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我が家の不思議な母親たち  作者: 天野きつね
第二話 只今絶賛家出中
10/17

2-4

「んー……っ」

 新幹線を降りて、思いっきり伸びをした。

「ふぅ」

 新幹線。乗っているだけっていうのも、結構疲れるものなんだなぁ。いつもお母さんがうるさいから気がつかなかった。

 歩き出した。改札を出て、バスの時刻を確認する。

 しっかし、いつ見ても何もない場所だなぁ……。

 私は感心してしまう。新幹線が止まる駅だから、まあ何とかコンビニとお土産屋とレストランが融合された建物、それから何故か産地直送店と花屋がある。

 私は、花屋に寄る事にした。

 ここに来る時は、いつもこの花屋に寄る。

 と、言ってもここしか花屋が見つからないからなのだが。

 ここの花屋は、おばあさんとおじいさんがゆるゆると営業していて、少し耳が遠いから、大きな声で話さなければならない。そして、私のことを何故か「さーちゃん嬢ちゃん」と呼ぶ。謎だ。

「こんにちは、おばさん!」

 私は店頭で居眠りをしていたおばあさんを大声で呼んだ。

「おばさん?」

「……ん? ふわぁあ……」

 おばあさんは、大きくあくびをして、のんびりとこちらを見た。

「おお、さーちゃん嬢ちゃんじゃあないか。久しぶりじゃのぅ」

「お久しぶりです、おばさん。花を一束買いたいんですけど」

「ん。わかった、いつもの花じゃな」

 おばあさんは、ゆるゆると近くにある花束をとった。私は近くに歩み寄る。

 おばあさんは、そこで首をかしげた。

「はて? 今年はもう一度来たんじゃないかのぅ?」

 ここばかりは、おばあさんがボケていることを祈る。

「まだだよ、おばさん。はい、これお金」

 私は、花を受け取り、代金を置いてそそくさとお店を離れた。不審がられて、家に電話されたらちょっと困る。

 はあ……。いつもやっていることなのに、家出中だととってもスリルがあるなぁ。


 遠くから、バスが来た。


 さてはて、ここまでは無事だった。

 これから、どうなるのか。

 それは神のみぞ……

 もしくは、父のみぞ知る。

 



 お父さんのばかやろぉー!

 全ては貴方のせいですから!


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