伝言。
瞼が落ちてしまいそうな昼下がり。
「みらいのあなたからのでんごんをとどけにきました」
と少女が登場。
金髪碧眼ツインテール。そして彼女はただの少女ではなく、美のつく少女だった。
白昼夢でも見ているのかと目をしぱしぱさせるものの、質量のある幻想は薄くなることも居なくなることもなかった。最終手段とばかりにほっぺたを勢いよくつねってみたら、涙があふれるほど痛かったのでこれは紛れもなく現実だと私は認識した。
「きゅうにふしんなこうどうをとってどうしたのですか、きでもくるいましたか?」
目を丸くしても美少女は変わらず美少女なんだなとひどい現実を目の当たりにして、不平等な世界を再認識させられた。
「あの~、もしもし。きこえてまーすかー?」
「へっ!」
聞こえていませんでした。
いかんせん頭がぼーっとすると、言葉が入ってこなくなる。
「きいてました?」
舌っ足らずなひらがな発音に罪悪感が生まれるが
「聞いてませんでした」
と正直に答えるしかないでしょう?
「なら、もういちどいいますね。みらいのあなたからのでんごんをとどけにきました!」
「伝言ですか?」
「はいそうです」
これは〇〇ごっこみたいなものなのかな?
未来の私からの伝言なんてそんなもの……興味がわくに決まってるじゃないか!
「どんな伝言?」
見当もつかないその内容に胸を高鳴らせていると、
「でんごんのないようは、だいきらいなおさななじみは、あなたのけっこんあいてになります。だ、そうです」
大嫌いな幼馴染は、あなたの結婚相手になります?
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや…………ありえないでしょう。
そんなの信じませーん!
「ちゃんとつたえましたからね?それでは、さようなら」
笑顔で消え去った美少女と、取り残された呆然とたたずむ私。
結婚だって?
そんな未来は、一生来ませんからっ!