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我が家の不思議な母親たち  作者: 天野きつね
第一話 母さん分裂期
2/17

1-1


「おかえりー、さーちゃん」

「おかえりー、さーちゃん」


 バタン。


 思わず玄関の扉を閉めてしまった。

「今の、何……?」

 今は亡き天国のおとーさん。娘は大変なものを見てしまいました。たぶん。

 私は、勇気をふりしぼって、もう一度ドアノブに手をかける。

 願わくば、さっき私が見たものが幻覚であったことを祈りたい(いや、幻覚だったらそれはそれでかなり問題がある気がするんだが)。


 ガチャ。


「もう、さーちゃんってば、何で扉を閉めちゃうのー?」

「おかーさん、今ちょっとだけ傷ついたわ。しくしく」

「――――――ッ!?」

 ――やっぱり、いた。

 思わず、私は悲鳴をあげそうになってしまう。

 だってだ。だって、こんなことって……

 私は、取り敢えず目をつぶって深呼吸。落ち着くんだ、私。

 取り敢えず、己の心理状況を把握。

 自問自答で自己確認。



 Q1.私の名前は?

 A.()(がわ) (さくら)だ。


 Q2.通っている学校は?

 A.公立ヒガヤト中学校。ちなみに二年生のA組で、部活は廃部寸前の文芸部。


 Q3.年齢と誕生日は?

 A.十四歳で四月十四日生まれ・


 Q4.憧れの作家は?

 A.月野冬子さん。


 オッケー、ここまでは大丈夫だ。私は正常。


 Q5.家族構成は?

 A.母と私の二人だけ。父は私が四歳の時にお空に昇った。帰る予定なし。


 しかし――。

「さーちゃん? どうしたの?」

「どうしたの? さーちゃん?」

 問題はそこだ。

 私は母と二人だけでこの家に住んでいるはずだ。

 なのに……

 私は、目を開けて前を見据える。

「……おかー、さん?」


「「なぁに? さーちゃん」」


 一つになった二人の声。

 私の呼びかけに答えたのは、目の前にいる二人。

 そして、目の前には――


 お母さんが二人いました。


 私は、思わずくらっと倒れそうな気持ちになった。


 


 天国の親愛なる父上殿。大変です。

 どーゆうことですかコレ。



 おかーさんが分裂しちゃってるんですけど!?


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