僕は、今まで寝ていたのだから!

 ……いや、普通は友達が起こしてくれるだろうとか、講義の最中に居眠りするなとか、一般の学生ならば言いたいことはたくさんあるのかもしれない。

 だが、一つだけ言わせてほしい。僕は眠かったのだ、と。仕方のないことなのだと。



 建物の外に出ると、辺りは薄暗くなっていた。

「ぼっち……べ、別に友達が欲しいなんて、思ってないんだからねっ」

 声に出している時点でお察しである。

 いやまぁ、地元に帰ればそれなりに友達はいるよ? ただ学内に友達と呼べる人間がいないだけで……。

 人前ではやらないけど、一人暮らしの弊害か独り言は割と多くなってきた。エア友達と会話しているわけではない。いや本当だからね!?

 と、テンションが高くなっていたときのこと。

「……ん? んん??」

 目の前のアスファルトの上に、魔法陣としか言いようのないものが突然発生した。

 その魔法陣は光を発している。LEDもびっくりするほどの光量だ。

 その色は青っぽい緑。エメラルドグリーンってやつだね。

「幻覚……?」

 もしくは夢か。この場合は、明晰夢ということになるのだろうか? 常識的に考えて、魔法陣が発生するなんてありえない。

 魔法陣。魔法。まさにファンタジーな代物だ。そして、最近では異世界転生というものが流行りだ。よくトラックにひかれる、あれだ。

 だけど、異世界転移というものも存在する。

 まぁ、代表的なものは勇者召喚だよね。使い魔的な何かもあるけど。

 と、そんな僕が冷静でいられたのはここまでだった。

「…………おいおいおいー!?」

 その魔法陣らしきものが、突然こちらへ向かってきたのだ。

 薄暗い中、一際強力な光を発する魔法陣が迫ってくれば、誰だって恐怖するだろう。

 なまじオタク知識がある分、魔法陣に対する恐怖は常人のそれよりも強い。

「いやいやいや来んなって! 僕は主人公なんかになれないから!」

 そこが大学構内であることも忘れ、全速力で来た道を戻りながら叫ぶ。

 けれど、すぐに足が止まってしまう。あきらめでは、ない。

「はぁ、はぁ」

 引きこもりに運動はきついものがあります。マジで。

 どれだけ引き離せただろうかと、後ろを振り返ろうとしたとき、一瞬の浮遊感が僕を襲った。

「……は?」

 魔法陣は足下に存在していたようで、その一言をつぶやくと同時、僕、小島清(こじまきよし)は意識を失った。

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