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戦闘科

 自己紹介を終えたあと健康診断をした。鈴が0.5㎝伸びたと自慢していたが何かあったかというとそのくらいだろう。今はそのあとのHRである。教壇では聖次が立って今後のことを話している。が、龍斗はほとんど聞き流している。

「えー、最後に全員の学科が決まったからそれ教えたら終わりや」

 さすがの龍斗もこの話には聞き耳を立てている。龍斗の前に座るバカも反応して沈んていた体を起こしている。

「えー、まず1番アルゴ・アリクセイ。普通科」

 それを聞いた瞬間バカは再び机に沈んだ。

「次2番一城龍斗、戦闘科。3番大井田一司、防衛科。四番」

 龍斗は自分の名前が呼ばれたあともまだ耳を傾けていた。

「21番シリカ・オーリック、情報科。22番二志篠鈴、戦闘科」

 それを聞いた瞬間前のバカみたく机に沈んだ。

 そして全員の名前を呼びをえたあと

「これで今日は終わりやけど、戦闘科と防衛科の子らはちょっと残っててんか。それ以外の子らはもう帰ってええよ」

 そういわれて出ていったのは15人ほど過半数の生徒が残っている。とはいってもほとんどが防衛科のほうだろう。

「えー、この後戦闘科の子らは第一体育館に、防衛科の子らは第二体育館に移動や。そこで明日以降の話聞いてきぃ。ほな僕はこれで、戸締りよろしく」

 言い終わると同時くらいに教室を出ていった。それに続いて生徒たちもぞろぞろと出ていく。が龍斗は席に座ったままだ。

(………第一体育館てどこだよ。誰かについていくにしても誰がどっちかなんてわかんねぇぞ)

「龍斗、さっさと行くわよ」

 鈴だ。

「ああ」

 そういって立ち上がろうとした。

「あたし第一体育館がどこだかわからないからエスコートして」

 笑顔を向けてくる鈴

「………」

 固まる龍斗

「…あんた、も?」

 笑顔がひきつる鈴

「………」

 頷く龍斗

「………」

 固まる鈴

「………」

「………」

「………」

「………」





___________________





 俺たちは結局20分ほど彷徨って体育館にたどり着いた。もちろん一番最後だったさ。

 今は先生らしき人が前に立って話をしている。らしき人っていうのはあれだ。先生に見えないんだ。先生の外見が完全に小中学生の背丈をしているのだ。しかも腰には2丁の散弾銃(かなり自分用に改造してあるがおそらくレミントンだろう)下げている。背が低いから銃身が床につきそうになっている。

ガチャ

 不穏な音がしたと思い前を向いたら(さっきまで俯いていた)先生が銃身をこちらに向けて笑っていた。否、目は笑っていなかった。

「一城く~ん、今失礼なこと考えてなかった~?先生の身長が低いとか~?」

 怖い、非常に怖い。

「い、いや、考えてない、です」

「先生分かっちゃうだよ~、正直に言って~」

 笑っている、めちゃくちゃ笑っている。

「か、考えてました」

「ふふふ、初めてだから~許すけど~次考えた

ら~この子で~頭ぶち抜きま~す。以後考えないよ~にお願いね~」

 そういって散弾銃をなでる。

「は、はい」

「ふふ、素直な子は好きですよ~。あ~後~話聞いてくれないと~頭ぶち抜くかもしれないんで~気を付けてね~」

 どうやら俺は頭ぶち抜かれる一歩手前だったらしい。

「もう一度言いま~す、明日防衛科の子たちと~模擬戦するんで準備しといてくださ~い」

 面倒だな……

「それで~先生防衛科の大乗先生が嫌いなので~絶対に勝ってね~。もし負けたら先生なにするかわかりませ~ん」

 負けるわけにはいかなくなってしまった。






──────────





翌日、龍斗は早朝から起きていた。模擬戦に必要な物の手入れするためだ。

手入れが終わったのか立ち上がり手に持っていた“それ”を左右の腰に一振りづつ差しベッドに置いてあった上着を羽織った。上着は全身黒のロングコートのような物だ。背中には蝶の刺繍が入っている。このコートは龍斗の“戦闘着”だ。

戦闘着には所有者の身体能力や魔力を上げる機能が備わっている他、着ている物の暑さや重さを感じさせないようになっている。故に一年中コートを着ている者も少なくない。龍斗もその一人だ。

ゴソゴソと音がすると思い振り返るとアルゴが目を覚ましていた。

「悪い、起こしたか?」

「いや、いい。もう6時だろ?いつも起きてる時間だ」

そう言ってアルゴは洗面所に入っていった。

あいつ、起きるの早いのな。






──────────






「なあ龍斗、今日なんかあるのか?戦闘着だろそれ」

学校に行く途中アルゴが唐突にきいてきた。

「ああ、戦闘科対防衛科で模擬戦をするんだとよ」

「それでんな物騒なもん2本もさしてんのか」

アルゴは龍斗の腰に差してさあるそれを見てそう言った。

「まあな、もし何もしないで負けたら頭ぶち抜かれるしな」

龍斗は苦笑いしながら言った。

「なんだよそれ?」

「知らないほうが幸せなこともある」






──────────






教室に着くと昨日の半分もいなかった。辺りを見回しているとアルゴが声をかけてきた。

「おい、あれ」

アルゴが黒板の方を顎でさす。

“戦闘科と防衛科の生徒は総合館に集合”

「総合館って……」

「入学式をやった体育館のことだ」

アルゴだ。

「ああ、サンキュ。行ってくるわ」

「おう」

龍斗は鞄を机に置くと出ていこうとして扉を開けたら目の前に鈴が立っていた。

「っと、悪いってなんだ鈴か」

「なんだって何よ、でどこ行くの?」

「ん」

龍斗は黒板を顎でさす。

「なるほど。ちょっと待って」

そう言って鞄を自分の机ではなく龍斗の席に置く鈴。

「おい」

「いいでしょ、別に」

「なあ、何でお前らまったく同じ装備なんだ?」

アルゴだ、何も言わないと、思ったらそんなことを考えていたらしい。

「まったく一緒ってわけじゃない」

「いや、一緒だ。ただコートの色が黒か白かの違いを除いてな」

鈴の装備は龍斗のコートの形とまったく同じで龍斗が黒、鈴が白、刺繍も同じ位置に色違いで施してある。龍斗が白、鈴が黒の蝶の刺繍だ。そして腰には龍斗と同じく二振りの“それ”が差してある。

「情報科にでも聞いてこい」

そう言い残して龍斗は教室を出ていき鈴もそれに続き出ていった。






──────────







体育館に着いたらすでにけっこうな人数が集まっていた。そのなかで一番小さな人影とかなり背の高い人影がなにやら言い合っている。

「大乗先生~今年は~私たち戦闘科が~勝たしてもらいますから~」

背の低い方が言った。

対して背の高い方は笑みをうかべる。

「すいませんが小雛先生、今年も防衛科の勝利で終わります」

昨日の先生は小雛と言うらしい。

そう言われて小雛は無い胸を張った。

「残念ですけど~こっちには~秘密兵器がいるんで~それは無理だと~思いま~す」

「そんなもの私の生徒達が捻り潰しますよ」

「そろそろ~その生意気な~口を~聞けないように~してあげま~す」

「こっちこそその変な口調で話せないようにしてあげらすね小雛先生」

そう言うと二人は別々の方向に歩き出した。と思っていたら小雛先生がこっちには向かって歩きて来たけど。

「一城く~ん、二志篠さ~んおはよ~」

「「おはようございます」」

「それじゃあ~そう言うことなんで~頑張ってね~。もし~何もしないで~やられたら~分かってるよね~」

微笑んでいるが目が笑ってないからかなり怖い。

「「善処します……」」

「ふふふ、いい生徒に~恵まれて~先生は~嬉しいよ~。それじゃあ~もう少ししたら~始まるから~みんなと~一緒に~待ってね~」

小雛先生は背を向けて壇上のほうに歩いていった。

「どうすんの、龍斗?」

「そこそこにはやるさ。でも魔法と刀術は使わねぇようにするつもりだ。どうせ探りあいになるのが目に見えてんだ、ここで本気出すやつはバカだけで十分だ」

「そう言うと思った。でもそれで頭ぶち抜かれたらどうするのよ」

「………………死なねぇこと祈る」

「…………」

可哀想なやつを見る目で見られる龍斗だった。

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