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目の前に浮かぶ水の塊を、彼はゆったりと椅子に深く腰掛け眺めていた。その向こうの窓から入り込む七色の光を反射し、時おり鏡のように表面がきらきらと光る。
その光の合間から覗く水の中では様々な光景が展開されている。水が揺らぐ度に場面は変わり、ここに座って永遠の時を過ごさなければならない彼の退屈を慰めるのだ。
若草を宿らせる瞳で全てを見、傷つき傷つけられながらも歩き続ける者。
道化の笑みで武装し、自由を切望しながら運命に逆らおうとする者。
無邪気と無慈悲を同居させ、そしてひたすらに愛情を求め続ける者。
その者たちの心が血を流す度、強い感情に動かされる度、均衡を崩す度に、水は鮮やかに色を変えて彼を楽しませた。
彼は空中を指で引っ掛けるような動作をする。そうすると遠くの窓が開き、緩やかな風が外の香りを運んでくる。彼が丹精込めて育てている花畑の香りが。
クオォーン、と水が振動し、塊を保っていたそれから水滴が落ちるように何かが床に落ちた。彼は腰を屈めてそれを手に取る。その手には一つの花の種が握られていた。
それを掲げながら、この種は次はどんな花を咲かせるだろうかと、今から楽しみになってきた。まったく、思い付きで始めたのに、全知全能の己すら予想していないほどそれらは己の意思を離れ動き回り、楽しませてくれる。
彼は己が創ったおもちゃの出来映えに、非常に満足していた。




