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神からの贈り物

無限に水を生み出す錫杖があるらしい。

あらゆる攻撃を防ぐことの出来る鎧があるらしい。

怪我を一瞬にして癒すことの出来る石があるらしい。


そんな童話やおとぎ話でしか聞かないような道具が現れ始めたのは今から百年程前の出来事である。科学や魔法での理論は全て無視し、不可能を可能とする道具。そんな道具が現れた事で自分の望むような奇跡の道具があるかもしれないと歓喜に溺れるもの、狂気を滲ませるもの、良くも悪くもそんな人々が増えて行った。そんな理を無視し、人の努力の届かぬ能力を秘めた道具を…人々は天からの贈り物。『Gift』と呼ぶようになった。


これは『Gift』を持つ少年達から皆様に贈られる物語である。


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


ある草原で男は寝ながら待ち人が来るのを待っていた。

男の外見は男にしては少し長い灰色の髪・青い瞳にだらしない髭をはやした顔に185センチ位の高身長で服はやけにポケットが多いブラウン色のコートを着ている。


「今から自由行動ね!」


などと旅の途中なのに呑気なもので、モンスターが来てもやられるような奴ではないので心配はしていない。

だが、彼は年の割に子供っぽいというか無知な所があるので、そこがどんな問題を起こすか解ったものではない。


そんなことを男が考えているうち


「コール。ただいま~~~。」


という声。

どうやら彼が来たようだ。


「レアン何処行ってたんだ?」


と俺、コールは待ち人であるレアンに聞いた。


「遠くの蝶々追いかけてから寝てた。」


と無邪気な声で言う。もう一七歳だというのにこれである。

外見はボサボサの金髪に緑色の目・顔立ちは少し童顔でいかにも美少年という感じである。耳にしているピアスが髪から光を反射し輝いて見える。しかし、その顔と反対に身長が175センチもある。これでは年齢も外見からでは分かりにくいだろうな、と思ったところで自分の外見が三十代に見えることを思いだした。

人のこと言えないな、などと遠い目をしながらため息をついた。

彼の子供っぽい性格には少し複雑な理由があり、その理由を知っている俺からすればあまり彼の子供っぽい性格に疑問はない。それに彼とはもう5年は一緒にいる。彼の言動はある程度慣れて予想出来るようになってきたと思っている。すると、レアンが話し出した。


「それとね、コール。」



「どうしたレアン?」


「いつの間にか銃盗られちゃった。ゴメンね。」


「・・・・・・。」


前言撤回。彼に慣れるのにはまだまだ時間が掛かりそうだ。


「で、何で寝てたら銃持ってかれるんだよ!」


とコールはレアンにツッコミを入れる。


「でも、剣は持ってかれてないよ。」


「そういう話じゃねーよ!」


とコールはまたもツッコミを入れる。しかし、レアンはことやり取りを楽しそうに笑いながら「ゴメンね。」と言うだけ。コールは頭が痛くなってきたのを感じた。


「ハァー、お前の武器はどっちも『ギフトウェポン』なんだぞ。しかも、唯一の遠距離で戦える銃をお前は・・・。」


「ギフトウェポン」とは、ごく稀に物に魔力が宿り、特殊な能力を持った物の総称である。何故宿るのかは未だにわかっておらず、まるで神が与えたようなことから宿ったものは「ギフト」と呼ばれるように。

それの武器に宿っているタイプのものなのでそう呼ばれている。なので、アクセサリーに魔力が宿っている時は、

「ギフトアクセサリー」と呼ばれる。

レアンは2つも持っていたがこれは珍しいケースである。


「あー、もういい!っで、持ってたやつは何処行った?」


とコールはレアンに怒鳴るように言う。


「多分僕たちと同じ目的地に行ったと思うよ?」


とレアンはコールに言う。


「何で疑問系なんだよ!?」


コールはさっきよりむしろ呆れたように言う。


「だって寝てたし・・・あっ、でも知らない足跡が僕たちと同じ目的地にむかって───」


と、レアンが言う途中なのに


「あー、わかったわかった。じゃあ、さっさとオルピスにいくぞ。」


とレアンの言い訳を聞き終える前に疲れたように言う。


「うん。早くご飯食べたいしね。」


「そうじゃねーだろ。銃取り返していくんだろ!」


そう言うとコールはレアンの腕を掴んで正体のわからぬ泥棒を追いかけるために走り出した。


このエノス草原を抜けると目的地がある。

目的地は温暖で、今いる所は暖かく暑すぎない。涼しく寒すぎる訳でもない。目的地はもうすぐそこだろう。


目的地は異国交流国家[オルピス]


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