表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
JOY  作者: co
第10章・ショコラブラウンのジョイ
91/130

 さすがにもう夜も遅いので、浅井はタクシーで帰宅した。

 アパートの階段を上りきって通路に向いてから、気付いた。

 自分の部屋の前に、誰かがうずくまっている。

 誰か、なんて、予想はついている。

 浅井はヒールを鳴らしながら歩いていった。

 ここまで変身した自分に、まず気付かないだろう。それで失格だ。

 そう考えながら、歩いていった。


 その音でうずくまっていた男が顔を上げた。

もちろん大沢だ。

 浅井は目も合わせずに俯いたまま歩き、ちょっと自分の部屋の前も通り過ぎてみようかな、などと考えていたその前に、


「浅井さん。そんなに痩せたんだ」


 と、大沢の声がした。


 ここまで髪を短くした自分に気付いた?


「ドア、蹴破るんじゃなかったの?」

 少し悔しくて、浅井が低い声で訊いた。

「外出したのがわかったから……」

「え?」

「足跡が、その、ブーツの。それがこの部屋から出て行った跡があったから、外出したんだと思って」

 浅井は顔を顰めて、部屋の鍵を開けた。

 大沢も立ち上がった。

 ドアを開けて浅井が大沢を振り返り、言った。


「この後、私に指一本触れないで。それができるなら、入って。できないなら帰って」


 大沢が一瞬息を飲んで、頷いてから、できる、と答えた。


 それを見て浅井がドアを大きく開き、室内の電気をつけた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ