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第三アジト

▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽


次の日、シーノとコールは森林公園に向かった。待ち合わせ場所にレアンが来ているかの確認だ。


「レアンーー。どこだーー。」


コールが森林公園の森の奥に向かって叫んだ。返事はない。しかし、啜り泣きが聞こえる。多分レアンなのだろう。一様シーノとコールの二人は森にはいる。三百メートル先の木の上にレアンはいた。大きな白い袋を携えて。シーノは焦りながら聞いてみる。


「レアン、どうしたの?」


「おっ、そうだ。昨日は置いていったりして悪かったな。だけどあれはお前が悪───」


「二人に捨てられた。二人に裏切られた。何処までも追ってくるおじさんたち。~~~~~~~~~~」


レアンはただただ呟き続けていた。


「いや、ゴメンって。お前が叫んだのがいけないんじゃん。ご飯おごるからよ。なっ!」


レアンはただ無言で頷いた。シーノも安心したようにホッと息を漏らした。


「見りゃわかるけどダーノさんはいなかったみたいだな。」


「うん。」


「で、手がかりは?」


「ダーノさんがいる場所とそこを記した地図を取ってきた。」


「うん。上出来だ。」


「レアン、ありがとうね。」


「どういたしまして。」


「それで、その袋の中身はなに?」


「金目なもの。」


「邪魔になるくらいなら持ってくるなよ!」


「でも余裕あったから。」


「そんなに邪魔になるものをもっている状態は余裕があるとは言わない!」


▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽


三人はレアンの持ってきた地図をたよりに第三アジトへ・・・行く前に銀行へ行き袋を預けてから目的地へ向かった。


「こんな所になんつーもん作ってんだよ。人来ないにしても怖すぎるだろ。」


「ただの潰れた病院だけど?」


「いやいや、レアン君。だから怖いんだよ。ほら、シーノちゃんを見てみなさい。」


シーノはというと病院の入り口を睨みながら電柱に隠れている。青ざめた顔をしながら震えている。コールに言われてから、シーノが口を開いた。


「だ、大丈夫。父さんのためだから。行く。」


何か決意したような顔に変わった。しかし、震えは止まっていないままだ。歩き出そうとすると足が絡まり転けそうになってしまった。


「あっ。」


「っと。シーノ、大丈夫?」


転けそうになったシーノをレアンは前から止めてあげた。シーノの顔がレアンの胸に埋まる。シーノは赤面になりながら急いでレアンから離れた。


「ご、ごめん。ありがとう。」


シーノは転けかけたのが恥ずかしく急ぎ足でアジトの入り口に向かった。コールはニヤニヤしながらシーノのあとに続く。レアンは不思議そうな顔をしながら


「どういたしまして。」


返事をして二人を追った。


「さすがに暗いな。」


「うん。明かりがあったらよかったのにね。」


「あったら、光でバレちゃうんじゃない?」


「あっ、そっか。シーノ頭いい♪」


「レアンは大袈裟。」


レアンは感心するようにシーノを褒め、シーノはクスッと笑いながら返答する。コールはポケットに手を突っ込み何かを取り出した。


「これだけ暗いとまともに足元見えないからな。」


と言いながらライターの火をつけた。暗かった視界が火の光で見えるようになる。すると、シーノが急に


「キャッ!」


と驚きながらレアンに抱きつく。コールはシーノが見ていたところを反射的に見てしまった。そこには内蔵がむき出しの人間が・・・


「「ギャーーーー!?」」


「二人とも落ち着いて。それ人体模型。」


「「えっ?」」


二人の声が重なった。よく見ると人間ではなく人体模型が壁に張り付けられていた。しかも杭のようなもので両手両足。


「な、なんだ。ビックリした。」


「しかし、なんでこんな張り付けるみたいな・・・」


「まぁ、二人とも今の声である程度の敵にバレたと思うよ。」


「・・・あっ!」


又も二人の声が重なった。一人はうなだれるように、もう一人は申し訳なさそうに後悔している。すると、何かがこちらに向かってくる音が聞こえる。それも複数。全員が構える。


「な、なんか来る!?」


「やけに走るスピード速くないか?」


「多分犬みたいなやつでしょ。足音的に四足歩行だし。」


レアンの言っていることは大体あっていた。しかし、犬ではなく狼だった。三匹の狼が向かってきた。


「ちょっ、犬なんて可愛いもんじゃないじゃねーか!」


「でも犬科ではあるよ?」


「そんなこと言ってる場合じゃないよ。ボクがやる。二人は下がって。」


すると、シーノはペンダントを握る。地面に魔方陣が出てくる。


「なっ!?ギフトだと!?」


「あれ?シーノがギフト持ってるの知らないの?」


「あっれー?俺そんな情報聞いてないよ。俺だけ仲間外れ?」


そんなこと言っている間にシーノは魔方陣から2丁拳銃を出す。


「シーノって銃使えるのか!?」


「一通りの銃なら問題なくできる。」


「おー。シーノって、やっぱりすごい。」


「レアンにすごいって言われてもね。」


(レアンの方がすごいから嫌みに聞こえる。そんなつもり本人には無いんだろうけど。)


とシーノは心の中で笑いながら銃を構える。


まず、一匹が飛びかかってくる。二匹目が一匹目の後方から、そのままシーノの足めがけて走ってくる。三匹目は左に回り込もうとしながら走ってくる。一匹目の飛びかかってくる狼に右手の銃の引き金を引く。シーノは的確に狼の頭を撃ち抜く。二匹目は一匹目と重なり狙えないので一旦後回しに。三匹目の狼はすでに左から首に向かって牙を突き立てようと飛びかかろうとしていた。シーノは左から走ってくる狼を左手の銃で狙い撃つ。頭には当たらなかったが足に当たり地面に倒れた。目線を前に戻すと既に残りの狼が飛びかかっていた。シーノはしゃがみこんで狼を避け真上に来たところで弾を撃ち込んだ。そのまま狼は地面に倒れた。足に当たった狼はまだ生きていたが歩けないようでいる。


「おーー。上手いもんだな。どこで習ったんだ?」


「父さんから狩猟のとき教えてもらって。あとは護身用に習った。」


「護身用にって・・・。もはや護身越えてるだろ。」


「でも、相当上手いよね。そこら辺のチンピラよりは実力あるよ。・・・あの時助ける必要はやっぱりあまりなかったんだな。」


レアンは最後にボソリと呟いた。


「いやいや、レアンに助けてもらったからそこまで騒ぎにならなかったんだよ。銃じゃ音大きすぎるし。」


シーノは遠慮がちに言う。視線を泳がすとコールがしゃがみこんで狼を見つめていた。気になってシーノは聞いてみた。


「コール。どうしたの?」


「こいつ、ポイズンウルフだ。」


「ポイズンウルフって何?聞いたことないけど珍しいの?ポイズンってついてるくらいだから毒持ってるのくらい予想できるけど。」


「あぁ。結構な毒を持っている。ただ、問題はそこじゃなくてな。」


「どういうこと?」


コールに質問をしたがここでレアンが真剣な顔で答えた。


「この動物は自然界には存在しないなずの動物。ある国が戦争中に作った人為的な動物なんだ。」


「それって・・・。」


シーノは青ざめた顔をした。この世界の戦争時に作られた技術は大体が非人道的なもので戦争終了時に多くの技術は封印・または処分されたはずなのである。シーノの反応は大袈裟なものではなかった。


「そう。結構な重罪だよ。しかもこの技術はまだ大量生産系のタイプだから、奥にいけばもっと危険なのがいるかも。」


「ダーノさんのこと以外にも面倒そうな問題作りやがって。」


「どうするの?」


「ほとんど、ついでって感じだけど止めるよ。ほっといたら面倒だし。目的は分からないけど、ろくでもないことに使うのは目に見えてわかるし。」


「だな。」


「でも、まずどこ向かうの?」


「上の階は結構脆くて重いものは置けないだろうから地下にいると思う。だから地下の手術室に行く。多分そこにダーノさんがいる。」


(拷問するなら一番道具が揃っているから。)


なんてことを言うわけにもいかないので、シーノに聞かれる前にレアンは走りだした。そしてレアンたちは階段へ向かった。階段を下りたところでポイズンウルフがまた集団で来た。今度は十匹以上いる。警戒しているのか途中で止まった。


「うわっ!多いね。」


「うん。でも、ここはコールに任せて大丈夫だよ。コール、頼んだよ。」


「あいよ!」


コールはコートを広げる。するとコートの内側に多くの薬品やらが見える。その中から白くて丸い物を取りだしポイズンウルフたちの真ん中当たりに投げた。


「お前らこっちだ。」


コールはシーノとレアンの腕をつかみ横にあるドアの中へ逃げ込む。ポイズンウルフたちも動こうとしたがコールが投げたものが地面に落ちた瞬間、白い煙に囲まれ動けなくなった。すると、ポイズンウルフたちはふらつき始め、次々に地面に伏した。煙が消える頃に三人はドアから出てきた。


「流石だね。コール。」


「いや、眠るまでに時間が掛かりすぎてる。改善がいるな。」


そう言うとコールは煙草を取りだしライターで火をつけて吸い始めた。


「あっ、コール。煙草もそうだけど、その癖止めなよ。」


「癖?」


「コールはね、自分の作ったものに納得いかないと何か咥えたがる癖があるの。」


「良いじゃんかよ。煙草吸うくらい。」


「煙草は体に悪いんだよ。」


「ボクもやめた方がいいと思う。」


「お前ら二十歳じゃないからそんなこと言うんだよ。お前らも二十歳になったら吸ってみ。ハマるからよ。」


「ハマるわけない。」


「っていうか親父臭いよ。」


レアンに続いてシーノの追撃。コールは精神に30のダメージを受けた。


「ぐふっ、地味に酷いな。特にシーノ。」


「酷くない。」


「ほらっ、行くよ。」


元気よく走り出す少年と少女をオッサンのような青年がトボトボと後を追った。


道中にもポイズンウルフが出てきたが三人は大事なく倒していった。走っていくと手術室と書かれたランプがあった。


「あった。あそこに。」


「おい止まれ!」


コールの声に二人が止まる。


「どうしたのコール?」


「罠かもしれない。」


「えっ!?」


「ここは俺が開ける。閉じ込められたら外から開けてくれ。それ以外は自分で対処する。」


「う、うん。」


「わかった。気をつけて。」


レアンとシーノの顔に緊張感が出てきた。


「っふーー....。いくぞ!」


 コールはドアを開き前転しながら入っていった。ドアの向こうからは音がない。二人は間を置いてからドアにゆっくり近づいた。そしてドアに手を掛けて力いっぱい引いた。しかし、ドアは何事もなく開いた。開いたドアの先にはコールが胸ポケットから罠に対処するために使うであろうものを取り出して膝をつきながら固まっていた。

少しの間沈黙が空間を支配する。レアンがコールに近づきポンッと肩に手を置き


「罠があるかもしれない。」


と真顔で先程のコールの真似をする。コールは精神に55のダメージを受けた。


「死にたい」


「いやいや、この先に罠があるかもしれないんだよね。この先に」


「やめろよ。恥ずかしいだろ。頼むからやめてください。」


「コール、恥ずかしい人。」


コールは63のダメージを受けた。


「ぐはっ。き、今日はやけに精神的に来るな。」


「ところで、ここはなんなんだろ?」


「手術室ってこんなに広くはねーよな。」


コールは立ち上がり周りを見渡す。


「でも確かに手術室って書いてあったよ。」


「いや、広くしたんでしょ。色々機材もあるし。全部ひとつの部屋にいれるために改造したってところでしょ。」


「なるほど、ん?なんだ?この布。」


 そこには布がかかった大きな機材が4つあった。何か入っているようだが布で見えない。しかし、布からはみ出している機械からどんなものかレアンにはわかった。


「コール、多分それ。」


コールはハッとした顔をしてから剥がしてみる。そこには人間がマスクをしながら何かの液体に入ってる。機械の中に繋がっているようで腰から下が蓋で見えない。


「まさかここまでやりやがったとはな。ゼラハとか言うやつは、頭のネジがいくつか無くしてるようだな。」


「いや、私は他のものたちよりほんの少し行動力が高いだけだよ。」


三人は声のする方へ向いた。入ってきたドアと反対のドアから優男が出てきた。自信に満ちたその顔にレアンとシーノは見覚えがあった。シーノは男の顔を見た瞬間顔が怒りで歪んでいった。


「ゼーラーハーー!」


シーノはギフトのペンダントを握り魔方陣を出した。そこからミニガンを出してきた。そこから一気にゼラハに向かって銃口を向けた。


「答えろ!父さんは何処だ?」


今のシーノは答える前にゼラハを蜂の巣にしかねないぐらいの勢いで叫ぶ。


「ああ、ダーノ博士ならここに。」


そう言うと上のパネルの一つが開き中からダーノが縛られた状態で出てきた。顔などに打撲痕がある。しかし、それ以外はあまり怪我がない。シーノはそれを見てさらに怒りが増幅したようだが、レアンは予想より酷くなく心の中でホッとした。しかし、レアンはそれとは関係なくゼラハを睨んだ。コールはゼラハに質問をした。


「おい。ここの人たちはどうした?」


「こいつらか?こいつらはな。私の屋敷で無礼を働いた傭兵どものなれの果てだよ。私を怒らせたのだ。それでも私は、チャンスとしてこの私の研究の役に立つ仕事を彼らに与えてやったのだ。感謝してほしいものだな!」


「最低だな。」


「同感だね。」


レアンはシーノの方を見た。シーノはゼラハを見るまではここまであからさまに怒ったことはなかった。レアンたちもここまで怒ったシーノはまだ見てなかった。これまで本当に感情を圧し殺していたのがよくわかる。コールはゼラハに質問を続けていた。


「この研究はウォーテクノロジーの再現ということでいいのか?ゼラハ、大罪とわかってのことだよな?」


「今更そんなこと聞かんでもよいだろうが。そもそも私の研究は生物専門だぞ。こういうことをするため以外何がある。私はこの力でこの世界を我が物にするのだー!」


ゼラハは両手を開き讃えろといわんばかりに答える。すると、機械がプシューッと気体を発し中の液体が消えていく。気体で全員の視界が白で包まれる。気体が消えたときそこには下半身がワニ・ライオン・蠍・亀でそこには無理やり「人間」の上半身をくっつけたようなモンスターがいた。人間の頭の額の方に順にα・β・Γ・Σと書かれている。


「見ろ!これが私の研究の成果だ!ダーノ氏を無事に返してほしければ彼らの餌になって・・・!?」


ゼラハはダーノがいるはずの場所を見たが既にそこには誰もいなかった。


「バッ、バカな!一体いつ?どうやって?」


「バカなのはあなただよ。」


レアンはシーノの方へ近づこうとしていた。ダーノを抱えながら。シーノは涙を流しながら持っているミニガンを落としダーノの方へ歩み寄った。


「父さん。」


「シーノ、よく頑張ったね。」


ダーノはしゃべるのも辛そうにしながらかすれた声で言った。


「~~!ボ、ボク。父さんを、助けっ、うっ、うぇ〜ん。」


流れる涙を両手で拭きながら父親と話そうとしたが、うまくしゃべれずそのままシーノは泣きながら父親に抱きついた。それこそこんな声を出しながら抱きつくとはレアンもコールもましてや、父親も思っていなかったようでビックリした顔をしている。レアンはゼラハの方を向き何がおこったか説明を始めた。


「まず、あんたは三つほどミスを犯した。一つ目は機械から彼らを一斉に放ったこと。結果的にここにいる全員が視界から誰も確認できないようになった。」


ここで、ゼラハは眉をピクッと動かす。


「二つ目はダーノさんを天井から外に出したままだったこと。あれはもう助けてあげてくださいって、言ってるようなもんだよ。」


ゼラハは歯軋りをし始める


「三つ目は相手の力量も知らずに自分の状況を優位にするもの、盾となるものを見せたこと。なぜらなら────」


「もういい!五月蝿いんだよ、お前、お前から俺の研究成果で叩き潰してやる。やれ!」


ゼラハの指示と共にモンスターたちが一気に動き出す。ライオンのβが、レアンに向かって走り出す。シーノたちが近くにおり、ここでは危険と判断したレアンは向かってくるβ方へ走り出す。レアンは剣を出した。ギフトである剣は輝きだし、剣はそのまま鉄糸になる。ゼラハは剣がなくなったように見えたので、


「なっ!」


 と訳のわからない顔をした。

 走り出したβとレアンの距離は2メートル程になる。βの下半身のライオンは鋭い爪で引き裂こうと、牙で噛み砕こうと、上半身は槍をライオンの体内から取り出してレアンに突き立てようとする。レアンはライオンの爪をジャンプで避ける。避けた先にはライオンの牙が待っていたが、それをライオンの鬣を掴み、体の位置を天井がが見える所に変えながら避ける。。しかし、またも避けた先に上半身から槍での攻撃が来る。レアンは鬣を思い切り引っ張り体を回転させながら、その遠心力で槍を上から足で叩き落とす。槍はライオンの背に刺さる。この時、地面を蹴るのではなく、ライオンの背を蹴りそのまま体を捻り、回転させながらそのままレアンはβの後方の地面に着地する。βは痛そうな叫びをあげたあとレアンの方に旋回しようとした。しかし、


「何をしている!?なぜ止まる?」


動かない。何かに縛られたように動かなくなる。レアンはβに近づきライオンの顔まで行きライオンの顔をさわる。そして、βの上半身の人の顔を見て悲しそうな顔をしながら


「サヨナラ。どうか安らかに。」


レアンはβに背を向けるように振り返る。右手を左から右に振りながら。βは次の瞬間大量の血を身体中から噴き出しながらバラバラになった。


「なっ!?」


ゼラハは今起きたことにまだ現実感が無いようだった。ここで、バラバラのβからレアンの手に掛けて血の滴る糸がやっと視認できた。ゼラハは納得したような、しかし、苦虫を噛むような顔をしながら


「・・・成る程。ギフトか。だが、種が分かれば怖くない!なら、α。Σ。私と共にあのガキを片付けろ!」


 αとΣが一気に動き出す。ワニとくっついているαはマシンガンをワニの背中から取り出してレアンに照準を合わせる。

 Σは人間の部分が亀の甲羅の中にゆっくり吸い込まれていく。完全に飲み込まれると中から何かにブツブツくぐもった声が聞こえる。呪文を唱えているのだろう。しかし、なんの呪文かは聞きづらく分からない。ゼラハも得意の氷の魔法の呪文を唱えている。

それに対して、レアンのギフトが光る。そのまま鉄糸が両刃槍になる。片方が三つ矛でもう片方が短めの剣の刃がある。どちらの刀身も薄く虹色の光を帯びている。

 最初に動いたのはαであった。αはマシンガンから弾丸を撃ちだした。レアンはそれを走りながら避ける。そのままαたちが入っていた機械の影に隠れる。暫くじっとしていると気温が下がったのを肌で感じた。とっさにレアンはしゃがむ。すると、先程までレアンの頭があった場所に尖った氷塊が機械ごと貫いた。そのあとに炎によって氷ごと溶かし、レアンの頭に水がかかる。ずぶぬれになったレアンはめんどくさそうにため息をついた。


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