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「んー……っ」
新幹線を降りて、思いっきり伸びをした。
「ふぅ」
新幹線。乗っているだけっていうのも、結構疲れるものなんだなぁ。いつもお母さんがうるさいから気がつかなかった。
歩き出した。改札を出て、バスの時刻を確認する。
しっかし、いつ見ても何もない場所だなぁ……。
私は感心してしまう。新幹線が止まる駅だから、まあ何とかコンビニとお土産屋とレストランが融合された建物、それから何故か産地直送店と花屋がある。
私は、花屋に寄る事にした。
ここに来る時は、いつもこの花屋に寄る。
と、言ってもここしか花屋が見つからないからなのだが。
ここの花屋は、おばあさんとおじいさんがゆるゆると営業していて、少し耳が遠いから、大きな声で話さなければならない。そして、私のことを何故か「さーちゃん嬢ちゃん」と呼ぶ。謎だ。
「こんにちは、おばさん!」
私は店頭で居眠りをしていたおばあさんを大声で呼んだ。
「おばさん?」
「……ん? ふわぁあ……」
おばあさんは、大きくあくびをして、のんびりとこちらを見た。
「おお、さーちゃん嬢ちゃんじゃあないか。久しぶりじゃのぅ」
「お久しぶりです、おばさん。花を一束買いたいんですけど」
「ん。わかった、いつもの花じゃな」
おばあさんは、ゆるゆると近くにある花束をとった。私は近くに歩み寄る。
おばあさんは、そこで首をかしげた。
「はて? 今年はもう一度来たんじゃないかのぅ?」
ここばかりは、おばあさんがボケていることを祈る。
「まだだよ、おばさん。はい、これお金」
私は、花を受け取り、代金を置いてそそくさとお店を離れた。不審がられて、家に電話されたらちょっと困る。
はあ……。いつもやっていることなのに、家出中だととってもスリルがあるなぁ。
遠くから、バスが来た。
さてはて、ここまでは無事だった。
これから、どうなるのか。
それは神のみぞ……
もしくは、父のみぞ知る。
お父さんのばかやろぉー!
全ては貴方のせいですから!