娘たちの願い
休日になって昼ご飯を食べた後、何気なくテレビを見ていると、宝くじのコマーシャルが流れて来た。応募締め切り間近。1等なら1億円当たる。いつもよく聞くフリーズだ。自分の友達で高額当選した者など聞いたことがない。誠は夢を見るというタイプではなく、あくまで現実を受け入れてコツコツと頑張る現実派だ。当たったら嬉しいが、当たるはずはない。頭の中で一回当たるシーンを思い浮かべてはまた、シーンを消すという行為を繰り返していた。
夜になって晩ご飯を食べていると、長女の美香が話してきた。
「パパ。今度の休日どこかへ行こうよ~。クラスの友達の琴音ちゃんはお父さんと一緒に遊園地へ行くんだって。最近みんなで外へ遊びにいっていないし」
誠は「そうだな……またいつか行こうな」といい、唐揚げを口に入れた。
「パパ。いつもそう言って、いかないじゃん。たまには行こうよ。自分のやりたい事やりなさいって言ってたのパパじゃん」
誠はその言葉が胸に突き刺さった。やりたい事が出来ないのをお金のせいにしている自分。現実はそうなのだが、本当にそれでいいのかと日々悩んでいて行動が出来ない自分。いつも頭の中にあって解決しないでいた。