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JOY  作者: co
第10章・ショコラブラウンのジョイ
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「それでね、」

 浅井が話を続けようとしたが、大沢の体から力が抜けたのが分かったのでその顔に目をやった。

 大沢は右手の甲で両目を覆っていた。

 浅井は首を傾げて、その顔を覗き込んで、上げている右腕を掴んだ。


 大沢が泣いていた。


「大沢君」

「すみません。俺が泣くのも筋違いっていうか、だけど、」


 大沢が泣きながら、微笑んで言った。



「先輩、浅井さん残していくの、辛かっただろうなって思って」



 そして大沢が大きくため息をついた。


「ずっと浅井さんと一緒にいたかったんだろうなって」



 死んでしまってもう10年も経つのに未だに自分の悲しみそっちのけで、事故の責任なんてこと考えてるような彼女。

 残していきたくなかっただろうな。

 可哀想だな。先輩。



 大沢が涙を拳で拭うと、浅井がトランクスに手をかけていた。

「えっ……?!」

 ジーンズはとっくに脱がされて放り出されている。

「あっ……浅井さん……!」

「私に触らないで」

 浅井の左手が大沢の首元を押さえている。

 そしてトランクスに手を差し込まれ、大沢が息を飲んで顔を背けた。

 ついさっき全身で脱力したばかりなのに、浅井の動作一つで大沢はまた熱くなってしまう。

 また簡単に呼吸を増やしている。


 トランクスもむりやり下げられ、大沢は喉の奥から、くっ、と声を出した。


 無理だ、耐えられない。

 浅井は腰のあたりに触れている。

 まずいだろ。どうするんだよ。大沢は焦りながらも気持ちの昂りに抗えない。

 もう荒い息も隠せない。

 ただ、目は閉じていた。

 薄明かりの中、今の自分の状態は見るに耐え難い。


 苦しい。苦しい。


 浅井の手が足を滑る。


 大沢の体を仰向けにさせる。


 両手が腰の左右に置かれる。


 両手?


 手?


 手じゃない


 手じゃない!


 両脚……!


 大沢が目を開けた時に、強く熱い圧迫を感じた。

 同時の強い快感で上半身を跳ね上げ、浅井の体をかき抱いた。



 薄明かりの中、上にいる浅井の体を強く抱きしめ、熱と圧の一番奥に押し込んだ。


 たったそれだけで、終わった。

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