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JOY  作者: co
第1章・キャメルの天使
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 嘘……、なんでこんなに早く二人が抜けてくるの……?って、あ、もう11時?いつの間に……。

 二人は浅井たちと同じく窓際の、空きテーブルを一つ挟んだテーブルに座った。栗尾が背を向けた椅子に、大沢が栗尾、君島を挟んで浅井と向き合う席に着いた。

 気付かれる前に出ようと浅井は焦ったが、君島はまだポワ~っとしている。

「ね、君島君、」

 浅井の声に被せるように、酔った栗尾の大声が響いた。



「もうホントに嫌ぁ。あのイヤミなお局様ぁ」



 浅井が声を失う。



「いつも私ばっかりなのよぉ。私が一番若いからだって分かってるけどぉ」


 ……私のことか?


「さっきのだって、ど~考えたってお客が悪いに決まってんのにぃ」


 ……私だ……


「自分で余計なことしてさぁ~、仕事ができるぅみたいなフリすんのぉ!」


 ……ん~……


「浅井さんは実際仕事できるよ。それはみんな認めてんじゃね~の?」

 ああ、余計なフォローしないで。大沢君……

「あ~!!!!大沢君、庇うんだぁ~!あのオバサン!」

 オバサン……

「趣味わる~っ!!!あのヒト絶対カレシいない歴年齢と一緒だよ!キモっ!」

 キモ……


 浅井は俯いて頬杖をつき、ため息をついた。

 その浅井を君島が半眼でじっと見ている。


「髪型一回も変えたことないって、ありえなくない?ずっとあの真っ黒のロングだよ?」

「先輩が好きだって言ったの。絶対変えないわ」

 浅井が小さく反論した

「メガネだってさぁ!あれ一つしかないのよ!貧乏なの?ケチ?てか面倒なのよ!もう女じゃない!」

「同じのを三つ持ってるわ。先輩が選んだフレームなのよ。他は選ばないわ」

 浅井も酔っているのだ。こんなことを口にするのも初めてだ。

「でも可哀想よね。女に見られないままオバサンになってしまったなんて、ホント、可哀想!」

 きゃはははは、と栗尾が大声で笑った。

 浅井は、俯いたまま微笑んだ。


「お前さ、いいすぎだっての。そんなこと思ってんのお前一人だよ」


 いいわよ大沢君。あなたがフォローするたびにもっとひどくなるの。そういうものよ。


 もういい。私も、何バカなこと言ってるんだか……。




「君島君、もう、」

 浅井は無理に笑みを作って、顔をあげて君島にまた言った。

 それを待ってたかのように、君島が尋ねた。



「浅井さん、フェアレディZって、知ってる?」



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