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雨の公園
公園はとても大きくはないが、市内では名の知れた公園だった。休日は子ども達がサッカーをしたり、遊具で遊んだりできる公園だが、この日は雨が降っていて、時間も夕方で日が暮れつつあり、鈴木家以外は誰もいなかった。
「あっ。この公園は……」
誠はひとり言をいった。
雨が降っている夕方で、周りを特に注意して見ていなかったので分かりにくかったが、さゆりと結婚して、妊娠中に何度か散歩した公園。都会で周りに緑がなく、ゆったりと心大きく育つ子にしたいとさゆりが心強く願って、提案してきた公園。公園には緑がいっぱいあり、子どもの笑顔や笑い声が舞い、公園近くのママたちが談笑する幸せに包まれた場所で誠とさゆりはこの公園が好きだった。
「あの大きな木の近くにあるベンチへ行こうよ」
さゆりはそう言い楽しそうに娘達を連れ、歩いて行く。大きな木の横に屋根つきのベンチがあり、誠とさゆりはよくここで美香、理奈が生まれる前に、妊娠中のさゆりのお腹を撫でながら、良い子が育つようにと話しかけたもんだ。
「理奈が生まれてから、そういえば一度も言っていなかったな」
誠はつぶやきながら、さゆりの後を歩いた。




